BTA2023受賞商品発表!

企業との共創でかなえたい「子育てのアップデート」

2020年11月26日〜11月27日に開催される「保育博2020」では、国内のベビーテック製品・サービスを表彰する「BabyTech® Award Japan 2020 powered by DNP 大日本印刷(以下、BTAJ2020)」の授賞式が行われます。大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、「BTAJ2020」を主催する株式会社パパスマイルと2020年8月にパートナーシップ契約を締結し、「BTAJ2020」の冠スポンサーとなりました。BabyTech.jp編集部は、同社でプロジェクトを担当されている大島奈緒美さんと浜本晴菜さん(以下、敬称略)に取材を行いました。お二人は、情報イノベーション事業部ビジネスデザイン本部に所属し、既存の視点に捉われない新たなビジネス開発に取り組まれています。そのプロジェクトの一つが「ベビーテック」とのこと。今回は、DNPが「ベビーテック」に取り組んだ経緯や、「BTAJ2020」および株式会社パパスマイルとのパートナーシップ契約に期待すること、さらに「ベビーテック」におけるさまざまな企業との「共創」構想について伺いました。

 

(お話を伺ったのは)
大日本印刷株式会社 情報イノベーション事業部
第1CXセンター ビジネスデザイン本部 マーケティンググループ
大島奈緒美さん

大日本印刷株式会社 情報イノベーション事業部
第1CXセンター ビジネスデザイン本部 マーケティンググループ
浜本晴菜さん


今回お話しいただいた大島さん(右)と浜本さん(左)

 

「ベビーテック」との運命的な出会い

編集部:お忙しいところ、大変ありがとうございます。さっそくですが、御社が「ベビーテック」に取り組まれた経緯を伺えますか?

大島:実は当社が「ベビーテック」に取り組むきっかけは、私が2019年12月に夫と娘の家族3人で都営地下鉄・新宿線に乗ったことでした。いつものようにダダをこねる当時2歳の娘に手を焼きながら、優先席の近くでたまたま見かけたのが、「BTAJ2019」の広告だったのです。まさに困っていた私たちの状況もあり、その広告の「テクノロジーで育児を支援する」というメッセージは、「子育て家族の大きなヒントになりそうだ!」と直感しました。そして、その場で広告の写真を撮り、翌日には「BTAJ2019」を主催する株式会社パパスマイルに連絡させて頂いたのです。

編集部:あの広告は都営地下鉄3路線のそれぞれ1編成のみ、しかも優先席付近にしか掲載されていませんから、ものすごい偶然ですね!

大島:ちょっとドラマチックですよね(笑)。それまで私にとっての子育ては「人の手でなんとかしなければならないもの」という固定観念がありましたが、「テクノロジーを使っていいんだよ」という「ベビーテック」の概念は、非常にインパクトがありました。また、自身が悩んだ経験から、「復職後は育児をサポートするビジネスをやりたい」と思っていたので、それもあの広告に反応できた理由かもしれません。それからすぐに、社内のママ友だった浜本にも「ベビーテック」のことを話しました。


広告を見たとき「ビビビ」と来ました、と語る大島さん

浜本:私には4歳と2歳の子どもがいるのですが、一人目の子どもの育休から復帰した際、仕事と育児の両立に大変苦労しました。そこで二人目の子どもの育休中、夫とも相談して徹底的に家電製品や家事代行サービス等を活用した「家事と育児の効率化・仕組み化」に取り組んだのです。この経験から、大島が教えてくれた「ベビーテック」という概念には非常に共感しました。


「家事と育児の仕組み化」に必要な情報を探すのが大変だった、と言う浜本さん

大島:このタイミングで私たちは新規事業の開発に取り組むビジネスデザイン本部に異動になり、DNPのプロジェクトとして「ベビーテック」に取り組みたいと考えて活動を始めたわけです。

編集部:まさにお二人は現在進行形の「子育ての当事者」として、「ベビーテック」に関心を持たれたわけですね。一方、DNPという企業としては、どのようなお考えで「ベビーテック」プロジェクトをスタートされたのでしょうか?

大島:まず、少子化が加速する中でも、日本では年間100万人ほどの新生児が誕生しており、毎年新規ユーザーが生まれ続ける市場である点が挙げられます。さらに共働き世帯の増加とともに、今後も伸びていく市場だと考えられます。

また、「ベビーテック」は「妊活・妊娠期〜未就学児を育てる世代」という、「特定の世代全体のニーズ」に着眼していることも挙げられます。従来から当社はさまざまなtech領域に取り組んでいるのですが、どうしても各事業部が縦割りで動くことが多くなります。「ベビーテック」は「ベビーテックを必要とする世代」のさまざまなニーズに応えようとするものなので、当社が保有する多種多様な技術・サービスを全社横断的に提供していくことが可能になり、いわゆる「オールDNP」としての新しいビジネスができるのではないかと思います。

 

ベビーテックの普及のために重要な「BTAJ2020」

編集部:続いて、御社が「BTAJ2020」に協賛された狙いと、株式会社パパスマイルとのパートナーシップ契約に期待することを伺えますか?

