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【CES対談】P&G Lumiに次ぐ注目を得たエッジな日本発ベビーテック

服部:「赤ちゃんの泣き声」から「赤ちゃんの感情(=泣いている理由)」を診断する「CryAnalyzer Auto」を開発したのは、社会的なニーズと当社のディープラーニングにおける研究テーマの一致が背景にあります。当社の育児記録用アプリ「パパッと育児@赤ちゃん手帳」では、利用者アンケートという形でニーズを吸い上げていまして、そこで定期的に「赤ちゃんが泣いている理由が知りたい」というニーズを頂いておりました。また、某ミルクメーカーの調査で、子育てにおいて最も保護者にストレスがかかるタイミングは、「赤ちゃんが泣いているとき」という報告がありましたので、ニーズが高いことを確信できました。同時にディープラーニングという技術が世の中に出てきた時に、当社だからできることはなんだろうと考えました。すでにディープラーニングによる画像解析や音声を文字にする方法論は確立されていましたから、それでは面白くないということで、音声から感情を分析する「赤ちゃんの泣き声診断」という方向でR&D(=研究・開発)をスタートしたのです。

永田:「ディープラーニングをやらなければ」というトレンド的な課題感と「ディープラーニングで赤ちゃんの泣き声を解析できそうだ」という感触と、主従関係はどちらだったのですか?

服部:ディープラーニングで初めて赤ちゃんの本当の感情がわかるかもしれない、という妄想はしていました。技術的な興味もありましたが、お母さんが感覚で判断するよりもディープラーニングで解析した方が実は正しいのでは?という好奇心があったのです。また、当社はテクノロジー系のベンチャー企業なので、やはりディープラーニングに取り組まねば、という使命感もありました。

永田:ちょうど御社が抱えていた「課題意識」と「技術的トレンド」がマッチしたわけですね。

服部:さらに「大量の赤ちゃんの泣き声データ」などはGoogleもなかなか持っていないでしょうし、当社以外はなかなかやれないよね、ということもあってR&Dに取り組んだわけです。

 

ある「社内的な偶然」により、「CryAnalyzer Auto」は完成した

永田:まさに御社の社名、ファーストアセント(=初登頂)ですね。さて、そのような経緯で開発された「赤ちゃんの泣き声」を診断する技術は、御社の「パパッと育児@赤ちゃん手帳」というスマホ用アプリに搭載されました。そして、正答率が8割を越えたことからテレビでも紹介され、ベビーテックアワードジャパン2019の大賞も受賞されています。そこから今回の「CryAnalyzer Auto」という「ハードウェア」には、どういう流れで繋がったのでしょうか?