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「BabyTech Award Japan 2019」授賞式を開催!保育博2019会場レポート(前編)

記事のポイント
  • 業界初にして最大規模となる「育児関連製品やサービス商談の見本市」、保育博2019開催
  • 会場では、「BabyTech Award Japan 2019大賞」の発表と授賞式、受賞商品の展示を実施
  • 保育園、幼稚園の経営者や保育士、関連企業、マスコミ関係者などが多数来場
  • 初日来場は約2000人、ベビーテックの1ジャンルである保育ICT系展示多数
2019年6月7日(金)〜6月8日(土)にかけて、新宿NSビル・イベントホールにて、「保育博2019」が開催されました。同イベントは東京都の後援を受け、保育博2019実行委員会が主催。オーガナイザーとしてメッセフランクフルトジャパン株式会社、メディアパートナーとしてパステルIT新聞(株式会社サンロフト)、BabyTech(株式会社パパスマイル)が参加しています。

イベントの内容ですが、会場に育児関連製品やサービスを提供する企業、団体が100以上のブースを出展し、プレゼンテーションと商談を行いました。また会場内のメインステージでは、「BabyTech Award Japan 2019大賞」の発表と授賞式のほか、著名人による講演や対談、パネルディスカッションが行われ、さらに別室では各社の製品・サービスのプレゼンテーション、有識者によるセミナーが開催されました。本記事では、BabyTech編集部が開催初日である6月7日(金)に会場を取材した内容をお届けします。


保育博2019受付の様子

毎回満席、立ち見が出るほどだった「主催者セミナー」

保育博2019の1日目は、メインステージでの主催者挨拶から始まりました。メッセフランクフルトジャパン株式会社の梶原靖志氏は、保育博2019が「幼児保育・幼児教育関連」を横断して行われる日本初の総合的な展示会であること、「保育園落ちた 日本死ね」という言葉が話題になったことからもわかる通り、「幼児保育・幼児教育」に対して、非常に大きな関心が寄せられていることなどを述べられました。


主催者挨拶を行うメッセフランクフルトジャパン代表取締役 梶原靖志氏

続くオープニングスピーチでは、菊地学園の菊地政隆理事長が登壇されました。菊地氏は静岡第一テレビで「歌のお兄さん」・「まあせんせい」として有名な方であり、毎日放送の「情熱大陸」にも出演され、全国で講演活動をされています。


オープニングスピーチを行う 菊地学園理事長 菊池政隆氏

お話は、菊地氏の実家が無認可保育園だったころの思い出に始まり、子供の成長に関わることの素晴らしさを知った経験、幼児保育の無償化による施設運営への影響、改定された保育要領で強調されている「子供の主体性」についての内容でした。
そのほか「親の利便性ばかりを追求する保育」への警鐘や、保育の目的は「子供たちが生きる力を育む」ことではないか、というお話もありました。さらに、耳の不自由な子供のために作った歌のエピソードと、その歌を披露していただきました。


対談を行う井内氏と石田氏

メインステージでは、さらに北海道のリズム学園の井内聖学園長とEリソースセンター株式会社の石田敦志代表取締役の対談も行われました。さまざまな話題に及んだなか、特に印象的だったのが、「保育園・幼稚園のICT活用の最初の一歩は?」という問いに対して、井内氏が「昔は写真を撮るときにデジカメを使っていましたが、最近はあまり使わないですよね? みんなスマホで写真を撮っていると思います。ところが保育園ではなぜか今でも、デジカメを使っていたりします。それをまず、スマホにするのが第一歩でしょう」と回答されたことでした。

さらにリズム学園では、キャッシュレス決済(セブンイレブンのnanaco)を取り入れていることもお話しされ、電子マネー決済に切り替えたことで小銭の両替や管理の手間がなくなったこと、また、このような技術を導入することで、先生方の負担が減り、経営者としても残業代の支払いが削減できるメリットがあった、と話されていました。このほか、有識者によるパネルディスカッションも行われ、特に深刻な不足が懸念されている「保育士の確保」についての議論などが行われました。


「激変する保育経営について」をテーマにしたパネルディスカッション

 

熱心にメモをとる参加者が多かった「出展者プレゼンテーション」

プレゼンテーションルームでは、出展各社の自社製品・サービスのプレゼンテーションが行われました。時間の関係上、取材できたのは「BabyTech Award Japan 2019」大賞受賞者のプレゼンテーションと、株式会社サンロフトによる保育園内の情報共有システム「nanoty」の紹介でした。


社会体験アプリ「ごっこランド」(株式会社キッズスター)のプレゼン


社会体験アプリ「ごっこランド」(株式会社キッズスター)

「BabyTech Award Japan 2019」大賞受賞者のプレゼンテーションは、各社4分という短時間ながら、いずれも魅力的な製品・サービスであることが伝わる内容でした。最初にプレゼンを行った社会体験アプリ「ごっこランド」は、子供がスマホアプリで職業体験ができるというもの。JALやマクドナルド、セブンイレブンといった有名企業が参加しており、ポイントは「徹底した本物志向」、「『褒めること』から始まる親子のコミュニケーション」など。現在、アプリは290万ダウンロード、45万世帯が利用しているとのことでした。


hugsafety(株式会社hugmo)のプレゼン


hugsafety(株式会社hugmo)

