- 毎月平均10〜12時間かかっていた「シフト表作り」の負担を大幅に軽減してくれる!
- 従来の同様のサービスより「初期設定」や「手戻り」が減り、使い勝手も向上!
- 園長や主任クラスの業務を効率化し、本来のマネジメント業務に注力できる!
「ルクミー午睡チェック」「ルクミー体温計」など画期的な保育アイテムを次々と開発・販売し、さらに全国に普及している登降園管理システム「キッズリー」の事業譲渡を受けたユニファ株式会社が2019年12月、「ルクミーシフト管理」という新たなサービスのリリースを発表しました。これは従来、保育園の園長や主任クラスを非常に悩ませ、貴重な時間を割かざるを得なかった「保育士のシフト作成・修正」の負担を大きく軽減するものとのこと。今回、BabyTech.jp編集部は「ルクミーシフト管理」の事業責任者であるユニファ株式会社の小林大剛さん(以下、敬称略)に取材を行い、サービスの概要や開発の経緯、今後の展開について伺いました。
本サービスの事業責任者 小林さん
(お話を伺ったのは)
ユニファ株式会社
ビジネス本部HRグループ
ソリューション課 課長
小林 大剛(こばやし・ひろたけ)さん
「管理職クラス」の業務負担を減らすことで、保育園の環境を改善する
編集部:保育園の「シフト管理作成」というサービスを開発された理由を伺えますか?
小林:当社のアンケート調査によれば、保育園における保育士の先生方の勤務シフトの作成・管理には、平均して毎月10〜12時間が費やされています。「ルクミーシフト管理」は、この勤務シフトの作成・管理業務を効率化するものです。業務にあたられているのは主に園長や主任といった「管理職」の方たちですが、「ルクミーシフト管理」がその方たちの業務負担を軽減することで、より保育の現場に向き合い、保育士の先生方の悩みを聞くこともできるのではないか……と、考えています。
勤務シフトの作成・管理にかかる時間のアンケート結果
編集部:つまり「マネジメント職の仕事」に、より時間が割けるようになるわけですね。
小林: そうですね。保育の現場は一般の企業のように「特定の業務(=タスク)」の進捗を管理すればよいという職場ではなく、お子さんの成長を見守る仕事です。ですから、日々の仕事の中で気軽に保育士の先生方が管理職の方たちに相談できるような環境づくりは、とても大切なのではないでしょうか。
編集部:もしかすると、保育士の離職率を下げる効果もあるかもしれませんね。
小林:これは私の個人的な理想でもあるのですが、「ルクミーシフト管理」を開発した背景には、「子どもたちの夢を大切にしたい」という思いがありました。小中学生くらいの子どもたちに「将来なりたい職業」のアンケートを取ると、保育士は女子のトップ10に入るほど人気のある職業です。それなのに現実には保育士不足が叫ばれ、潜在保育士の方たちが80万人もいると言われています。私は子どもたちが将来なりたいと思っている職業が、つらく苦しいもののままであってはいけないと思いますし、そのためには保育現場の改善や業務の効率化が必要だと考え、作業ボリュームの大きい「シフト管理」という業務に着目しました。
まだまだ保育園には、ITで省力化できる「アナログ作業」が多い
編集部:続いて、「ルクミーシフト管理」の概要について伺えますか?
小林:「保育園のシフト作成・管理」に時間を取られる理由は3つあります。まず1つ目は保育園の配置基準です。登園する子どもたちの人数に合わせて、配置しなければならない保育士の先生の数は決められていますから、その人数をきちんと満たすシフトを作らなければなりません。するとシフト表を作成するときに、その日の保育時間帯に保育士が何人いるかをカウントしながら作る必要があります。これが紙を使ってシフト作成している保育園ですと、「この日のこの時間帯は保育園に何人いるか……」と数えながら作業を進めなければならないわけですね。それこそ「正」の字を使って、カウントしながら作成されている保育園もあります。さらにシフト作成の途中で、保育士の先生方から「この日は休みます」と言われて、また数え直し……ということも、よくあるそうです。まず、これが時間のかかる要因の1つです。
保育園で作成されているシフト表の例
2つ目は、保育士の先生方の負担に配慮しなければならないということ。たとえば、保育時間が朝7時から夜20時に渡る保育園の場合、前日21時にお仕事が終わった方に、翌日6時45分に出勤することはお願いできないわけです。さらに早朝のシフトや夜間のシフトは負担が大きいですから、一部の先生ばかりにお願いすると不公平感が生じてしまいます。ですからシフト作成する際には、それぞれの先生方が早朝・夜間のシフトに入っている回数を数える必要があります。エクセルの関数を使えばパソコンで作業することも可能ですが、保育の現場にそのような技能を持っている方は少なく、紙を使った手計算の世界から抜け出せないという状況が続いています。
編集部:気の遠くなるような作業ですね……。
小林:そして3つ目の時間がかかる要素は、シフトを紙で作っている場合、そのシフト内容を勤怠管理システムに入力しなければならないことです。
編集部:「シフトの内容を勤怠管理システムに入力する」と言いますと?
