- 妊娠期と育児期のパパに役立つさまざまな情報、コラムが毎日配信される
- ママ専用アプリと連携し、夫婦間のコミュニケーションを促進する仕組みになっている
- 利用者の声を常に吸い上げ、それが迅速なアプリの改善と高評価につながっている
今回ご紹介する「パパninaru」は、妊娠期と育児期のパパに役立つさまざまな情報が毎日届くアプリ。それらを読むことでパパの妊娠・育児に関する知識量が増え、妊娠・育児期における夫婦のコミュニケーションに役立つだけでなく、パパがより積極的に妊娠・育児に関われるようになります。そんな同サービスは「BabyTech® Award Japan 2021妊活と妊娠部門」で大賞を受賞しました。そこでBabyTech.jp編集部は「パパninaru」を開発した株式会社エバーセンスの三木さん(以下、敬称略)に取材を行い、同サービスの概要や開発の経緯、今後の展開について伺いました。
(お話を伺ったのは)
株式会社エバーセンス
三木悠輝(みき・ゆうき)さん
「妊娠期」と「育児期」のパパに役立つさまざまな情報やコラムが毎日届く!
編集部:本日はお忙しいところ、大変ありがとうございます。さっそくですが、「パパninaru」の概要と特徴について伺えますか?
三木:パパninaruは、 妊娠期〜4歳くらいまでのお子さんがいらっしゃる「パパ専用」のアプリです。利用する際には、妊娠モードと育児モードの2つに切り替えが可能です。妊娠モードではママのお腹の中の赤ちゃんの成長に合わせて、毎日届けられる内容が変わります。たとえば、その時点における赤ちゃんの様子や、ママに接するときはこういったことに気を付けてあげてくださいね……といったパパへの提案や役に立つ情報などです。赤ちゃんが産まれた後の育児モードでも同様に、子どもの成長に合わせてさまざまな記事が配信されます。
パパの場合、妊娠というのは自分の身体に起こっている変化ではありませんから、なかなかパパになるという自覚が芽生えません。そのため育児を自分事としてとらえることが難しく、ママとのコミュニケーションがうまくいかなくなる……という課題がありました。そこでパパninaruでは、「ママのきもち」や、「先輩パパのひとこと」といった形で、子どもがこれから生まれるパパ・子育て中のパパに必要な情報をお伝えし、夫婦間のコミュニケーションを円滑にすることを目指しました。
たとえば、「子どもの健康診断に同行できなかったときは、きちんと内容について夫婦で情報共有するといいですよ」といったメッセージを送ることにより、パパがより育児に積極的に関われるようにしています。
編集部:取材前にアプリをダウンロードしたのですが、私も子どもが生まれる前にこのアプリがあれば……と思いました。本当にパパというのは、育児についての知識が圧倒的に足りませんから。とくに妊娠期間全体の「イベント」や「ママの身体に起きる変化」を俯瞰できる「妊娠スケジュール」が非常に素晴らしいと思いました。こういうふうに全体像が把握できると、パパは落ち着いて育児に取り組めるような気がします。
ママ専用の妊娠・育児アプリと連携し、夫婦間の知識格差・コミュニケーション不足を解消する
三木:もともとパパninaruの元になっているのは、ママ専用の「ninaru」というアプリです。おかげさまで非常にユーザーの皆さまからの評価も高いアプリなのですが、このninaruとパパninaruは記事の内容を連携させています。そうすることで夫婦間の育児知識の格差を埋めることを目指しています。
編集部:たしかに同じ内容の記事を読んでいれば、自然にそのことを話題にできますね!
三木:記事内容の連携方法も、大きく分けて2パターンに工夫しています。ひとつは同じ記事を同じタイミングで双方のアプリに表示するパターンです。たとえば、一般的につわりがひどくなる妊娠9週目の時期には、パパninaruにもninaruにも「つわりの解消法」という記事が同時に配信されます。もうひとつは、あえて違う記事を双方のアプリに表示するパターンです。具体例を挙げると、安定期である妊娠26週目の時期にはパパninaruには保育園の入園に関する記事、ninaruには妊娠期に気をつけたい糖尿病の記事が掲載されたりします。これはママがつらい時期には夫婦で共通のテーマを、ママが落ち着いていられる時期はお互いがそれぞれ役に立つ行動を起こすヒントになるような異なる記事を配信して、夫婦の育児における協力体制をサポートするようにしています。
編集部:ママが辛い時期にはパパがママに寄り添えるような情報を、そしてママが落ち着いている時にはパパも「保活」という育児における大切な仕事・役割に取り組んでみませんか、という提案をするわけですね!
三木:その通りです。もちろん、パパninaru専用の記事も配信されています。たとえばおなかの中の赤ちゃんの大きさは言葉ではなかなか伝わりませんから、フルーツなどのイラストを添えて表現することもあります。また、パパninaruは朝の7時の利用が最も多いというユーザーデータがあることから、通勤時間にパパninaru はよく使われていると考えられました。そこで通勤時間に手軽に読めることを意識して、「育児用語まとめ」「育児関連の補助金・助成金5選」といったシンプルな記事作成を意識しています。
あらゆる面でユーザーに徹底的に寄り添う姿勢が、アプリの高評価につながっている
編集部:パパninaruが開発された経緯について伺えますか?
