- ポピンズが行う「シッター」「介護」「保育園」の3つのサービスをワンストップで対応
- 「Faxと電話」が主流のシッター業界に先駆け、日本初のウェブ対応を進めてきた
- 「ネット上ですべて完結できる」ことで、顧客とシッターの利便性を飛躍的に高めた
ますます多様化する日本の「子育て家庭」には、さまざまな保育のニーズがあります。しかし、公的サービスには色々な制約があり、決して使い勝手が良いとは言えません。そんなときに助けてくれるのが、株式会社ポピンズのシッターサービス。深夜・休日の預かりはもちろんのこと、病児や英語のみを使用する子どもの預かりにまで対応しており、しかも同社の「ナニー」と呼ばれるシッターは、そのレベルの高さから顧客満足度が95%を超えていると言います。
この株式会社ポピンズの優れたサービスを支えているのが、同社のITシステム「ポピンズシステム」。同システムは「BabyTech Award Japan 2019」で「優秀賞(安全対策部門)」を受賞しています。今回、BabyTech.jp編集部は株式会社ポピンズ執行役員の丸山祐子さんとアシスタントマネージャーの山田円さん(以下、敬称略)に取材を行い、ポピンズシステムの概要や開発の経緯、今後の展開について伺いました。
(お話を伺ったのは)
株式会社ポピンズ 執行役員
丸山祐子(まるやま・ゆうこ)さん
株式会社ポピンズ チャイルドケアサービス部 アシスタントマネージャー
山田円(やまだ・まどか)さん
ポピンズの3つのサービスをシームレスに提供する「ポピンズシステム」
編集部: まず、「ポピンズシステム」の概要について教えてください。
丸山:ポピンズが運営する事業は大きく分けて、「ナニーサービス」と呼んでいるベビーシッターサービス、高齢の方向けに介護スタッフを派遣する「VIPケア」、それから全国で300ヶ所以上になる「保育・教育施設の運営」、そして「研修事業」の4つになります。このうちナニーサービス、VIPケア、保育・教育施設の3つのサービスすべてをワンストップで利用できるシステムが「ポピンズシステム」です。
編集部:具体的には、どのように利用できるのでしょう?
丸山:まず、ナニーサービスとVIPケアについてですが、お客様はスマートフォンでも パソコンからでも簡単にポピンズシステムを使って、ご予約ができます。お客様が「ナニー(注:株式会社ポピンズでのベビーシッターの呼称)」やケアスタッフ(注:株式会社ポピンズでの介護者の呼称)の派遣を依頼されると、ポピンズシステム内部のアルゴリズムが最適なナニーやケアスタッフ候補のマッチングを行い、すぐにその結果をお返しします。その後の契約や派遣予定のチェック、料金請求内容の確認など、サービスを利用する上での一連の機能が「ポピンズシステム」にすべて備わっています。
ポピンズシステムにおける「ナニーサービス」のオーダー画面
保育園での「ポピンズシステム」の内容は少し異なります。お子様の登降園管理や毎月の利用料算出を行ったり、「ポピンズメモリー」という保育園と保護者様の間でお子様の様子をお伝えする連絡帳的な機能があります。その日のお子様の様子を撮影した写真を入れたり、保育園からのお知らせもニュースリリースのような形で送ることができます。「紙の連絡帳」を使っている保育園もまだまだ多いと思いますが、これをすべてオンラインでやっています。
編集部:うちの娘の保育園がまさに紙の連絡帳です……。あれは一刻も早く電子化して欲しいですね!
