BTA2024受賞商品発表

「ベビーテック元年」の実現を目指し、企業との共創を加速させる決意!

2020年11月26日〜11月27日、新宿NSビル・イベントホールにて、国内のベビーテック製品・サービスを表彰する「BabyTech® Award Japan 2020 powered by DNP 大日本印刷(以下、BTAJ2020)」の授賞式や受賞企業スピーチ、受賞商品の展示などが行われました。Baby Tech.jp編集部は前回の記事において、「BTAJ2020」の冠スポンサーである大日本印刷株式会社(以下、DNP)でベビーテックを担当されている大島奈緒美さんと浜本晴菜さん(以下、敬称略)に、同社がベビーテックに取り組んだ経緯や株式会社パパスマイルとのパートナーシップ契約、「BTAJ2020」の開催に期待することなどを伺いましたが、今回の記事では開催後の感想や今後の展望についてお話を伺いました。

(お話を伺ったのは)
大日本印刷株式会社 情報イノベーション事業部
第1CXセンター ビジネスデザイン本部 マーケティンググループ
大島奈緒美さん

大日本印刷株式会社 情報イノベーション事業部
第1CXセンター ビジネスデザイン本部 マーケティンググループ
浜本晴菜さん


今回お話しいただいた大島さん(写真左端)と浜本さん(写真右端)。中央はBTAJ2020主催者の株式会社パパスマイル代表取締役・永田

リアルな場だからこそ感じられたベビーテックへの「熱意」と「共感」

編集部:本日はお忙しいところありがとうございます。まずは改めて、御社の「BTAJ2020」協賛の狙いや想いについて伺えますでしょうか。

大島:今回協賛させていただいた当社の狙いとしては、大きく分けて3つありました。1つ目は、当社がベビーテックの分野に進出するということを、広く発信すること。2つ目は、当社のリソースを使ってこのイベントを一緒に盛り上げることで、より多くの方にベビーテックを知っていただくきっかけにしたい、ということ。3つ目は、ベビーテック関連各社の動きを把握し、それらの企業とつながりを作る、ということです。

編集部:ありがとうございます。さて、このたび「BTAJ2020」の授賞式や受賞企業スピーチ、受賞商品の展示などが行われましたが、参加された印象はいかがでしたか?

大島:まずは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の状況下で、無事に開催されて良かったです。 そしてマスク着用や消毒・検温など、運営側・来場者の方の対策へのご協力の甲斐もあり、安心できる環境のなかで充実したイベントになったと感じました。

編集部:ありがとうございます。日常的に子どもと接する保育園関係の方は来場を見合わせられた例もあったようですが、それでも会期中に3000名弱の方にご来場いただけました。

大島:会場では、多くのベビーテック関連企業の方とつながりを持つことができました。授賞式の各社のプレゼンテーションだけでなく、当社が開設したブースにもお越しいただき、さまざまな情報交換ができたと思います。

浜本:私たちにとっても久しぶりの対面の場だったので、各社とのお話やプレゼンテーションを通じて、ベビーテックに対する関係者の熱い想いをリアルに感じることができました。

大島:特に印象に残ったのは、皆さまが自分自身の「原体験」をもとに語られていたことです。私や浜本もまさに子育て中なので、そういう「原体験」と非常に共鳴するところがありました。自分自身が子育てにおいて、とても苦労したことをなんとか解決したい……そういうきっかけでベビーテック製品やサービスを開発した方々とお会いし、その想いを共有できたことは非常に良かったです。

編集部:おっしゃる通り、授賞式の各社プレゼンテーションは、いずれも子育て世代が直面している問題をどう社会的な課題として解決していくか、という情熱を燃やしている方たちばかりでしたから、聞いていて胸が熱くなりましたね。

大島:オンラインでもプレゼンテーションを見ることはできますが、やはり対面の場だからこそ感じられる熱量を受けとることができたので、本当に貴重な機会だったと思います。

さまざまな企業との「共創」により、2021年を「ベビーテック元年」にしたい

編集部:反対に、何か当初の期待と違った点はありますか?