三木:先ほど申し上げたママ用アプリのninaruが2015年にリリースされているのですが、そのユーザーの皆様から「パパ用アプリも欲しい!」という声が上がり、2016年にパパninaruをリリースしました。その結果、アプリダウンロードサイトでパパninaruは2万件以上のレビューがあり、評価は5段階評価で4.8をいただいています。
ただ、これまでは男性が育休を取るという風潮はほとんどなく、なかなか時代が追いついてこなかった……という側面もあります。それでも男性も育休が取得しやすくなるよう法制度が代わり、これから大きく利用者が伸びると考えています。
編集部:ありがとうございます。そもそも、ninaruやパパninaruのユーザー評価がここまで高い理由はなんでしょうか?
三木:当社の姿勢として、常に「ユーザーファースト」という姿勢でプロダクトの開発を進めてきました。たとえばネットのレビューやSNSの書き込みなどで、「こういうふうに変えてほしい」「こうだったらいいのに」という声を常に吸い上げ、すぐに開発・修正する体制をとっています。そんなユーザーの声を重視する文化が大きいのではないかな、と思います。
編集部:そのような姿勢が実際に反映された事例を教えていただけますか?
三木:たとえば、かつてパパninaruのメッセージの中に「飲み会などで帰りが遅くなるときは、マメに連絡しましょう!」というアドバイスがありました。これはママが臨月のタイミングで配信される内容でしたが、これについて複数のユーザーの方のSNSに「そもそも臨月のときには飲みにいくな、というニュアンスのメッセージにしてほしいなぁ……」という投稿があったのです。そこで記事の方を「なにが起こるかわからないので、いつでもサポートできるように飲み会は控えましょう」と修正したことがあります。
編集部:それはたしかに、ママとして引っかかりそうな部分です!アプリに対する高い評価は、そういう細かい部分を着実に改善してきた結果ですね。
三木:アプリ開発をすべて社内で行っているところも対応の姿勢・速さにつながっているかもしれません。ママの妊娠中、毎日異なる295日分のメッセージも社内ですべて作成しました。
パパninaruをインストールすることで、パパの行動に大きな変化が……!
編集部:パパninaruを利用されている方の感想を伺えますか?
三木:まずママがパパninaruを見つけて、それからパパにインストールしてもらうという流れが多いです。そしてパパユーザーがパパninaruを毎日見ることで赤ちゃんの情報やママの身体のことを理解してくれ、日々の行動が変わりました……というコメントを多数いただいています。これは私たちとしても非常にうれしい内容です。
ほかにも、なかなかパパ向けにまとまった育児情報というのは書籍でもネット上でも少ないようで、初めてのパパの指南書としてアプリで手軽に見られるのはとてもありがたい……というコメントもありました。
また、弊社がとったアンケートでは、アプリをきっかけとした夫婦のコミュニケーションで最も増えた内容は「ママの体調に関すること」だったという結果が出ています。これも夫婦の情報格差を埋め、さらに夫婦のコミュニケーションを促進するという当社の狙い通りだったと思います。
編集部:利用者数はどれくらいでしょう?
三木:ママ用アプリのninaruと比較すると、パパninaruの利用者数はまだまだ少ないのが現状です。当社としては、ninaruと同程度にまで引き上げていきたいと考えています。
編集部:せっかくママがninaruをインストールしているのに、パパの方がパパninaruをインストールしないのは非常にもったいないですね!夫婦で使えばメリットは何倍にもなると思いますから……。ちなみにネイビーの色合いはとても男性的ですが、デザイン面もかなり工夫されているのでしょうか?
三木:実は最近、パパninaruのロゴデザインを変更しました。以前はパパninaru のパパの部分は「papa」という筆記体だったのですが、これをカタカナの「パパ」に変えたところ、ユーザーのアプリ利用時間が増えました。
編集部:たしかにカタカナの方がスマホの画面上で目立ちます。本当に細かいところまで工夫されているのですね!
妊娠期からパパとつながりを持つ貴重なメディアとして、今後もますます発展が期待される
編集部:最後に、「パパninaru」の今後の展開について伺えますか?
三木: これからもパパとママの情報格差を埋めていくこと、そして夫婦のコミュニケーションがさらに生まれるような機能の開発を考えています。また、現在は一人のお子さんしか登録できませんが、兄弟姉妹も追加できるようにして、複数のお子さんがいる家庭でも使えるように開発中です。また妊娠期の節目のタイミングで、ママとコミュニケーションを取りたくなるような記念画像なども導入したいと考えています。
編集部:パパがもっとママに寄り添えるようにするという御社の姿勢は素晴らしいですね!
三木:2022年4月から男性の育休取得に関する法改正に伴って、育児情報を必要とする男性は増えていくと思います。そのため、よりアプリの利用者数を増やし、多くのパパに妊娠・育児に関する情報を届けたいと考えています。また現在、子どもが生まれた後のパパのためのメディアやコミュニティはありますが、妊娠期のパパとつながっているメディアやコミュニティはほとんどないと思います。そのつながりを持っているところに当社の強みがあると思いますので、妊娠期のパパからの意見をさらに吸い上げ、しっかりサポートすることでパパ・ママの育児を支援していきたいと考えています。
取材を終えて
筆者自身も3歳の娘がいますが、たしかに夫婦間の圧倒的な情報量の違いを感じていますし、その結果「そんなことも分からないの!?」というコミュニケーションギャップが生まれています。特に妊娠期はその実感が強く、娘がまだお腹にいた頃にこのアプリを知っていれば……と思いました。妊娠中のママがいるパパ、子どもが生まれたばかりのパパにはぜひインストールをおすすめします!
「パパninaru」 公式ホームページ
https://eversense.co.jp/product/papaninaru