丸山:弊社の利用者様は複数のサービスをご利用になることがあります。例えば保育園をご利用中のお子様のご家庭で、ベビーシッターサービスを使われるケースもあるわけです。ですから、お客様が複数のサービスを使いやすくするために、ワンストップなサービスを目指しています。
編集部:自宅に介護が必要なおじいちゃん・おばあちゃんがいるかもしれないし、子どもが保育園に通っているけれども、今日は保育園がお休みだからベビーシッターをお願いしよう、といったことがあるわけですね。
丸山:その通りです。2019年初めにリリースしたスマホアプリでは、ログイン後のトップページに「ナニーサービス」、「介護サービス」、「保育園」、グループ会社のベビーシッターサービスの「スマートシッター」のアイコンが表示されます。そして、お客様が契約されているサービスのアイコンの枠には、色がついて強調されるようになっています。つまり弊社の複数サービスを、このアプリ画面からシームレスに利用できるようになっています。
ポピンズシステムアプリから選べる各サービス
スマホでオーダーできる、業界随一のスピーディーな「予約システム」
編集部:ポピンズシステムの「ナニーサービス」に関わる部分について伺いたいのですが、類似する他社サービスとの大きな違いはなんでしょうか?
丸山:国内にベビーシッターサービス会社はいろいろありますが、古くからあるベビーシッターサービス会社は、まだまだオンライン対応になっていないところが多いです。会社としてホームページは持っていますが、予約システムを自社で持っているところはまだまだ少ないのです。
編集部:いちいち電話をして予約しなければならない、ということですか?
丸山:そうですね。裏側のシステム、つまり派遣されるナニー候補のマッチングと手配を「人力」でやっている会社が非常に多い中で、弊社のシステムはITを使っているため、お客様のご予約もアプリで簡単かつスピーディーにできるところは強みだと思います。以前に依頼したナニーが顔写真入りで候補者としてアプリに表示され、その中から選んでいただくこともできます。
編集部:オンライン上で迅速に予約が完結するということですね。他に特徴はありますか?
山田:弊社は当日オーダーでも「100%対応(ナニーを派遣する)」を実現しています。どんなに急なご依頼でも必ずスタッフを手配するのは、他社にはない強みだと思います。最近は日曜・祝日など保育園・幼稚園がお休みのときでも仕事をしなければならないサービス業の保護者様、警察官や省庁の方、早朝や夜中のマーケットに対応しなければならない外資系証券会社の方といった、通常の時間外のオーダーが大変増えています。弊社の「24時間365日対応」というのは画期的なサービス形態で、かつ「英語対応可能」「新生児・病児対応可能」という「基本的に『No』と言わないサービス」を提供しておりますので、そのあたりは他社には無い強みだと思います。
古い体質のシッター業界を変革し続けてきた「ポピンズシステム」
編集部:「ポピンズシステム」は、およそ5年ごとに更新されているということですが、今回のポピンズシステムは何年にリリースされたのでしょうか?
丸山:現行の「ポピンズシステム2015」は2015年にリリースされ、パソコンやスマートフォンでオーダーを頂いたり、予約内容を確認できるようになりました。また、アプリの方は2019年初頭にリリースしました。現在は社内で「ポピンズシステム2020」と呼んでいる新しいバージョンを開発しています。
編集部:2015年より前のバージョンでは、ネットでの予約はできなかったのですか?
山田:前バージョンの「ポピンズシステム2012」がリリースされた当時は、まだスマートフォンが普及していませんでした。その代わり、いわゆる「ガラケー」でお客様がオーダーを入れられるようにしたのですが、これは業界初の取り組みだったと思います。その当時はオーダーが入ったあとのナニーへの連絡やご紹介のメール送付は、すべて手動で対応していました。「ポピンズシステム2015」で画期的に変わったのは、ガラケーだけではなくスマホで見ることができ、さらにコーディネーターが人力で行なっていたナニーへの連絡やお客様へのご紹介も、全自動で行えるようになったことです。
編集部:そのようなシステムを開発されるようになったきっかけは、どういうものがあったのでしょうか?
