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保育士の「多様な働き方」をサポート!「ikuzeee」(株式会社レイブリー)

本サービスのポイント
  • 「保育士」と「保育をお願いしたい人」を、簡単な3ステップでマッチング
  • 「保育士」が求める「多様な働き方」の実現をサポート
  • 「保育を依頼したい個人・法人」がサービス費用を負担。「保育士」側の利用は無料
最近、保育園に取材で伺うと、どこでも大変な「保育士不足」に悩んでいます。今回取材させていただいた株式会社レイブリー代表取締役CEOの作前雄也さん(以下、敬称略)によれば、日本には120万人の保育士資格者がいるものの、実際に保育園で働いている保育士は、そのうちわずか3分の1とのこと。したがって、最近の深刻な保育士不足は、「保育士資格を持つ人たちが活躍できる環境が整っていない」ことが原因である、と考えられるのだそうです。

そこで作前さんの経営する株式会社レイブリーが開発したのが、保育士と保育園をマッチングさせるスマホアプリ「ikuzeee」。同アプリは2019年3月〜5月にかけてβテストが完了し、2019年9月に正式リリースを目指しています。今回、BabyTech.jp編集部は株式会社レイブリーを訪問し、アプリの概要や開発の経緯、今後の展開について伺いました。

(お話を伺ったのは)
株式会社レイブリー 代表取締役CEO
作前 雄也 さん

保育士と保育園をマッチングする「だけ」のアプリから、リニューアル

編集部:さっそくですが、「ikuzeee」というアプリについて、概要を教えてください。

作前:2019年3月から5月にかけて、クローズドβテストをしてきた段階の「ikuzeee」は、「保育士と保育園をマッチングする」アプリでした。アプリに登録いただいている保育士の方たちに、保育園側が「この日時に保育のお仕事を依頼したい」と提案し、それを保育士側でOKを出せば、仕事が成立。詳細はアプリ上のチャットで打ち合わせることもでき、仕事後の完了報告もアプリで行うという仕組みでした。保育園側が見ることのできる画面では、リスト形式で登録されている保育士が表示され、所有資格(保育士・看護師・栄養士など)や地域などで検索することもできます。

ikuzeeeの操作画面(クローズドβテスト版)

作前:このように「ikuzeee」は、「検索・依頼・承認」の3ステップでマッチングが完結し、アプリ内で保育園が保育士に支払う費用の決済も可能だったのですが、今回の実証試験の結果を踏まえてシステムを大幅にリニューアルし、2019年9月に新たな仕組みで正式リリースする予定です。

編集部:「ikuzeee」はどのようにリニューアルされるのでしょうか?

作前:リニューアルの理由は2つあり、第1はビジネスモデルが「人材派遣業」と見なされてしまう法律上の課題、第2は実証試験に参加いただいた保育士の方たちの声です。特にサービスリニューアルの大きな動機になったのが「保育士の皆さんの声」で、実証試験に参加いただいた方たちに、「保育園でしか働けないという状況から抜け出して、もっと働き方に選択肢を持ちたい」、ということを強く言われたのです。私たちは、その希望を叶えたいと思いました。

 

リニューアルされた「ikuzeee」は、「保育士の多様な働き方」を後押しする

編集部:保育士の働き方の選択肢と言いますと?

作前:たとえば一般企業がイベント会場で、子どもたちの一時預かりサービスをするために保育士を依頼するという働き方が考えられます。個人の方からベビーシッターを依頼されることもあるでしょうし、保育や子育てといったテーマで記事を書いたり、講演をすることも保育士の働き方に含まれると思います。今回のリニューアルは、「保育園の仕事」だけでなく、このような「保育園以外でのさまざまな仕事」と「保育士」をつなぐアプリにする、というものです。

編集部:たしかにイベントなどで「一時預かりサービス」あると、助かりますね!

作前:私たちは、「保育士の働き方の可能性を広げていく」、ということに取り組みたいと考えています。実は、日本で保育士資格を持っている人は「120万人」と言われていますが、保育園で働いている方はその内の3分の1に過ぎず、3分の2にあたる80万人もの方たちは「潜在保育士」と呼ばれ、保育の仕事をしていません。これが最近の保育士不足の原因の一つにもなっているのですが、このような潜在保育士の方たちも、土日だけの仕事や、自宅でできる仕事であれば、保育士として働きたいと考えておられます。ですから、このような保育園以外の仕事を受けられる環境を整えれば、人手不足の保育士業界を手助けできるかもしれない、と考えているわけです。

また、βテストのビジネスモデルは、保育士に支払われる料金から手数料をいただくものでしたが、リニューアル後のビジネスモデルは、「仕事を依頼したい個人・法人」からアプリの利用料金をいただく仕組みになります。これにより「人材派遣業」という法律上の課題はクリアされますし、アプリそのものも「保育士の検索」と「仕事の依頼」に特化したシンプルな内容になるでしょう。

リニューアル後のビジネスモデル模式図

 

IT業界の経験を生かし、「保育士の視点」に立ったサービスを提供する

編集部:「ikuzeee」開発のきっかけは何だったのでしょうか。

作前:2018年1月に、私が保育園の経営者の方と知り合い、保育園の経営にまつわるさまざまな課題を伺ったことがきっかけです。IT業界出身の私からすると、保育の世界ではあまりIT技術が活用されていないように感じました。そこで自分の経験や知識を生かした解決策を提案できるのではないかと考え、2018年6月に株式会社レイブリーを設立し、「ikuzeee」の開発をスタートさせました。

編集部:たしかに保育園では、アナログなやり方も多くを占めますね。

作前:「保育士の業務効率化」については、すでにいくつものツールが開発されていますから、私たちはその分野ではなく、まだまだ進んでいない「保育士の働き方の多様化」という点に注力していこうと思っています。現在の「保育士向け求人サイト」は、あくまで「保育園」という「事業者の視点」で作られているので、私たちは「保育士の視点」に立って、さまざまな選択肢を提供し、それこそ副業としてでも保育士の仕事ができるようなサービスを提供していきたいと考えています。

編集部:2019年9月のリニューアルのほか、今後の展開を伺えますか?

作前:クローズドβテストの段階では、保育士の資格を持たない方も「保育補助」ということでアプリに登録できたのですが、リニューアル後に登録できるのは、「保育士資格を持つ方のみ」とする予定です。また今後は、保育園で必要とされる資格として、「栄養士」や「看護師」の方たちにもアプリを利用していただこうと考えています。

 

<取材を終えて>

作前さんによれば、βテストで参加した保育園からは、やはり単発での応援増員よりも、一定期間の仕事を依頼したい……という声も出たとのこと。しかし、現在保育園に勤めていない保育士の方たちのニーズは、やはり自分のライフスタイルに合わせて仕事がしたいというものでしょう。このような保育園と保育士のニーズのギャップからも、「ikuzeee」という新しいスタイルの仕事のマッチングサービスは、求められているのではないかと感じました。保育士の方たちと一般の企業・個人をつなぐ貴重な場として、2019年9月の正式リリースが待たれます。

「ikuzeee」 公式ホームページ
https://www.ikuzeee.com/