- 誰もが直感的に理解できる「木製ブロックを転がす玩具」と「スマホ」が連携!
- 子どもたちや保護者が自分たちで新しいゲームを作り、シェアする場も用意!
- 楽しく遊びながら、創造性や手先の器用さなど、さまざまな能力を育むことが可能!
新型コロナウィルスの感染拡大により、子どもと家で過ごす時間が増えた方も多いのではないでしょうか。そんな自宅で過ごす時間を楽しくしてくれそうなアイテムが、今回ご紹介する「ころぴゅーた」です。こちらは「ひらがなが書かれた円筒状のブロック」を付属のスロープに転がすと、連携したスマートフォン(スマホ)で絵本やゲームが楽しめるというIoT知育玩具。2020年4月21日から、クラウドファンディング「GREEN FUNDING」でのリリースが予定されています(編集部注:緊急事態宣言の発令により延期)。BabyTech.jp編集部は「ころぴゅーた」を開発した株式会社テイ・デイ・エスの横田さん、永嶋さん、加藤さん(以下、敬称略)に取材を行い、同製品の概要や開発の経緯、今後の展開について伺いました。
画面左が横田さん、画面右上が永嶋さん、画面右下が加藤さん
(お話を伺ったのは)
株式会社テイ・デイ・エス リプラグ事業部
横田 千晶(よこた・ちあき)さん
永嶋 邦子(ながしま・くにこ)さん
加藤 健大(かとう・たけひろ)さん
昔ながらの「木のブロックを転がす玩具」がスマホと融合したら!?
編集部:さっそくですが、「ころぴゅーた」の概要と特徴について伺えますか?
横田: 「ころぴゅーた」という名前は、「木製のひらがなコンピュータ」というイメージから付けました。ひらがなが書いてある木のブロックを付属のスロープで転がすと、ブロックに内蔵されたRFIDタグをリーダーが読み取る仕組みになっています。それにより、スマホに表示されている絵本に出てくる文字と同じブロックをスロープで転がすと、ストーリーが先に進むなどの遊び方ができます。当社で「ころぴゅーた」専用の付属アプリを作ったのですが、現時点ではそのなかに先ほど説明した「絵本」と「文字を使った簡単なゲーム」をインストールしています。子どもがひらがなを覚えたり、言葉を覚えたりする最初のきっかけを、今までよりもっと楽しいものにしたいという思いで開発しました。
「ころぴゅーた」の外観
編集部:これは面白いですね! 家庭内にWi-Fi環境は必要なのでしょうか?
加藤:今、検討しているアプリの仕様としては、ネットワーク環境が必要です。なのでWi-Fi推奨という感じです。使わなくなったスマートフォンを「ころぴゅーた」用に使う場合を考えると、アプリのインストールと実際に使用するときにWi-Fi環境が必要になりますね。
横田:こちらは「ころぴゅーた」で遊べる絵本のサンプルです。スマホが自動音声で物語を読み上げると同時に画面上で少しずつ絵がスクロールし、そのストーリーに登場するアイテムや生き物などの「単語」が表示されます。たとえば「この道を進もう」というページでは「みち」という表示が出て、「み」と「ち」のブロックを転がすと次のページに進むわけです。
「ころぴゅーた」で遊べる絵本の画面
編集部:シンプルですが、これは楽しいですね!
新しいゲームを作って、他のユーザーにシェアすることもできる!
横田:「ころぴゅーた」をリリースするにあたっては、「ころぴゅーた」の仕組みを使ったオリジナルのゲームを作っていただいたら、それを付属アプリ上でシェア(共有)できる仕組みを考えています。
編集部:「ころぴゅーた」の付属アプリでゲームが作れるのですか?
加藤:いえ、「ころぴゅーた」や付属のアプリでは、ゲームを作れません。ユーザーの方がプログラミングをして自作ゲームを作るという想定です。「ころぴゅーた」のアプリには、作ったゲームを他のユーザーとシェアできるプラットフォーム「ころぽん」を用意する予定です。なので、「ころぴゅーた」はプログラミングを学ぶ教材ではなく、プログラミングを学ぶきっかけを作ってくれるおもちゃというイメージですね。この機能により「ころぴゅーた」の拡張性はかなり高まると思います。
編集部:自分で作ったゲームでも遊べる、というのは非常にユニークですね!
