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保育士の業務の4割は書類作成?! 現場の負担を軽減する「CoDMON(コドモン)」

編集部: コドモンは保育の現場では速やかに受け入れてもらえたのでしょうか。

小池: 当初、コドモンは保育士さんにフォーカスしたサービスではありませんでした。「保護者にとっていいサービスを」と、デジタル連絡帳だとか、次世代のコミュニケーションツールといった打ち出し方でDMの送付、イベントでの呼びかけなどPR活動に励みましたが、まったく受け入れてもらえませんでしたね。後にわかったことなんですが、保育施設側の本当のニーズは他にあったんです。

編集部: 保育施設側のニーズはコミュニケーションツールにはなかったということですか?

小池: 保育施設のニーズは「保育士に長く働き続けてほしい」ということでした。保育施設には保育士の配置基準といって、国や自治体が定めた子どもの安全を確保するために必要な保育士の人数の基準が設定されています。この基準を下回ってしまうと施設の運営に支障が生まれ、園児たちを十分にお預かりできなくなってしまいます。ところが、先ほど述べたように保育士さんの労働環境や、待遇は決して良くありませんから、はじめのうちは志や想いを持って保育士になったとしても、現実問題として長期就労ができないという実状がありました。

編集部: どんな業務が保育士さんの負担になっていたのでしょうか。

小池: 保育士さんが一番負担に感じているのは、おもに書類作成をはじめとした事務業務です。記録をつけたり、指導案を作成したりする業務が1日の約4割を占めることもあるようです。それが結果的に子どもたちと向き合うための記録や計画であればいいのですが、必ずしもそういうわけにもいかないようです。

編集部: 子どもたちと向き合うこと以外の業務がそんなに多いとは知りませんでした。保育士さんの負担を解消するためのツールである「コドモン」の現場の反響はいかがでしたか。

小池: たとえ、ご提供するサービスが先進的なITツールであっても保育士さんの負担が増えるようなものでは到底受け入れてもらえませんし、保育という性質上、効率や合理化といった考えが必ずしも歓迎されるわけではありません。手書きがいいといった価値観もありますから、デジタルを活用することのメリットをしっかりと提示するよう心がけています。私たちが保育士さんの業務の中で、もっとも合理化すべきだと感じたのは、書類を転記したり、書き直したりする作業でした。そこで今まで園で使用していたエクセル形式の帳票フォーマットをそのままコドモン上に取り込み使えるようにし、さらにひとつの項目に記録を入力すれば、関連する帳票に反映されるようデータを連携させました。保育施設からは「すごくわかりやすい!文書の作成時間が大幅に短縮された」、「子どもたちと向き合う時間や子どもたちについて語り合う時間が増えた!」といった感想をいただくことができました。