大島:DNPのブースでは、ベビーテック分野で複数の企業が協力し、生活者に新しい価値を提供する「共創」について紹介していたのですが、多くの企業の方から「実は自分たちも何かやりたいと考えていたところです」「どういうことが一緒にできるでしょうか」と声をかけていただくなど、非常に大きな関心が寄せられました。その企業の数や関心の高さは、いい意味で期待を超えていた、と感じています。

浜本:「子育てに関連する事業」をやっていなくても、新規事業として取組みたいと考えている企業が多数存在する、というのは発見でした。また、一社だけでは取組みを推進しきれていない状況から、当社との「共創」に興味を持ってくださり、具体的なディスカッションに発展している企業もあります。


会場に設置されたDNPのブース


DNPのベビーテックに関する共創コンセプト

大島:期待以上に多くの企業と巡り合えたので、やはり「BTAJ2020」のような公の場で、私たちがやろうとしていることを世の中に発信することの大切さを実感しました。

編集部:今年は前回より「BTAJ2020」に対するテレビ取材が多かったことも、発信力の大きさに影響したかもしれません。

大島:おっしゃるとおり、ベビーテックの認知拡大にはメディアの力が欠かせないと思います。今回は特に、夕方のNHKのニュース番組に取り上げていただいたのが大きかったですね。「ステイホーム」や「3密の回避」が求められるウィズコロナ時代において、テクノロジーを活用し、子育てに対してどのような工夫ができるのかという視点は、より注目されていくと思います。

浜本:この番組で使われていた「ベビーテック元年」という言葉には、インパクトがありました。2020年は「子育てにテクノロジーを活用する」という概念が、ビジネスの世界では浸透しつつありましたが、まだまだ社会や生活者の方たちにまでは広まっていません。私たちは企業との共創を通じて、ベビーテックの製品やサービスを、より早く・より多くの育児・保育の現場に提供することで、生活者にもベビーテックを活用できていると実感いただくことを目指したいです。

大島:「ベビーテック元年」というキーワードは、大変ありがたい「追い風」だと考えています。2021年の終わりに、どれだけの生活者の方が、「今年はベビーテックを活用し始めた!」と実感していただける社会にしていけるか、私たちの目標にもなりました。

各分野のベビーテックをつなぎ、より豊かな子育て体験を提供する

編集部:今年の「BTAJ2020」では、「授乳と食事」「学びと遊び」「安全対策と見守り」「妊活と妊娠」「健康管理」「保育ICT」という6つの部門別に「大賞」と「優秀賞」、特別賞として「知育ロボット賞」「午睡見守りデバイス賞」「育児生活サポート賞」が発表されましたが、特に注目されたカテゴリーはございますか?

浜本:これまでのベビーテックには「時短・効率化」のイメージが強く、利用するパパ・ママのなかには罪悪感を抱く方がいたかもしれません。しかし、今回「授乳と食事」部門で大賞を受賞された「最長1週間の献立自動作成アプリ『ミーニュー』」や優秀賞の「親子で食べられる幼児食宅配サービス 『homeal』」は「時短・効率化」だけでなく、パパ・ママが笑顔で子育てするための余裕を提供し、それにより、子どもと一緒に過ごす時間を豊かにしてくれる点が素晴らしいと思いました。

大島:私も浜本も未就学児を育てるワーキングマザーなのですが、日頃から一番よく話していたのは「子どもの食事」のことでした。安全性や栄養面のことなどを深刻に考えることもありますし、作業的にも時間のかかることですから、ある意味で一番負担に感じている分野かもしれません。今回受賞された2商品は、「待ってました!」という感覚でした。

