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離れて暮らす家族の「つながり」をテクノロジーでサポートする「みてね」

白岩:開発がスタートした2014年当時は、まだまだおじいちゃん・おばあちゃん世代にスマホが普及していませんでしたし、アプリで写真を共有しようとする方もベンチマークになるアプリも少ない時代でした。ですから、開発チームは「みてね」をゼロから試行錯誤しつつ、作り上げていく必要がありました。さいわい開発チームには笠原をはじめとしてパパ・ママ世代が多く、現実に祖父母との写真共有に課題を抱えていたことから、その家族のなかでテストを繰り返すことができました。


スマホに慣れていない祖父母世代の使いやすさも追求

編集部:実際、どういうところがシニア世代にとって使いにくかったのでしょうか?

白岩:おじいちゃん・おばあちゃん世代の方は、孫の写真を見たくて初めてスマホを買うという方が多いようでした。そうすると「アプリをインストールする」という操作も大変ですし、そのうえアプリを利用する際に「利用者登録」があると、もうお手上げということになりかねません。そこで「みてね」では、パパ・ママ側から祖父母をサービスに招待する際、最初からこの人は「おじいちゃん」、この人は「おばあちゃん」と設定し、招待を送る仕組みになっています。アプリのインストールさえサポートしてあげられれば、祖父母は招待メッセージに書かれたリンクをタップするだけで、すぐにアルバムに参加することができます。

編集部:「みてね」にあった「家族を誘う」というメニューは、そういうものだったのですか! アプリを利用するためにメールアドレスを設定して、パスワードを設定して……といった手続きをしなくてもいいのは、本当にすばらしいと思います。

白岩:ほかにもアプリを開くだけで子どもの写真や動画が出てきますし、それをスワイプすれば写真が切り替わります。毎日忙しいパパ・ママへも配慮し、すでにアップ済みの写真や動画は追加画面に表示されないようにするなど、共有時の手間も軽くなるようさまざまな工夫をしています。このように徹底的に操作を簡単にしてきました。ちなみに、「みてね」はFacebookやInstagramなどのSNSと比較されることが多く、「どうして写真に『いいね』がつけられないの?」という意見もときおり寄せられます。しかし、「みてね」は「いいね」をもらって承認欲求を満たすツールではなく、家族で写真や動画を共有するためのアプリですから、使いやすさやシンプルさを貫くためにそれらの要素は意図的に省いています。