続いてプレゼンが行われた「hugsafety」は、睡眠中の子供たちを見守るモニタリング装置です。同装置を開発した株式会社hugmoは、2016年11月にソフトバンクグループの社内ベンチャーとしてスタート。世界中から子供の呼吸を監視するセンサーを探したものの、なかなか納得のいくものが見つからず、その後、ついに要求水準を満たすセンサーを開発中だった株式会社バイオシルバーと提携。共同開発の結果、同製品を生み出すことができたそうです。


さく乳器母乳アシスト電動ProPersonal/ProPersonal+/ Pigeon Switch(ピジョン株式会社)のプレゼン


さく乳器母乳アシスト電動ProPersonal/ProPersonal+/ Pigeon Switch(ピジョン株式会社)

続いて、「さく乳器母乳アシスト電動ProPersonal/ProPersonal+/ Pigeon Switch」は、さまざまな「母乳育児のスタイル」や「さく乳のニーズ」に対応するべく開発された製品。4種類の「さく乳リズム」を導入し、日本で初めてさく乳器と連動するアプリもリリース。利用者からは「授乳の記録が簡単になった!」など、好評価をいただいているとのことでした。


パパっと育児@赤ちゃん手帳(株式会社ファ一ストアセント)のプレゼン


パパっと育児@赤ちゃん手帳(株式会社ファ一ストアセント)

続いて、「パパっと育児@赤ちゃん手帳」は、育児中の写真や生活リズムなど、さまざまな記録を管理できるアプリ。特にすごいのが、50万人を超える利用者のビックデータを活用し、子供の泣き声から感情を分析する機能です。スマホで赤ちゃんの泣き声を聞かせると、「お腹が空いた75%、・眠い25%」などと、「赤ちゃんの気持ち」を推測して教えてくれるため、保護者はそれを見て、適切な対応が可能になるというものでした。また同社は、国立成育医療研究センターと共同研究を行っており、将来的には、さらに幅広い育児サポートが可能になるそうです。


IoT型胎児モニター「分娩監視装置iCTG」&周産期遠隔医療プラットフォーム
「Melody i(メロディ・アイ)」 (メロディ・インターナショナル株式会社)のプレゼン


IoT型胎児モニター「分娩監視装置iCTG」&周産期遠隔医療プラットフォーム
「Melody i(メロディ・アイ)」 (メロディ・インターナショナル株式会社)

続いて、IoT型胎児モニター「分娩監視装置iCTG」&周産期遠隔医療プラットフォーム「Melody i(メロディ・アイ)」は、「胎児の心拍」と「妊婦のお腹の張り具合」を測定し、医療機関にデータをネット経由で送信してくれる装置。世界でただ1つの「フルワイヤレス分娩監視装置」ということでした。この装置を使えば、遠隔で妊婦の状態をモニタリングして産婦人科医が指示を出せるなど、特に「出産可能な病院」が減少している地方において、安全な出産をサポートする手段になりそうです。現在、国内外50ヶ所以上の病院で実証試験が行われている、とのことでした。


ルクミーフォト(ユニファ株式会社)のプレゼン


ルクミーフォト(ユニファ株式会社)

最後のプレゼンとなった「ルクミーフォト」は、保育園・幼稚園での写真撮影の負担を徹底して軽減することを目指したサービス。「保育中の子供たちの様子を知りたい」という保護者のニーズは強かったものの、保育園側は常に忙しく、保育中は両手がふさがっていることが多いために、これまで写真撮影は難しい状況でした。また、公開して良いかどうかを判断する「写真の内容チェック」や、子供たちの間で撮影枚数が不公平になっていないかどうかなどの枚数確認も、大きな労力が必要です。

そこで「ルクミーフォト」は、保育士がハンズフリーで撮影できる自動撮影カメラを開発し、保育士の負担なしに自然な写真の撮影を可能にしました。さらにデータの取り込み・分類を自動化し、写真のチェックもAIがサポート。将来的には「顔認証技術」を使用することで、子供別の撮影枚数も自動的に確認できる、ということでした。


nanoty(株式会社サンロフト)のプレゼン

株式会社サンロフト単独の企業プレゼン(約40分)では、同社の園内情報共有システム「nanoty」が紹介されました。「nanoty」を使うことによって、職員会議の議事録の回覧はタブレット端末で可能になり、閲覧者の確認・メールの開封確認もできるため、情報の共有もれも少なくなります。また、園内イベント(運動会、遠足その他)に関する情報の引き継ぎも「nanoty」上で可能なため、紙の報告書のように保管の手間や、探す手間も省略可能です。「事故報告」においても、スマホで撮影した写真が添付できるため、よりわかりやすく関係者に情報を共有でき、さらに災害時の職員の安否確認も効率的に行えるとのこと。たしかに、これらをすべて紙と電話で行う場合と比較すると、大幅な効率アップになりそうでした。

 

