BTA2023受賞商品発表!

子どもの体調データを共有し、みんなで子育てをする環境を作る「icuco」

柳瀬:また、私たちは代理店を通さずにicucoを直販しており、保育園の皆さまからの改善要望にはすぐ対応しています。これが非常に喜ばれ、それで本格的な導入が決まった、という例があります。保育園は一般的に代理店経由で物品を購入しているのですが、そのような場合、改善要望を出しても非常に対応が遅いという背景があるようです。また直販にしていることで、価格を抑えられるというメリットもあります。

編集部:御社のホームページで簡易見積もりを取ってみましたが、他社の午睡見守りシステムと比較して非常に安い印象を受けました。

柳瀬:保育園で使われる備品類の多くは、「補助金ありき」の価格設定になっていると思います。私たちが目指すのは「子育ての現場(=一般家庭など)」で役立つことであり、そこに補助金はありません。だから保育園以外の場所でも使ってもらえる価格にするため、さまざまな工夫をしています。

 

icucoのメインターゲットは「一般家庭」。健康データから病気の予測も?

編集部:最後に、これからのicucoの展開について伺えますか?

柳瀬:まずは、「午睡見守りサービス」として保育園で使って頂くところが導入になります。次の展開としては法人ではなく、一般の個人の方に使っていただきたいと考えているのですが、そのために一般の家庭で子どもの面倒をみる「シッターの皆さん」に使っていただくことを考えています。それにより一対一の状況で使えることが家庭に伝われば、たとえばママが子どもをパパに預けて出かける時や、子どもが熱で寝込んでいる時などに使っていただけるようになってくると思います。

編集部:一足飛びに家庭に導入するのではなく、「シッターの皆さん」に使っていただければ、ご家庭へのPRにもなりますね。

柳瀬:また、国内だけですと市場は大きくありませんが、海外に目を向けると保育園よりもシッターを利用する家庭の方が多かったりします。そういうところでの利用も視野に入れています。

編集部:先ほど伺った、icucoによる健康データの収集・分析、レポートについてはどのような展望があるのでしょうか?

柳瀬:体温、脈拍、寝ているときの姿勢、呼吸などのデータを収集し、子どもたちそれぞれの「通常の状態(=パーソナルデータ)」を作成し、提供したいと考えています。それぞれの子供たちについてパーソナルデータがあれば、いつもと違う状態になった場合に検知し、お知らせするサービスも可能になると考えています。さらに数多くの子どもたちのデータを分析すれば、子どもが熱を出すときの兆候や、地域でインフルエンザが流行する兆候を捉えることもできるかもしれません。そんな病気・体調不良の予測を、将来的には機械学習を活用して取り組みたいと思っています。また遠隔医療サービスを提供する会社と提携し、icucoで異常が見つかったら、その子どもと遠隔医療サービスにつなぐ、といったことも検討したいですね。