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赤ちゃんの水分量を監視し脱水症状を警告。スマートおしゃぶり「YourPacifier(ユア パシファイア)」

 

「医療先進国」と「医療途上国」で異なる使われ方

編集部:「ユア パシファイア」の使い方を教えてください。

山蔦: 「体温計」などと同様、ピンポイントに必要な時に測定する、というイメージです。赤ちゃんが嘔吐や下痢をするなど、「おかしいな……」と思われたタイミングで「センサー付きのおしゃぶり」をくわえさせる、という使い方を想定しています。

編集部: 使う場所として想定されているのは?

山蔦: 基本的には「家庭」や「保育園」です。そこで使っていただいて、今すぐ病院に連れて行くべきなのか、連れて行かなくても大丈夫なのかを判別するのが第一の目的です。たとえば日本や欧米のような医療先進国では、深夜に嘔吐した赤ちゃんを心配する保護者が、とにかくすぐに救急病院に駆け込んでしまう事例がよくあります。しかし、実際には病院でも「水を飲ませて様子をみてください」という処置になることがほとんどです。それなのにいちいち深夜に救急病院で診療を受けていたら、保護者にとって大きな負担になりますし、国の医療費を圧迫する原因にもなっています。ですから「ユア パシファイア」の役割は、水分量の測定と合わせて適切な処置方法を提示し、保護者の方に安心していただくことになります。たとえば「水分を飲ませて様子をみてください。念のため、一般の病院がオープンしてから診察を受けてください」というようなことを、スマホを通じてアドバイスするわけです。

編集部: パラオのような場所での使われ方はどのようなイメージでしょうか?

山蔦:逆にパラオなどでは、水あたりや食中毒などによる嘔吐・下痢がありふれているため、親が赤ちゃんの深刻な症状を見過ごしてしまうことが多くなっています。ですから、このような場合の「ユア パシファイア」の役割は、必要に応じて「今すぐ病院に連れて行ってください」という通知を出す、というものになります。

編集部: 「ユア パシファイア」の素材や製法について伺えますか?

山蔦:口でくわえる部分は通常のおしゃぶりと同じシリコンラバーを使い、持ち手の部分は3Dプリンターで形成できるPLA樹脂(ポリ乳酸)などを使っています。ただプロトタイプ段階ですので、デザインも素材も変わり続けています。ソフトウェアの改良も含めれば、試作品の数は20タイプ近くになります。

 

「3つの要素」からなる「ユア パシファイア」の構成