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【CES対談】P&G Lumiに次ぐ注目を得たエッジな日本発ベビーテック

服部:やはり赤ちゃんが泣いている時に、いちいちアプリを起動して……というのは難しいですし、泣き声を自動的かつ継続して解析すれば、もっと色々なことがわかるのではないか、と思っていました。そして泣き声を継続して検出・解析するなら、やはり赤ちゃんの枕元に常時置いておくようなハードウェアを作らなければならないと考えたのです。しかし、当社ではハードウェアを一から開発する体力がなかったので、構想だけで止まっていました。そのような状態だったのですが、ある時に気付きました。以前、当社はシニア向けの別のプロジェクトをお手伝いしていまして、その時にナースコールを作っていたのです。このナースコールにはマイクがついているし、「赤ちゃんの泣き声を解析するアルゴリズム」を動作させられるチップも搭載されています。これを改造すればすぐにできるぞ、と気づいたわけです。

そこから「CESに出る」ことを目標に定めました。いわゆる「家電の見本市」であるCESでは、いくら「このアルゴリズムはすごい」と言っても注目されません。やはり「ハードウェア」を持っていくことが必要だろうと思っていたので、これなら行けるぞ!と思ったのです。

永田:たしかに「CES」に行くならハードでなければ、という雰囲気はありますね。

服部:ユカイ工学株式会社の青木社長にも、「CESはハードがないとダメ。アプリでは注目してもらえませんよ」と言われていたので。それはずっと意識していました。

 

「CES出展企業」に課せられる「厳しいハードル」とは?

永田:完成からCESに出展されるまでにも、いろいろな苦労があったそうですが、そのあたりを伺えますか?

服部:CESに出展するにあたり、ジェトロ(JETRO・日本貿易振興機構)に相談しました。ジェトロは昨年のCESに日本のスタートアップ企業を集めた「ジャパンブース」を出展しており、そこに参加させてもらえる可能性があるという話を聞いていたからです。その結果、ジェトロの一次審査は通ったのですが、次にCTA(全米民生技術協会・CESを主催する団体)の審査がありました。そこで問題になったのが、今回の出展を予定していたCESのエウレカパーク(スタートアップ企業専用の出展ゾーン)の参加条件です。特に重要なのが「初めてのプロダクトをまだローンチしていない、または、2019年1月1日以降にローンチした企業」という点でした。