ワンダーボックスの教材セット
編集部:いわゆる「お勉強をするための教材」ではないわけですね。
川島:そうですね。子どもたちのなかにある知的好奇心を引き出し、それを伸ばすことが目的です。そのためにワンダーボックスの製作メンバーには「パズルの世界大会出場者」や「数学オリンピックの問題作成者」も在籍しており、作成された教材は子どもの好奇心をおおいに刺激しながら、しかも非常に高度な内容となっています。
編集部:実際にどのような教材があるのでしょうか?
川島:ワンダーボックスは「アプリ」と毎月届く「キット」の組み合わせで構成されており、ポイントやご褒美に頼るのではなく、「教材そのものの魅力」で子どもたちを引きつけることを目指しました。実際に届ける「キット」については、むやみやたらに多くのモノを送るのではなく、厳選した内容をお届けしています。教材をお届けする箱は開けるとフタに謎解きが仕込まれていたり(その答えをアプリに入力するとその月の教材が開放される)、箱そのものが工作キットになっているなど、開けた瞬間から子どもたちがわくわくするように工夫しています。他にもキャラクターからの指令で家のなかにある「顔に似ているもの」、「三角形のもの」などを探して写真を撮る「ミッションハンター」という教材もあります。これはタブレットだけで学習を完結させず、あえて現実の世界とのつながりを持つために学習内容として取り入れました。
ボスからのミッションに写真で答える「ミッションハンター」
世界中のすべての子どものなかに眠る「可能性」を引き出すために
編集部:「ワンダーボックス」を開発するきっかけは、どのようなものだったのでしょうか?
川島:もともと私は「花まる学習会」という学習塾で「なぞぺ〜」という問題集書籍を作ったり、教室長として子どもを教えたりするかたわら、国内外の養護施設で学習支援をしていました。そこには小学4年生でも小学1・2年生の勉強を教える必要がある子や、非常に自己肯定感が低く、ジャンケンすら「どうせ負けるからやりたくない」というほど自分に自信を持てずにいる子どもたちが大勢いたのです。そんな子どもたちの助けになる教材を作りたいと考えて、まず「シンクシンク」という学習アプリを作りました。このシンクシンクは現在150カ国以上で利用されているのですが、実際に海外でシンクシンクを学ぶ子どもたちのわくわくしている様子を見たとき、さらに子どもたちが本来持っているものを引き出してあげたいと思うようになったのです。それがアプリに「手で触れられるキット」を組み合わせた教材、「ワンダーボックス」を開発するきっかけでした。