「家庭目線の午睡見守りサービス」が生まれたのは、子どもの入院から
編集部:そもそもicucoの開発は、どういった経緯でスタートしたのでしょうか?
柳瀬:まずこのサービスを作ろうと思ったきっかけは、自分の子育て経験ですね。実は、2番目の子どもが3歳の頃に1ヶ月半くらい入院したことがありました。その病院では親が24時間ずっと付き添うことが求められ、その間はトイレも食事もお風呂もすべて、子どもが寝ているタイミングにしかできなかったのです。だから子どもが寝ている間にダッシュでご飯を食べに行き、またダッシュで戻ってくるということをしていたのですが、その間は子どもから目を離すことになります。だから寝ている間だけでも、常に無事な状態であることがわかれば安心できるのに……と思ったのが、icucoを開発したきっかけでした。
編集部:保育園のニーズを分析して……ということではなく、ご自身のご経験が土台にあったのですね。
柳瀬:もう1つのきっかけは、私が勤務していた愛知県のある機械メーカーで新規事業を立ち上げる社内コンペがあり、そこに応募して選ばれたプランがicucoでした。私はその機械メーカーで設計をしていたので物作りの経験はあり、それがicucoの開発につながっています。このコンペの結果から2018年5月に株式会社wkwkを設立し、さらに2019年には資本的に独立した、という流れになります。
数値化されたデータによって、「子どもの健康状態」をより深く理解できる
編集部:正式なリリースは今年の3月からとのことですが、実証試験はいつ頃から行われていたのですか?
柳瀬:2019年の6月、ちょうど昨年の保育博からですね。協力いただいている保育園の方からは、こういうサービスによって「子供のことをより分かってあげられる」という感想をいただいています。保育園の保育士さんによる保育には感覚的な側面、つまり「あいまいな部分」が多くありますが、icucoで数値データが見えることにより、「この子は今こういう状態なのね」と客観的に分かるのがいい、ということを言われました。また、icucoでは睡眠中に体温が上がってくるとお知らせが届きます。人間ではなかなか気付かない眠っている子どもの体調の変化が分かるのは非常に助かる、というご意見もありました。
編集部:たしかに寝ている子の熱が上がっている、なんていうことはベテランの保育士さんでも分かりそうにないですね。