山田:弊社会長である中村の強い想いですね。中村は自らも子どもを預けて働く母だったときに、非常に苦労した経験からベビーシッター事業を立ち上げました。ですから、常に保育の世界を進歩させたい、という強い想いがあります。結果、ナニーサービスとして日本初のISO9001認証を受けたり、日本で初めて株式会社が運営する保育園をオープンするなど、日本初のことを数多くやり遂げており、その一環として、日本初の「ベビーシッター業でのオンライン化を進めたい」という想いから弊社のサービスのWeb化も始まっています。
「家庭のニーズにマッチしたナニー」を、最速で紹介するために
編集部:開発にはどのようなご苦労があったのでしょうか?
山田:一口に「マッチングの自動化」と言っても、なかなか一筋縄ではいきません。例えば「ナニーとご家庭の相性の良さ」を指標で表すことは、とても難しいものです。さらにナニーのスケジュール調整も含めて、まだまだ全自動になっていないところもありますから、今も「マッチング率の向上」を目指して工夫しているところです
編集部:「マッチング率」というのは、どういうものでしょうか?
山田:「ご依頼に対してシステムで自動的にナニーをご紹介できた割合」です。ポピンズシステムにて最適なナニーをピックアップし、お客さまにご紹介する流れになっているのですが、システムでナニーを探しきれない場合があるのです。その場合は自動ではなく、コーディネーターがナニーを探してご紹介することになります。
丸山:やはりナニーの皆さんも人間なので、システムが機械的に「こちらの仕事はいかがですか?」と打診しても依頼を受けてもらえない場合があり、スタッフがお電話をしてお願いすると依頼を受けてくださったりすることがよくあります。将来的には、こういう部分も何かしら自動化できるといいな……と思っています。
「スマホ世代」の保護者に大歓迎された「ポピンズシステム」
編集部:ポピンズシステムを利用されているお客様の感想を伺えますか?
山田:まず、ポピンズのナニーに対する満足度調査の結果ですが、昨年度も95%以上のお客様に「満足している」とのご回答を頂きました。そしてWebでオーダーを入れていただくシステムについても、若い保護者の利用が増えていることも一因だと思いますが、「非常に便利」との声を頂いています。
編集部:ポピンズシステムについて、ナニーの皆さんの印象はいかがですか?
山田:システム導入当初はナニーの50%以上がガラケーを使っており、使いづらいかもしれない……と言う声もありました。しかし、ここ3年ほどで9割以上がスマホユーザーになり、「ポピンズシステムのおかげでITに強くなった」という方がいるくらい慣れて頂いています。60代のナニーの方でも、グーグルマップでお客さまの家に到着されていますし、スマホでお客様の情報も見ることができるなど、ナニーの方たちからは非常に便利だと言われています。これまでは情報のやり取りに「電話」と「FAX」を使っていたものですから、それと比べたら本当に楽になった、というコメントを頂いています。
編集部:最後に、ポピンズシステムの今後の展開をお聞かせください。
山田:アプリではすでに実現できていますが、Webシステムの指名画面で今はナニーの名前しか表示されません。それを今後は顔写真を見ながらご指名いただけるようにするなど、お客様にとって少しでも利便性が上がるようにシステムを改良しているところです。2019年末にはリリース予定です。
丸山:今後の目標も、まずは「マッチング率向上の挑戦」ですね。お客様におっしゃっていただかなくても最適の人材を最短の時間でご紹介する、飽くなき挑戦です。
<取材を終えて>
共働きで子育てをしていると、仕事の都合と子供の都合の折り合いをつけるのに苦労する場面がたびたびあります。仕事が保育園の休みや預かり時間外に入ってしまった時、子どもが急な発熱を出した時などに、「安全かつ質の高い保育」をしてくれるポピンズのようなサービスは、すべての保護者が心から求めているものではないでしょうか? そして、とにかく忙しい共働き家庭において、面倒な書類の提出や電話連絡を求められることなく、スマホ一つでお願いできるところも本当にありがたいことです。このサービスが全国に広がり、できれば自治体から利用を補助するクーポン券でも配られたらなぁ……と、取材しながら考えてしまいました。
株式会社ポピンズ 公式ホームページ https://www.poppins.co.jp/