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子どもの「やる気=わくわくする心」を引き出してくれる画期的な知育教材「ワンダーボックス」

本サービスのポイント
  • 五感を刺激し、数理的な裏付けを持つ教材が「わくわくする心」を引き出してくれる!
  • 子どもたちが「勉強する」ための教材ではなく、「自主的にやりたいこと」をする教材!
  • 将来的にはデジタル技術を利用し、疑似的な「理科の実験」が自宅でできるかも?

新型コロナウィルスが世界中に感染拡大し、小学校や幼稚園、保育園までが休校・休園、登園自粛となってしまったことを受け、ここ最近急速に家庭学習に関連するサービスが注目を集めています。すでに多くの有名企業のサービスがひしめくなか、今年4月に新たにリリースされたのが今回ご紹介する「ワンダーボックス」です。「タブレットやスマホで利用できるアプリ」と「毎月郵送されるキット」から構成されており、かつ「学校の授業サポート」や「受験勉強」のためではなく、子どもたちの「おもしろい! もっと取り組みたい!」という意欲を引き出す独創的な内容となっています。今回BabyTech.jp編集部はこの「ワンダーボックス」を開発したワンダーラボ株式会社 代表取締役CEOの川島慶さん(以下、敬称略)に遠隔取材を行い、同サービスの概要や開発の経緯、今後の展開について伺いました。

 


ワンダーボックスを開発した川島慶さん

(お話を伺ったのは)

ワンダーラボ株式会社 代表取締役CEO
川島慶さん

 

「アプリ」と「キット」で子どもの「わくわくする心(=ワンダー)」を引き出す

編集部:さっそくですが、「ワンダーボックス」の概要と他社の教育サービスとの違いについて伺えますか?

川島:ワンダーボックスはいわゆるSTEAM教育(編集部注:Science<科学>、Technology<技術>、Engineering<ものづくり>、Art<芸術>、Mathematics<数学>の5つの単語の頭文字を組み合わせた造語。近年、注目を集めている教育方針)であり、一般的な学習教材のように学校の授業の理解をサポートしたり、受験勉強をするためのものではありません。また、多くの学習教材はカリキュラムに沿って子どもたちに「学習習慣をつけさせる(=勉強させる)」というスタンスですが、ワンダーボックスは「子どもが興味を持ったことに自由に取り組む(=自発的にする)」ことを目指しています。


ワンダーボックスの教材セット

編集部:いわゆる「お勉強をするための教材」ではないわけですね。

川島:そうですね。子どもたちのなかにある知的好奇心を引き出し、それを伸ばすことが目的です。そのためにワンダーボックスの製作メンバーには「パズルの世界大会出場者」や「数学オリンピックの問題作成者」も在籍しており、作成された教材は子どもの好奇心をおおいに刺激しながら、しかも非常に高度な内容となっています。

編集部:実際にどのような教材があるのでしょうか?

川島:ワンダーボックスは「アプリ」と毎月届く「キット」の組み合わせで構成されており、ポイントやご褒美に頼るのではなく、「教材そのものの魅力」で子どもたちを引きつけることを目指しました。実際に届ける「キット」については、むやみやたらに多くのモノを送るのではなく、厳選した内容をお届けしています。教材をお届けする箱は開けるとフタに謎解きが仕込まれていたり(その答えをアプリに入力するとその月の教材が開放される)、箱そのものが工作キットになっているなど、開けた瞬間から子どもたちがわくわくするように工夫しています。他にもキャラクターからの指令で家のなかにある「顔に似ているもの」、「三角形のもの」などを探して写真を撮る「ミッションハンター」という教材もあります。これはタブレットだけで学習を完結させず、あえて現実の世界とのつながりを持つために学習内容として取り入れました。


ボスからのミッションに写真で答える「ミッションハンター」

 

世界中のすべての子どものなかに眠る「可能性」を引き出すために

編集部:「ワンダーボックス」を開発するきっかけは、どのようなものだったのでしょうか?

川島:もともと私は「花まる学習会」という学習塾で「なぞぺ〜」という問題集書籍を作ったり、教室長として子どもを教えたりするかたわら、国内外の養護施設で学習支援をしていました。そこには小学4年生でも小学1・2年生の勉強を教える必要がある子や、非常に自己肯定感が低く、ジャンケンすら「どうせ負けるからやりたくない」というほど自分に自信を持てずにいる子どもたちが大勢いたのです。そんな子どもたちの助けになる教材を作りたいと考えて、まず「シンクシンク」という学習アプリを作りました。このシンクシンクは現在150カ国以上で利用されているのですが、実際に海外でシンクシンクを学ぶ子どもたちのわくわくしている様子を見たとき、さらに子どもたちが本来持っているものを引き出してあげたいと思うようになったのです。それがアプリに「手で触れられるキット」を組み合わせた教材、「ワンダーボックス」を開発するきっかけでした。


