BTA2023受賞商品発表!

その絵本の中で子どもたちが主役になれる!「パーソナライズ絵本“BÜKI(ブーキー)”」

編集部:すごいですね! 自分のためだけに作られた絵本、というオリジナル感が段違いだと思います。

子どもたちの情報を入力することでそれが絵本に反映される

コズロブ:それから一般的に家族をテーマにした絵本では、だいたいの作品にパパとママが登場すると思います。しかし、BÜKI(ブーキー)では「シングルパパ」、「シングルママ」、「パパ&パパ」、「ママ&ママ」という家族構成も選べます。ですから、たとえばシングルマザーのご家庭で育つお子様は従来の絵本を読むと、自分の家とはちょっと違うな……という感覚になったかもしれませんが、BÜKI(ブーキー)ではそこまでカスタマイズできるようになっています。

編集部:社会的に多数派ではない家族構成も反映できるのですね。その発想はどこから生まれたのですか?

コズロブ:実際にシングルマザーの家庭で育った友人と絵本の話をしていたときに、「こういう家族をテーマにした絵本って、だいたいパパとママが両方そろってるよね」と言われたことがあります。その言葉がずっと心に引っかかっていました。そこから私たちが作る1冊ずつ印刷している絵本の価値、書店に並ぶ数千冊とか数万冊を一気に印刷する絵本ではできない価値は、そういうマイナーな思いに寄り添える力ではないか、と考えたのです。これまでマジョリティーのために作られていた絵本を1人1人のために作るのは、単にカスタマイズするためだけでなく、そういう主流派でない人たちに寄り添うためでもあるのではないか、と考えたのが発想の背景にあります。

国境を越えて繋がる開発チームが、まったく新しい絵本作りの仕組みを構築

編集部:BÜKI(ブーキー)を開発された経緯を伺えますか?

コズロブ:販売を開始したのは2020年の12月末になります。その前に1年間ぐらいの企画・開発期間がありました。私は子どもの頃、絵本を読むたびにストーリーに入り込んで主人公となり、ドラゴンを倒したり、大きな豆の木を登っていったり、そんな空想をするのがとても好きでした。しかし、成長するに従って現実の自分はそんなスーパーパワーを使えるわけでもなく、親が貴族なわけでもなく、動物と話せるわけでもない。そういう絵本の主人公になれる人は特別な存在であって、私は普通の人だからなれないんだ……と思った記憶がずっと心のどこかに残っていたのです。

その記憶を鮮明に思い出したのは、2018年に息子を出産してからでした。息子を見ていると、彼はまだ空想と現実の境目が全然なく、おそらくなんでもできると思っています。きっと自分は空だって飛べると思っているでしょう。そんな息子に、本当の自分は空を飛べない、そういう特別な存在じゃない、なんて思ってほしくない……と、昔の自分の記憶が蘇ってきたのです。そのとき「自分が主人公になれる絵本」というものを作れたらすごく素敵だな、と思いつきました。そのアイデアを夫に話し、さらに一緒に何かやろうよと言っていた夫の友人、海外に住む彼の幼馴染なども乗り気になってくれました。そこから1年ほどの期間を経て、2020年末に1冊目を発売したという経緯になります。