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ICTで「病児保育」が変わる! 病児保育ネット予約サービス「あずかるこちゃん」

園田:登録していても、その利用にはさまざまなハードルがあります。たとえば病児保育施設の予約〜決済の手続きには、大量の書類が存在します。そして最も困難なのが「施設を利用するための予約」を取ることです。施設の9割以上は予約受付方法が「電話のみ」のため、それこそ朝は30分以上電話が繋がらないことが日常的です。これは職員の出勤時間しか受け付けられないために、利用者の電話が特定の時間帯に集中してしまうためです。たとえば、前日の夜に子どもが発熱したら、翌日の朝7時の受付時間から電話をかけ続け、ようやく繋がっても空きが無ければ、また別の施設に電話をかける……ということになります。

編集部:それは保護者も、施設側にとっても非常につらい話ですね。

園田:さらに問題なのは、この予約の当日朝の「キャンセル率」が3割〜7割にのぼることです。子どもの体調は変わりやすく、前の晩に発熱してその日のうちに予約を取ったものの、翌朝には体調が回復し、保育園に行けることもよくあります。ところが先ほどのような電話の状況から、キャンセルの電話がなかなか繋がらず、結果として「無断キャンセル」になってしまう事態が多数発生しています。また、キャンセルを受け付けた後にも、キャンセル待ちの方に利用確定の連絡をするなど、保育園側には多くの業務が発生します。さらにギリギリのタイミングで利用確定の連絡が来る場合、キャンセル待ちをしていた保護者はすでに職場を休んで対応していたりもするのです。このように利用したい人が利用できず、施設側も稼働率が下がってしまう(=利益が出ない)という、困った状況が続いてきました。

編集部:これは本当に大変な状況ですね……。ちなみに病児保育を受けるには、必ず医師の診察が必要なのですか?

園田:病児保育を受けるには必ず病院で診察を受け、「医師連絡票」という書類をもらわなければなりません。これは子どもがどんな病気かを証明するもので、その内容によって病児保育施設にある「隔離対応の部屋」と「一般の部屋」のどちらで保育するかが決まります。

 

病児保育に関する「ポータルサイト」の目的

編集部: 本当に病児保育については、知られていないことがたくさんありますね。

園田: はい。そこでまず、7月をめどに「あずかるこちゃん」の「ポータルサイト」をリリースします。このサイトでは「病児保育を利用する際のポイント」や「全国各地の病児保育施設の情報」、さらには「病児保育施設とはどんな施設なのか」ということを、保護者のみなさんにわかりやすくお伝えしたいと考えています。たとえば病児保育施設は、病院併設で医師の診察から施設への入室までワンストップで行えるところもあります。さらに「病児(急性期の子ども。インフルエンザで高熱を出している、など)」は入室できず、「病後児(回復期の子ども。病状は安定しているが保育園には行けない、など)」のみしか入室できない施設もあります。しかし、このような情報は市区町村のホームページを探さなければ見つかりません。だから私たちのポータルサイトでは、そのような近隣にある病児保育施設の情報も簡単に見られるようにする予定です。