ワンダーボックスの教材には、自分たちの手で作り出すものも

川島:また、「花まる学習会」では保護者の姿勢や関わり方が子どもの成長に本当に大きく影響することを目の当たりにしてきました。保護者が子どもの知的好奇心や自主性を尊重できないと、なかなか子どもは伸びていきません。大切なのは、子どもに「将来はこんな知識や技術が役に立つから、これを学びなさい」と押し付けるよりも、子どもたち自身の好奇心(=ワンダー)を引き出してあげることだと思っています。そうすることで、子どもたちは将来、大人が想像もつかないようなものを生み出し、素敵な世界を自分たちの手で創っていくと思います。だからこそ、ワンダーボックスは知識を身につけるのではなく、「感じて・考えて・作り出す」体験を通して、自分らしく生きるための土台となる感性や思考力を育むための教材として開発しています。

 

子どもにとって「ワンダーボックス」が待ち遠しくてたまらない存在に!

編集部:「ワンダーボックス」について、子どもたちや保護者からはどんな感想がありますか?

川島:子どもたちが1日に何度も郵便ポストを見に行くほど楽しみにしている、という感想をいただいたのはうれしかったですね。子どもたちにとって「ワンダーボックス」は勉強ではなく「遊び」であり、やりたいこと。一方、使ってくださっている保護者の皆さんにとっては「やってくれると嬉しいこと」と考えていただけているようです。それから、ワンダーボックスの対象年齢は4歳から小学4年生までと設定しているのですが、小学4年生の保護者の方からは、「これからも続けたいけれど5年生になったらどうすればいいの!?」という声もありました。保護者の皆さまからは思考力を伸ばせる点、他にないようなユニークな教材やデザインが特に素晴らしい、と評価をいただいています(編集部注:実際は4-10歳は目安であり、無学年制のため、対象年齢外でも取り組むことが可能とのこと)。

また、利用者の感想とは言えないかもしれませんが、こんなこともありました。本来ワンダーボックスは、学校から帰ってきたあとや休日などの空き時間にちょうどやり終えられる量にしています。ところが新型コロナウィルスによる休校で時間ができてしまったため、キットが到着してから3日でワンダーボックスをやり終えてしまった……というような声がありました。これについてはアプリを通じて、教材の新しい遊び方をすぐに収録して動画配信しました。このように、お客様からの声にすぐに反応して対応ができることも、デジタルを活用するメリットだと思います。

編集部:識者からは何かコメントは寄せられていますか?

川島:私の恩師であり、「プロフェッショナル 仕事の流儀」というNHKの番組にも出演した栄光学園の数学教師で井本陽久先生という方がいらっしゃるのですが、「これほど内容の濃い教材を毎月作れるのか?」と心配されてしまいました(笑)。保護者の方は気づかないかもしれないが、数理的思考や五感を使った「すべての学びの土台」となる内容で、子どもの人生の可能性を開くことに大きく寄与する教材になっているね、と過分なお褒めの言葉をいただいています。

ワンダーボックスは子どもが自主的に進められるよう設計されている

 

さらに高度なSTEAM教育への進化と世界展開も視野に

編集部:今後の「ワンダーボックス」の展開について教えてください。

川島:STEAM領域を横断する形で子どもたちの「知的わくわく」をさらに引き出す教材にしていきたいですね。具体的には物理や化学領域で、普通の家では危なくてできないような理科実験をデジタルで擬似的に再現することなども考えています。また、海外在住の方からも大きな反響をいただいており、まずは近日中に、国を限定しての取り組みをスタートさせ、そこから徐々に対象国を拡大していく予定です。ワンダーラボとしての世界展開は、物理的なキットは流通面で展開が制限されてしまいますので、ワンダーボックスという媒体に限らず、「知的好奇心(=ワンダー)」という領域で、世界の子どもにその時代にできる最高の体験を楽しんでもらえるような展開を目指していきたいと思っています。


シンプルに見えて奥が深い「ワンダーボックス」のプログラム

 

取材を終えて

「子どもたちが1日に何度も郵便ポストを見に行くほど楽しみにしている」というお話を伺い、取材した私自身も子どもの頃に毎月届いた学研の「科学」の付録を楽しみにしていたことを思い出しました。それもまさに勉強ではなく、自分がやりたいことでしたが、その経験はのちの人生にとても役立ったような気がします。ワンダーボックスも同じく、子どもたちにとって最も大切なやる気や好奇心、生きる力の源泉を引き出してくれるものかもしれません。小さな箱につまった無限の可能性に、これからも期待したいと思います。

ワンダーボックス公式ホームページ
https://box.wonderlabedu.com/