小林:最近はICカードなどで出勤・退勤時間を記録するシステムは普及していますが、結局のところ保育士の先生方のシフトと照らし合わせなければ、残業時間の計算ができません。「この先生は○日は○時〜○時に勤務するシフトだったから、○時に退勤したということは、残業時間は○時間……」と入力する作業が必要になってしまうわけです。ですから「ルクミーシフト管理」には、勤怠データと連携する機能も付加しました。これにより、シフトを完成させれば自動的に勤怠管理システムにデータが移行し、残業時間が計算されます。
目指すのは「シフト作成の全自動化」ではなく、「シフト作成の省力化」
編集部:「ルクミーシフト管理」で解決を目指されている課題が理解できました。次に、「ルクミーシフト管理」の操作イメージを伺えますか?
小林:まず、保育園のその日の「在籍園児」の数に合わせて、必要な保育士数が配置されているかどうかをチェックできる機能があります。具体的には、ある保育士の先生のシフトを入力すると、自動的に「そのシフトの時間帯に在籍する保育士数」としてカウントされます。あとは、その日の必要な保育士数を満たすまで、他の保育士の先生のシフトを入力していけば良いわけです。
「ルクミーシフト管理」の操作画面
編集部:「この日のこの時間帯の配置基準は満たしているだろうか……」と、手計算でカウントする必要がなくなるわけですね
小林:その通りです。また、ある日に14時に帰らなければならない保育士の先生がいらっしゃる場合は、その日の14時以降の時間帯で保育士数が不足していることも、すぐに画面上でわかるようになっています。あとは配置基準を満たすように、別の先生のシフトを入力すれば良いわけです。また保育士の先生方の早朝・夜間シフトの負担が偏らないよう、先生方の早朝・夜間シフトや土曜日出勤の回数も自動的に集計され、チェックできるようになっています。
編集部:今まで全て手計算で数えなければならなかったことが、自動的にデータ化されるわけですね!
小林:これらだけでもかなりの省力化になりますが、「シフト表の自動作成機能」も「ルクミーシフト管理」の目玉として搭載しています。ポイントは「過去のシフト表を参照して、新たなシフト表を作成する」というロジックにした点です。従来の同種のシフト作成支援システムは、単にランダムにシフト表を作成したり、膨大な設定項目を入力しなければならないものでした。そのため、できあがったシフト表を後から人間が修正する手戻りが多過ぎたり、初期設定が面倒過ぎるということで、ほとんど使われてこなかったのです。
編集部:従来の「勤務シフト自動作成システム」には、そういう欠点があったのですね……。
小林:そこで、本システムでは「保育士の先生方の事情を踏まえて過去に作成したシフト表」を、システムが自動的に参照・分析して、シフト表を作るようにしています。これにより精度が高まり、さらに初期設定も非常に簡単になりました。また、最初から自動作成機能でシフト表を作るのではなく、先生方のお休みや希望など、すでに決まっているシフトをある程度入力した後に、空いている部分のシフトを自動作成する使い方を推奨しています。それにより、できたシフト表を後から人間が修正する手間を極力減らせると考えています。
「ルクミーシフト管理」の操作方法について説明する小林さん
編集部:この「シフトの自動作成機能」は、使えば使うほど精度が上がっていくものなのでしょうか?
小林:精度に関しては今後検証をしながら向上していく予定です。ただ、過去に先生のシフトとして入力された内容を統計的に計算し、「この先生がよく使うのはこれ」ということを認識して、新たなシフトを作ることは現時点で可能です。なお、「ルクミーシフト管理」はいきなり「シフト作成時間をゼロ」にするのではなく、まずは今まで10時間かかっていた作業を、1時間とか2時間で終えられるようにすることを目指しています。
編集部:大変ありがとうございました。ちなみに「ルクミーシフト管理」は、保育園などでテストされているのでしょうか?
小林:実証試験を2020年1月下旬からスタートし、2020年3月頃から正式に製品をリリースする予定です。2019年12月13日に先行予約のプレスリリースを出させていただきましたが、おかげさまで非常に多くのお問い合わせをいただきました。おそらく3月のリリースの段階では、実証試験で実際に利用された保育園の皆様の感想をお伝えできると思います。
<取材を終えて>
ユニファ株式会社はAIなどの最新テクノロジーを活用し、子どもの安全や保護者の安心と保育業務の負担軽減を実現する次世代型保育園「スマート保育園」を推進しています。前回の「ルクミー午睡チェック」の取材から1年が経ち、今回の「ルクミーシフト管理」を始め、「ルクミーフォト」「ルクミー体温計」「キッズリー」など、同社が提唱する理念を実現するさまざまなピースが、今まさに揃いつつあることを実感しました。IT機器を使って効率化することは、保育士の先生方に余裕を取り戻し、本来の子どもの保育により力を注ぐことができるという点からも、正しい方向性だと感じます。また同社が「シフト作成」という外部からは見えにくいものの、保育園を変えるためには非常に重要な「マネジメント層の業務効率化」に着目した点も、これからの保育園運営に大きなインパクトを与えるのではないでしょうか?
「ルクミーシフト管理」公式ホームページ
https://lookmee.jp/shift/