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【CES対談】P&G Lumiに次ぐ注目を得たエッジな日本発ベビーテック

永田:意外とCTAは厳格なことを言ってくるようですね。今回も、「なぜ貴社はエウレカパークにいる。一般企業の出展ゾーンで出展しなさい」と言われた日本企業もあったようです。

服部:当社の場合、創業が2012年ですから、CTAからすると2012年に創業した企業が2020年に初めてプロダクトを出したなんて絶対にウソだろうと、どう考えても引っかかるんですね。そこを突破するために、創業から5年間は無料でアプリを提供して「育児ビッグデータ」を収集し、そのデータに基づく研究・検証を行っていた、と説明しました。そして2017年に育児ビッグデータを用いたプロダクトを作れるだけの確証ができ、今回、初めて有料販売する商品を出した……という壮大なストーリーです。実際この説明の通りなのですが、そういうR&Dをずっとしてきた会社ですよ、という話をして、なんとかエウレカパークでの出展を認めてもらえました。

永田:CES会場1階のエウレカパークはベンチャーや各国が国単位でブースを出しているエリアで、2階はいわゆる一般の企業ブースが並ぶゾーンでしたね。だからハードウェアをいくつも出している中国の新興メーカーは全部2階に上げられてしまい、会場隅の小さなブースになってしまって誰も見に来ない……という事態になっていたようです。やはりエウレカパークに出展されたのは正解だったと思いますね。

 

まったく「想定していなかったレベル」だった来場者の反響

永田:CESでは出展1日目から、大変な手応えを感じられたということですが、実際のところはいかがでしたか?

服部:実は、前日までは「こんなハードウェア、いらないよ」と言われる可能性もあると思っていました。なぜなら、欧米では基本的に子どもを別室で寝かせ、泣いていても放置するのが寝かしつけのメソッドだと聞いていたからです。しかし、実際の反応はまったく違いました。これは育児IT機器の活用に対する、日本と欧米の意識の違いがあるようです。日本で親が子どもの見守りにカメラなどのIT機器を使うと、「子どもをほったらかしにしている」などと後ろめたさのある反応をされることがあります。一方、CESでアメリカ人に言われたのは、「僕が子どものころは別室で寝かしつけられて親に放置されていたけれども、僕はカメラを使って別室で寝ている子どもを見守っているよ」と、いうようなことでした。つまりIT機器を使うことで、かつての親世代よりも育児へのコミット時間が増え、さらにそれが育児の進化である、という意識なのです。「今まではカメラでしか見守りをしていなかったので子どもの感情や変化がわからなかったけれど、この『CryAnalyzer Auto』を使えば子どもの気持ちがよくわかる。いっそう子どもを見守る親になれるだろうし、自分が子育てしていた時代にもあれば良かった」といった好意的な意見ばかりでした。来場者の反応からは、「CryAnalyzer Auto」を単品で売るのであれば、日本よりも欧米で売った方が簡単に売れそうだな……という印象を受けました。