BTA2023受賞商品発表!

ブラシを歯に当てると音楽が聴こえる!?子ども向け仕上げ磨き専用歯ブラシ「Possi(ポッシ)」

編集部:ライオンとのコラボ商品ということですが、どちらが先に働きかけたのでしょうか。

稲垣:弊社からライオンにお声を掛けさせていただきました。SSAPが始まったのは、2018年の10月ですが、ライオンの参画は、年が明けた2019年の1月からです。きっかけは、2018年秋の展示会です。参考出展していた振動アクチュエーターにたまたまライオンの方が興味を持ってくださり、「この技術を応用して何かできないか」と声を掛けてくださったんです。ちょうど、ポッシの開発を始めていた私は、これは運命だと確信し、「今までにない画期的な歯ブラシがつくりたいんです!」とポッシにかける熱意をライオンに伝えました。

 

今までにない歯磨きの開発は
ミスの許されない試練の連続だった

編集部:ライオンの反応はいかがでしたか?

稲垣:前例のない製品、通常ではありえないタイトなスケジュールということで、難しいのではという意見も多かったようですが、ありがたいことにライオンの社内に興味をもってくださった方がいて、その方の熱意のおかげで製品化にむけて一気に動き出すことになりました。

編集部:製品化に向けて走り出したわけですが、今までにない歯ブラシを作るとなると、苦労も多かったのでは?

稲垣:歯ブラシに関してはまったくの門外漢ですから製法などのノウハウはゼロ。社内でどうやって作ろうかという議論から始まり、なんとか試作品までは作り上げたのですが、ライオンが歯ブラシに求める品質には遠く及びませんでした。

編集部:オーラルケアで築いてきたブランドとしてのプライドがありますしね。

稲垣:はい。今までとは形状が異なる歯ブラシとはいえ、「ライオン」という名前があるからには妥協は許されませんから品質に厳しくなるのも当然です。両社の知見と技術を結集し、短期間でミスも許されない状況の中、急ピッチで作り上げていきました。

編集部:スケジュールがタイトだったのは、なぜですか。

稲垣:SSAPでは、6か月という期間である一定の成果を出すことが求められました。どんなに優れたアイデアであっても、6か月経過した時点で成果を出す必要がありました。2019年3月までにそれなりの形で、今後の見通しが立たないようであれば、プログラムは終了します。我々がライオンに提案した時点ですでに3か月が経過していましたから、残りの3か月なんとか死ぬ気でやってみようと必死で取り組みました。幸いにして見通しが立ち、第一の関門をなんとかクリアすることができました。