横田:エンジニアの中には、自作したゲームをコミュニティでシェアする方がいます。そこで、「子育てや子供の遊びに役立つゲームを作ってみたい!」と思う方もいらっしゃるのではないかと考えました。「ころぴゅーた」で自作ゲームがシェアできれば、エンジニアの方たちに関心を持っていただくフックになるのではないか、と思っています。実際、初めてこの製品をお披露目したとき、エンジニアの方たちの反応が良かったです。
編集部:ゲームを作るには、高度なプログラミング知識が必要なのですか?
横田:小学校からプログラミング教育が始まるということもあり、「ころぴゅーた」をきっかけにプログラミングの勉強をしてみたい、簡単なゲームを作ってみたいという子どもや保護者もいらっしゃいます。ですから、頑張らなければいけないけれども、そこまで高度な技術を必要としないオープンソースのプログラミングソフトを使って、ゲームを制作・シェアできないか、検討しています。
「アナログ」と「デジタル」の開発チームがコラボして生まれた新発想
編集部:「ころぴゅーた」を開発された経緯について伺えますか?
横田: 当社は「リプラグ」という文具・雑貨ブランドで10年以上、ステーショナリーやカレンダーなどを企画・販売してきました。そこで培ってきた「手で触れるアナログ商品」の技術に、デジタルなテクノロジーを掛け合わせて新しいものを作りたい、と考えたのが開発のきっかけの一つです。もともと当社は広告制作のデザインを専門とする会社であり、社内にはウェブサイトやアプリの企画といったデジタルの開発を担当する社員もいました。そこで「リプラグ」でアナログな商品開発をしていたチームと、デジタルの分野に関わっていたチームが一緒になって開発をスタートさせたのです。
スタイリッシュなリプラグの文具
永嶋:「ころぴゅーた」のアイデアは「言葉」を使ったもので、デジタルと真逆のイメージを持つ「手で触れられる木製アイテム」を組み合わせたらどうだろう、ということから生まれました。「自分たちにどんなものができるだろうか?」というところからスタートしたので、とにかく自分たちが好きなものを作ってみようという雰囲気でしたね。たとえば、私は「ひらがな」の書体の美しさをもっと世の中に浸透させたいと思っていましたし、デジタル側の開発チームはデジタルをもっと身近に感じてもらいたい、と考えていたのです。
編集部:だからこそ、これほどユニークなものができたわけですね。
横田:「リプラグ」の商品を使ってくださるお客様は、もともとライフスタイルにこだわりのある30代〜40代くらいの男女です。ちょうど年齢的に小さなお子さんがいらっしゃる方が多かったので、そういう面でもちょうどいい提案になると考えました。そこで「リプラグキッズ」という新しいラインのブランドを作りました。より良い未来が広がるように子どもたちの創造性を伸ばしてあげること、大げさですが「生きる力」を育むものを作ることが私たちの理想であり、顧客層にもあっていたと思っています。
「ころぴゅーた」のための新ブランド「リプラグキッズ」
編集部:開発する上で苦労された点はありますか?
永嶋:ひとつの製品の中にデジタルとアナログの両面があるため、開発にとても時間がかかったことです。ブロックに採用したRFIDタグは品質と価格の調整が大変でしたし、木製ブロックも自分たちで板を切り、一つ一つ手作りしました。プロトタイプから外観はほとんど変わっていないのですが、細かい調整点は無数にあります。たとえば木製ブロックの底の厚みを増したらRFIDタグの読み込みがうまくいかず、また元に戻すためにブロックを手作業で切り出して……というようなことを繰り返しました。
編集部:デジタルとアナログを融合するために、やはり細かいところでさまざまな苦労があったのですね。
夢中になって遊ぶことで、子どもの創造性や能力が自然に引き出される
編集部:実際に「ころぴゅーた」で遊んだ子どもたちや、保護者の感想はいかがですか?
