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「子連れ移動」のさまざまな悩み・トラブルを解決してくれる「NAVITIME for Baby」

本サービスのポイント
  • 「ベビーカー」「抱っこひも」「一緒に歩く」といった移動方法別に最適ルートを提案!
  • ルート上やお出かけ先の「オムツ替え・授乳できる場所」などが一目で分かる!
  • 「忘れ物チェックリスト」「オススメお出かけ先」など、さまざまな便利情報も充実!

今回ご紹介する「NAVITIME for Baby」は、子育てユーザー向けのウェブサービス。「ベビーカー」「抱っこひも」「一緒に歩く」といった移動手段に合わせて、最適なルートを教えてくれます。そんな同サービスは「BabyTech® Award Japan 2021授乳と食事部門」で大賞を受賞しました。そこでBabyTech.jp編集部は「NAVITIME for Baby」を開発した株式会社ナビタイムジャパンの佐藤渉さん(以下、敬称略)に取材を行い、同サービスの概要や開発の経緯、今後の展開について伺いました。

(お話を伺ったのは)

株式会社ナビタイムジャパン
メディア事業部 マネージャー
佐藤 渉(さとう・わたる)さん

「子ども連れの移動」をトータルにサポートしてくれるウェブサービス!

編集部:本日はお忙しいところ、大変ありがとうございます。さっそくですが、「NAVITIME for Baby」の概要と特徴について伺えますか?

佐藤:NAVITIME for Babyは、お子様連れの方の移動をサポートするウェブサービスです。子どもと一緒に移動する際の課題としては、たとえばベビーカー利用時であれば途中で階段を通ることや、電車内に持ち込んだときの置き場所の不安などがあります。

編集部:私も家族のお出かけはいつもベビーカーなので、よくわかります!

佐藤:また移動中だけでなく、移動の前後にも心配事があります。移動前であれば忘れ物をしてしまわないか。そして移動後、つまり移動先でオムツ替えや授乳をする場所が見つからない……といった課題もあるでしょう。

ナビタイムジャパンは「ナビゲーション技術を用いて安心・安全な移動を支援し、より有益な時間を創出する」という企業理念を掲げています。この企業理念に基づき、子どもと一緒に移動する際のさまざまなお悩みの解決に貢献したいという思いから、NAVITIME for Babyは開発されました。

NAVITIME for Babyのホーム画面

佐藤:本サービスの特徴は、まず子ども連れの移動をトータルでサポートできることです。移動中のルート案内だけでなく、移動前であれば忘れ物を防止するための「チェックリスト」「お出かけ先を探せる記事」の提供、移動後の「オムツ替え・授乳場所のマップ表示」などの機能があります。

次の特徴は、子どもの年齢や移動方法から自動的に最適なルートを提案することです。NAVITIME for Babyはルートの検索条件として、「ベビーカー」「抱っこひも」「一緒に歩く」の3パターンから選んでいただくことができるのですが、たとえばベビーカーを選べば自動的に徒歩速度は「とてもゆっくり歩く」に設定され、階段の代わりにエレベーターを使うルートをご提案します。歩行速度の考慮やエレベーター・エスカレーターを優先した経路検索は、もともと当社のメインサービスである「NAVITIME」で長年提供していました。この技術を活用して子連れの専用機能として提供したのが、今回のサービスになります。

編集部:「ベビーカー」「抱っこひも」「一緒に歩く」を選ぶだけで、適切な設定をしてくれるのはありがたいですね! 「今日はベビーカーを使うからルート案内アプリの設定を変えなくちゃ。エレベーター優先利用、徒歩速度はゆっくりで……」などと細かい操作をするのは、多くの人にとってかなり面倒だと思います。

NAVITIME for Babyでは「ベビーカー」「抱っこひも」「一緒に歩く」の3つのパターンでルート検索が可能

佐藤:また大都市圏の一部エリアでは、各駅で電車のどちら側のドアが開くのか(進行方向に向かって右側・左側)ということも表示されます。これは車内でベビーカーをどの位置に置くかの参考になれば、という考えで提供しました。

編集部:あります、あります! 子どもと電車に乗ると、次の駅でこっちのドアが開くから反対側に寄っていよう……と思いますね。

佐藤:それぞれの時間帯における電車の混雑度の目安も表示していますので、その時間帯を避けたお出かけプランを立てていただくことも可能です。これらはすべて安全・安心な移動をサポートするための情報提供となります。

さらに電車の乗り換え駅や目的地において、授乳室・オムツ替え施設のマップ検索で有名なママパパマップ様のデータと連携し、周辺の授乳室やオムツ替えができる施設を地図上で確認できます。ナビタイムジャパンの技術により、それらの施設までの経路・所要時間もご確認いただくことができます。

乗り換え駅や目的地周辺で、授乳やオムツ替え可能な施設を案内してくれる

編集部:子ども連れでお出かけする人にとって欲しかった機能が満載ですね。

佐藤:これまでのNAVITIMEは「徒歩」「電車」「車」「自転車」といった「移動手段」にフォーカスして経路検索サービスを提供してきたわけですが、NAVITIME for Babyは子ども連れという「移動する人の特性」にフォーカスしたサービスだと言えます。その違いがさまざまなサービス内容・アプローチの違いになっていると思います。

実際に体験した「子ども連れ移動」のさまざまな悩み・不安が開発のきっかけ

編集部:開発の経緯について伺えますか?