おおいに盛り上がった「BabyTech Award Japan 2019」の発表・授賞式

今回の保育博2019では、国内初の日本のベビーテック製品を表彰する式典、「BabyTech Award Japan 2019」の発表と授賞式も行われました。冒頭に審査委員長の株式会社パパスマイル代表取締役永田哲也が挨拶を行い、審査委員を務めらた菊地学園理事長の菊地政隆氏、朝日新聞の鵜飼誠氏、カラダノート株式会社の彦坂真依子氏から、賞状とトロフィーが大賞受賞企業の代表者に送られました。


冒頭の挨拶をする永田


朝日新聞の鵜飼誠氏と受賞者


カラダノート株式会社の彦坂真依子氏と受賞者


菊地学園理事⻑の菊地政隆氏と受賞者


BabyTech Award Japan 2019 大賞受賞者の記念撮影

一日中、多くの来場者があふれていた各社の展示ブース

会場内には、「BabyTech Award Japan 2019」大賞・優秀賞を受賞した製品・サービスが展示され、来場者の熱い注目を集めていました。
複数のベビーテック商品を同時に比較できるため、実際に画面やデバイスに触ってそれぞれの特徴をためす来場者の姿が多くみられました。
各商品のチラシは当初予想の3倍を超える配布量となり、途中で何度も補充しなければならないという嬉しい悲鳴もありました。
「ここに来れば保育向けICTの主要商品がわかり、自分で触って比較でき、チラシももらえる」という利便がこのにぎわいとなったと感じています。


「BabyTech Award Japan 2019」大賞・優秀賞の展示ブース

保育博2019には100以上のブースが出展され、そちらも大変な賑わいでした。その中には、BabyTech Award Japan 2019へのエントリー企業様も数多くいらっしゃいました。今回はエントリー、非エントリーに限らず、ベビーテックな商品をご紹介します。


株式会社social solutionsのブース


保育ロボット「VEVO」

アワードの施設管理部門優秀賞を受賞された、株式会社social solutionsのブースにあったのは、保育ロボット「VEVO」。ICチップでVEVOにタッチすると、子供たちの登園・降園を記録できるだけでなく、VEVOが自動的に当日の保育記録を参照し、その内容を話してくれます。たとえば、「今日、○○ちゃんは何時間お昼寝しました」「○○ちゃんは、○○ができるようになりました」といった内容を、保護者に教えてくれるそうです。実際に導入している保育園などでも、子供たちの反応が非常に良いということでした。

登園したら、ICチップでVEVOにタッチ

 


トライポッドワークス株式会社のブース


乳児午睡見守り支援システム「べびさぽ」

株式会社トライポッドワークスのブースにあったのは、乳児午睡見守り支援システム「べびさぽ」。お昼寝する子供たちを、同社の画像解析技術を使って見守るシステムです。5分ごとの見守り行動のタイミングを付属のライトの色で知らせてくれ、保育士が見守り行動(呼吸を確認する、体勢を整えるなど)をすると、自動的にアラームは解除されます。すでに全国で50以上の保育園に導入されているとのことでした。

子供たちを見守る「カメラ」

 


株式会社wkwkのブース


子供たちを見守るicucoのセンサーとタブレット端末

株式会社wkwkのブースにあったのは、こちらも子供たちの午睡を見守るicucoという製品。眠っている子供の姿勢や呼吸だけでなく、体温変化なども測定できます。特に斬新なのが、このicucoのセンサーで測定したデータを、保護者のスマホアプリにリアルタイム送信できること。しかも、午睡する子供の状態をチェックできるだけでなく、「保育士さんが子供からどれくらいの距離のところにいるか」も、わかります。同社の担当の方からは、このシステムを「ベビーシッターサービス」で使ってもらえば、サービスを利用する保護者の安心に繋がると考え、提案を進めている、というお話しを伺いました。


icucoと連携するスマホアプリ

 


株式会社ミマモルメのブース


同社のICタグを利用した登降園管理システム

株式会社ミマモルメのブースにあったのは、ICタグを使った登降園管理システム。ICカードをタッチして登降園を管理するシステムは、タッチを忘れる保護者が多いため、同社はタッチ不要のシステムを開発。ICタグを子供のカバンなどに入れておけば、門や玄関を通った時に、自動的に登降園が記録されるということでした。


こちらのICタグは子供たちのカバンなどにも取り付けられる

<取材を終えて>

今回ご紹介できたのは保育博2019のごく一部であり、まだまだ紹介したい製品・サービスがたくさんあります(「保育博2019レポート・後編」もぜひご覧ください)。とにかく当日の会場は、紙面ではお伝えしきれないほど来場者の熱気に溢れており、子供たちや保護者、保育・教育に関わる関係者を支えるベビーテックが、今後ますます発展しそうな勢いを感じました。なお、次回の保育博の開催は2020年6月とのこと。興味を持たれた方は、ぜひ下記までお問い合わせください。

(保育博事務局)
メッセフランクフルトジャパン株式会社
〒102-0072
東京都千代田区飯田橋1-3-2 曙杉館7F
電話:03-3262-8446
メール:info@hoikuhaku.com

保育博2019公式ホームページ
http://www.hoikuhaku.com/