横田:2018年8月に開催された「Maker Faire Tokyo2018」という展示会に、「ころぴゅーた」の初期のプロトタイプを出展しました。これは現在のものより少し大きかったのですが、形状や遊ぶ仕組みは同じものです。そこに来場した子ども達や保護者の方に遊んでいただきました。まず、子ども達は本当に夢中になりますね。とにかくブロックをスロープで転がすことが楽しいようで、えんえんと遊んでくれました。また、ブロックをしまうケースのくぼみにも文字が書かれているのですが、そこにブロックをしまうお片づけも夢中になってやってくれていました。
永嶋:「Maker Faire Tokyo2018」では、もうひとつ別のデジタル系のおもちゃを出したのですが、「ころぴゅーた」の方が圧倒的に人気でした。 こっちのおもちゃが空いてるよ、と子ども達に言っても「ころぴゅーた」の列に並び続けるほどで、とにかく転がすのが楽しいようです。途中で飽きる子もいませんでした。
「ころぴゅーた」で遊ぶ子ども
横田:「ころぴゅーた」の転がりは特に改良を重ねたところです。傾斜角度や転がる速度、スムーズさなどを何度も計算してプロトタイプを作ってきました。子どもたちにとって「本能的・直感的に遊べるもの」であることが大切だからです。もうひとつの感想としては、保護者の方たちから「木」の玩具であることを大変評価いただきました。こういったデジタル要素のある玩具はプラスチック製のものが多いので、手触りの良い木製という点に魅力を感じたとのことです。ライフスタイルにこだわりのある保護者の方も、木の自然な色や温かみが心地よく生活空間に馴染むので、リビングルームに置いておきたくなるということでした。
編集部:「ころぴゅーた」の対象年齢はどれくらいをお考えですか?
横田:3歳〜6歳くらいの未就学児がメインのターゲットです。保育士さんや幼児教室の先生方に「ころぴゅーた」をお見せしたら、ひらがなが身近にあると言葉に興味を持つきっかけになるので、こういうおもちゃがあるとひらがなが自然に頭に入ってくるということでした。また、ブロックをつまんでスロープで転がすという動作は、細かい指の動きが必要になるので、手の「巧緻性」を育むそうです。そんな子どもにとって刺激のある動作が多いのも面白い要素だ、という感想をいただきました。
「蔦屋家電+(プラス)」とコラボしたクラウドファンディング、そしてオプションの展開も
編集部:最後に、これからの「ころぴゅーた」の展開について伺えますか?
横田:まずは4月21日からクラウドファンディングをスタートさせるとともに、東京都世田谷区の二子玉川駅にある「蔦屋家電」にある「蔦屋家電+(プラス)」というショールームに、実際に「ころぴゅーた」を設置させていただく予定です(編集部注:コロナウィルス感染拡大による緊急事態宣言を受けて、上記の日程は変更になりました)。一般販売価格は1台5万円の予定ですが、クラウドファンディングに参加いただける方は最大25%オフの3万7500円程度で購入することができる設定にしています。ご購入いただいた方には、2020年の年末ごろにお届けする予定です。(編集部注:コロナウィルス感染拡大による影響で変更になる可能性あり、とのこと)
編集部:その後は全国のおもちゃ屋さんで買えるのでしょうか?
横田:今のところは自社のECサイトで取り扱う予定です。かなりの重量になるので、おもちゃ屋さんで気軽に購入されることはあまりないと考えました。初回ロットは500セット限定の予定です。
編集部:もし、500台が完売した場合は……?
永嶋:アルファベットや数字のブロックが欲しいというお話もあるので、同じ形で量産されるかニューバージョンになるかは考えたいです。
編集部:アルファベットや数字なら世界展開も狙えますね。スマホも世界共通ですし。
永嶋:そうですね。夢は大きく、世界展開も狙っています(笑)。反響がよければ、アルファベットの段だけオプション購入できるようにすることなども考えています。
「ころぴゅーた」の文字ブロックを収めるケース
<取材を終えて>
今回はネットを利用した遠隔取材となりましたが、思わず画面に鼻をこすりつけてしまいそうなほど、「ころぴゅーた」は面白い製品でした。木の手触りや物が転がる面白さ、そして自分でゲームを作りたくなるまでの一連の流れは子どもの成長を大きくサポートし、さまざまな能力や可能性を引き出してくれそうな予感がします。なお、コロナウィルスによる緊急事態宣言を受けて、「ころぴゅーた」のクラウドファンディングは延期されることになりましたが、新たな日程が発表され次第、本サイトにてお知らせ致します。ぜひ、今年のクリスマスプレゼントに手に入れたいものですね!
「ころぴゅーた」公式ホームページ
https://www.replug.jp/coro-puter/