佐藤:私の子どもが1才前後の頃、ベビーカーを押して移動することが増えました。その時、NAVITIMEも含めた既存の地図アプリでカバーできていない部分がたくさんあることに気づいたのです。子どもを連れてお出かけすると、「ルート上の階段・エレベーターの位置」「電車のドアが開く向き」「オムツ替え・授乳ができる施設の有無」など、本当にさまざまな不安があることを実感しました。そんな自身の実体験から、ナビゲーション技術によって子ども連れの方の移動における悩み・不安を取り除き、課題解決に貢献したいと考えたのが本サービスを開発するきっかけとなりました。

編集部:本当に子ども連れのお出かけは気を使いますからね……。

佐藤:はい。大人だけの場合とは、移動の仕方そのものが変わると思いました。そして「移動する手段」ではなく、「移動する人の特性」という切り口のナビゲーションサービスは従来にないアイデアだということで、社内でも賛同を得て開発に着手することになりました。

編集部:ちなみにNAVITIME for Babyはウェブサービスであって、アプリではないのですね?

佐藤:はい。アプリだとiPhoneとAndroidで別のアプリを開発しなければならないため、かなり開発期間とコストがかかります。NAVITIME for Babyは実験的な側面もあったため、まずは素早く世の中に出していこうという発想から、ウェブサービスに絞って開発しました。

編集部:開発の過程で特に苦労された点などはありますか?

佐藤:「どのような機能・情報を提供するか」ということが、開発チーム内でかなり議論になりました。当初から移動の前後もカバーするサービスを作りたいというイメージはありましたが、それを具体的な形にするにはどういう内容にすれば良いのか、というところでさまざまな意見がメンバーから出てきたのです。

編集部:たしかに子連れで電車に乗らないと、電車のドアのどちら側が開くかという情報が大切とは気付きませんよね……。

佐藤:情報の見せ方についても議論しました。その結果、これまでのNAVITIMEと同じような表示方法ではなく、子連れの方向けに工夫したものになりました。たとえば電車が駅に着いた時の降車方向を表示する場合、NAVITIMEでは「右・左」と文字で表示しています。しかし、NAVITIME for Babyでは図(アイコン)にして表示するようにしました。なぜなら、子ども連れの時には保護者の方はなにかと慌ただしく、心の余裕がありません。そういう状況でもパッと見て直感的に分かるようにするため、そのように工夫をしました。

各駅での降車方向が直感的に分かるアイコン

佐藤:それから、目的地周辺のオムツ替え・授乳ができる施設の表示は絶対に必要だと思っていました。なぜなら移動中よりも移動後、すなわち目的地についてからの滞在時間の方が長いからです。また、お出かけ中にオムツ替えや授乳は頻繁に起きるので、この部分の情報を提供できなければお出かけをトータルでサポートするとは言えないと考えたのです。

しかし、この「オムツ替え・授乳ができる施設のデータ」が弊社には十分ありませんでした。そこでママパパマップ様とデータ連携させていただいたわけですが、それは私も育児中にママパパマップ様を愛用しており、そのデータの豊富さと鮮度・質の素晴らしさをよく知っていたためでした。社内の渉外担当者に依頼して提携が実現したのですが、ここはこだわった点だと言えると思います。

小さな子どもを連れて移動する機会が多いパパ・ママから絶賛の声!

編集部:NAVITIME for Babyのリリース時期を伺えますか?

佐藤:2020年8月頃から開発をスタートし、2021年3月24日にリリースしました。

編集部:利用者からはどのような感想が寄せられていますか?

佐藤:SNSではサービスイン直後から、「こういうサービスを待っていました!」「子連れの不安をよく分かっている!」など、かなりの反響がありました。また、ウェブサービスであることも「アプリをダウンロードする必要がない」「スマホによって使えないということがない」という観点から評価いただいています。

編集部:NAVITIME for Babyが使えるエリアはどのようになっていますか?

佐藤:ルート検索やオムツ替え・授乳施設の検索は全国で利用可能です。電車の降車方向や混雑度などの情報は、東京23区や大阪、名古屋など一部エリアでの提供になっています。

目新しい機能の追加よりも、現在の機能の改善・充実に取り組む

編集部:最後に今後のNAVITIME for Babyの展開について教えてください。

佐藤:引き続きサービス内容の改善・拡充に努めていきたいと思います。電車の降車方向や混雑度の情報提供エリアを広げていきたいですし、混雑度を加味した移動のサポートについても何かできるのではないか、ということで検討しているところです。機能を新しく追加するよりも、現在ある機能の質の向上に注力したいと考えています。

編集部:大変ありがとうございました。ところで、地方駅では電車とホームのすき間が非常に大きいところがありますから、そういう情報も掲載していただけたらうれしいな……と思いました。ベビーカーや子連れだとヒヤリとすることも多いので。

佐藤:それは社内でもない視点でした。参考にさせていただきます!

取材を終えて

筆者の娘は現在3歳ですが、これまで子ども連れで出かけるときは本当に神経を使いました。「エレベーターが見つからない」「オムツ替え場所(トイレ)が見つからない」「ラッシュアワーに乗り合わせてしまう」「電車の開く側のドア脇にベビーカーを置いてしまい、駅に着くたびに降りなければならない」など、まさに苦労の連続でしたが、本サービスはそんな悩みを一気に解決してくれるでしょう。使い慣れた地図アプリがあるパパ・ママも、ぜひ一度試してみてください!

「NAVITIME for Baby」 ウェブサイト(スマートフォンにて利用可能)
https://www.navitime.co.jp/withchild/list

「NAVITIME for Baby」 プレスリリース
https://corporate.navitime.co.jp/topics/pr/202103/24_5335.html