編集部:実は「BTAJ2020」のゲストとしてお招きした芸能人の安田美沙子さんも絶賛されていました。

大島:「食事の準備の効率化」で生まれた時間は、親が子どもと遊んだり、褒めたり、向き合ったりといった関わり合いを深めることに使えると思います。しかし、「食」に関するサービスに特化した企業だけでは、「生まれた時間の有効活用」を実現するには、さまざまなハードルがあるかもしれません。そこで当社や、当社が接点を持つ企業の強みをかけ合わせていくことで、生まれた時間をさらに豊かにする手段を、一緒に生み出していくことを目指しています。子育てをひとつなぎの「面」で見て課題を洗い出し、それに必要な解決手段を企業の力をかけ合わせて生み出していく、という「共創」のあるべき姿がイメージできたのも、「BTAJ2020」の収穫でした。

編集部:おっしゃる通り、今回の「BTAJ2020」では妊活・妊娠から医療、食事、睡眠など、育児のあらゆる局面に対応する「ピース」が揃ってきた……という感触がありました。

大島:私たちは、「子育ての小さな困りごと」を大切にしています。積もり積もって大きな困りごと(=社会課題)になってしまう前にすくい上げ、解決策を提供していきたいと考えています。

編集部:ありがとうございます。ちなみに、ベビーテックで今後注目されているのは、どのような分野でしょうか。

大島:同会場で開催された保育博全体においても、「幼児保育における業務効率化」に関するITソリューションは大変豊富でした。一方、最近は長い自粛生活のなかで、「安全・安心」「何事もなく1日を無事に過ごす」という側面に親の意識が向きがちですが、子どもが感性を磨いて気づきを得たり、新たな学びをするということを止めてはいけないと思います。そのような視点でテクノロジーがどう役立っていくのか、注目したいです。

編集部:「BTAJ2020」で言うと、「学びと遊び」部門や「知育ロボット賞」の分野ですね。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって「ステイホーム」を余儀なくされている昨今、新しいソリューションが生まれそうです。

「子育ての小さな困りごと」を企業の共創によって解決する

編集部:最後に、今後のベビーテックに関する御社の動きについて伺えますか?

大島:根本的なところにあるのは、「子育ての小さな困りごと」をいかに企業の力で解決していくか、ということです。企業とディスカッションをする際には、どんな困りごとに着眼しているか、そこに潜む原体験や課題意識をお話しするところから入ることが多いです。その想いの部分で共感しあえた企業の方々とは、「絶対に何かやりましょう!」という合意からスタートし、すぐに「実際に(具体的に)何から始められるか」というディスカッションに移っています。

浜本:「ベビーテック元年」というキーワードに見合うような、具体的なアクションを生み出したいですね。当社は「共創」というテーマを掲げた「DNPイノベーションポート」というオープンイノベーションサイトでも、企業同士の力をかけ合わせることで社会にどのような価値を提供できるのか模索しているところです。

大島:多くの企業と一緒に「ベビーテック元年」に見合うような共創のアクションを起こしながら、それを生活者の実感というところまで繋げる1年にしたいと思います!

取材を終えて

年明けの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の爆発的な感染拡大の少し前だったことや、関係各位の多大なご協力により、「BTAJ2020」は無事に開催されました。そこではやはり、リアルイベントならではの多くの感動と、可能性に満ちた出会いがあったようです。各社が持つ優れたベビーテックがひとつのパッケージとして、全国のパパ・ママや保育の現場などに届くようになれば、子育てはより楽しく、幸せなものになるでしょう。「ベビーテック元年」と名付けられた2021年が、日本のベビーテックの飛躍の年になることを願ってやみません。

DNPイノベーションポート
「Project06 テクノロジーでこれからの育児・保育を変える ~笑顔で子育てができる社会の実現~」
https://www.dnp-innovationport.com/co_creation/babytech/

「BabyTech® Award Japan2020 powered by DNP 大日本印刷」公式サイトhttps://babytech.jp/btaj2020home/