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離れていても、一緒に育児。「ちょっと見てて」を叶える、遠隔協同子育てロボット「ChiCaRo(ちかろ)」

知られていない部分も多いかと思いますが、研究者って本当に大変な仕事なんです。昼夜問わず、土日も返上して研究をし、論文を出さなくてはならない。そんな環境のなかで、頼れる人がおらず、右も左も分からない状況での子育ては本当に大変だったと思います。

編集部:精神的にも肉体的にもきつそうですね。

奥:あるとき教授に悩みを語ったところ、「だったらそれを解決してくれるロボットを作ってみようよ」という話になり、それがChiCaRo開発のきっかけとなったのです。

働く母親として、本当に必要だとおもったことを機能として詰め込み、2019年にプレスリリースを出しました。はじめは売れるかわからなかったそうですが、ChiCaRoを発表してから、毎日のように問い合わせが続いたんです。いただいたメッセージの中には、「(子育てで忙殺されて)自分が自分でいられなくなりそう」「余裕がなくなってしまい、自分の子どもに怒鳴ってしまい、後で後悔してしまいます」といったママの悩みがたくさんありました。また、祖父母からのお申込みや、お父さんからの申込みもたくさんありましたね。

ChiCaRoのプロジェクトリーダーを務めている阿部さん

編集部:住まいや仕事で離れていても、子育てに関わりたい、お母さんの負担を減らしたい、という思いがうかがえますね。

奥:先程もお話しましたが、人間は生物学上、集団のなかで子育てをする生き物。現代の子育ては、水のなかで生活しろと言っているようなものなのです。戦後は、女性の社会進出が進みましたが、そのときに「これまで女性がやっていたことは誰がやるの?」という問題は取り残されてしまっている気がしますね。

編集部:開発にあたって工夫したポイントについて教えていただけますか?

奥:力加減を知らない小さな子どもが、押したり叩いたりしても大丈夫なよう、衝撃に強く、倒れにくいロボットにしました。また、子どもと同じ部屋にいても違和感がない、丸みをもったフォルムや優しい色合いのデザインにしています。

可愛らしいフォルムが特徴的

編集部:HPに掲載されている写真などでは、ロボットに服を着せているものもありましたね。そういった工夫できる「余白」があるのもChiCaRoの魅力の一つかと思いました。

奥:そうですね。完璧ではないからそこ、「(服がないと)寒いのかな?」とか、考えられる部分はあるのだと思います。

編集部:ありがとうございます。ChiCaRoを生み出すにあたって、大変だったポイントがあれば教えていただけますか?