大島:まず、「BTAJ2020」は当社が「ベビーテック」に取り組むことを世の中に発信する上で非常に有効な場であると考えています。また、私自身も「BTAJ」によって「ベビーテック」を知ったことから、当社のリソースを使ってこのイベントを一緒に盛り上げていくことが、より多くの方に「ベビーテック」を知っていただくきっかけになるのではないかと考え、冠スポンサーとして協賛させていただきました。

編集部:実際、DNPという企業のネームバリューは非常に大きいのではないでしょうか。御社に協賛いただいたことで、今回の「BTAJ2020」に対するマスコミ各社の注目度が高まっていることを感じています。

大島:当社としても「ベビーテック」に関して先駆者的な存在である株式会社パパスマイルとパートナーシップ契約を結び、「BTAJ2020」に協賛したことで、この分野に初めて進出した私たちの信頼性に繋げられたと思います。また、特に「ベビーテック」分野におけるスタートアップ企業との繋がりや、法制度、自治体の助成制度などについては、株式会社パパスマイルの皆さまの知見やノウハウに大きく期待をしている部分です。

 

「共創」でかなえたい「子育てのアップデート」

編集部:最後に、御社が今後取り組まれていく「ベビーテック」におけるさまざまな企業との「共創」構想について伺えますか?

大島:私たちが描く「共創」は、さまざまな企業が持つ技術やプロダクトなどのリソースをうまく組み合わせることで、子育てにまつわる課題解決につながる価値を世の中に提供していくことです。子育てには、ほんの小さな困りごとが積もり積もって大きな困りごとになるシーンがたくさんあります。誰も拾い上げないような小さな困りごとを、さまざまな企業の力によって取り除くことで、「子育てをアップデート」し、大きな社会課題にアプローチしていけるのではと考えています。

浜本:そのアクションの一つとして、「DNPイノベーションポート」という当社が掲げるオープンイノベーションサイトにて、ベビーテックのプロジェクトを立ち上げました。

大島:お問合せいただいたスタートアップ企業とお話しすると、お出かけ先の施設での子どもの遊び・休憩や、パパやママが余暇を過ごす視点など、まさに小さな困りごとに着眼してサービス化されています。しかし、認知拡大やビジネス規模を出すことに苦戦されている印象もあります。

浜本:さまざまな企業とディスカッションを進めていますが、面白いのは「子育て」が多くの方にとって「共通の経験」であることです。現在、子育てをされている方も、かつてされてきた方もおられますが、普段はコミュニケーションの壁の厚い方でも、いざ子育てに関する話になると、かなり打ち解けていろいろお話しを伺うことができます。DNPが取り組むベビーテックにおいて、「テクノロジーを子育てのパートナーとして捉える」というメッセージも掲げていますが、その考えに深く共感いただくシーンも多いです。

大島:企業によって「子育て」に関するテーマはバラバラですが、どこに「共創のニーズ」がありそうか、探っているフェーズです。たとえばメーカーには、当社や当社とつながりのあるスタートアップ企業と、メーカー自身が持つ技術を提供しあうことで、いわば「3社共創」による新しいベビーテック製品を生み出す方向性がありそうです。また流通・小売など店舗を持つ企業の場合は、子連れのお客さまが大勢来店されるなかで、どう「不満・不便・不都合」を解消していくか山のようにテーマがあります。特に最近は新型コロナウイルスの影響により、子育て世代の外出にはさらに不安が高まっていますから、そのような状況下で、安心して来店いただき、お客さまに楽しんでいただくために、「ベビーテック」を活用できる余地は非常に大きいと考えています。

浜本:これらはあくまで一例で、当社としては「強み」に限るつもりはありません。「共創」というからには、まずはどんなことでも相談していただいて、必ず一緒に解決策を見つけていく、というスタンスです。間口は広く開けておりますので、ぜひいろいろな企業に「これはベビーテックで解決できますか?」と、お気軽にご相談いただきたいです。


「どんなことでも、まずはご相談ください」と微笑む大島さんと浜本さん

 

取材を終えて

新型コロナにより一時は開催すら危ぶまれていましたが、大日本印刷株式会社の協賛を受けたことで、すでに「BTAJ2020」にはNHKや大手新聞社などから取材の打診が来ており、今年も大いに注目を集めそうです。さらに多数の企業とつながりを持つ同社の活動により、「ベビーテック」という概念はビジネスの世界に広く浸透し始めるのではないでしょうか? 日本における「ベビーテック」の普及に大きな追い風になると思われ、今後の展開が非常に楽しみです!

DNPイノベーションポート
「Project06 テクノロジーでこれからの育児・保育を変える ~笑顔で子育てができる社会の実現~」
https://www.dnp-innovationport.com/co_creation/babytech/

「BabyTech® Award Japan2020 powered by DNP 大日本印刷」公式サイトhttps://babytech.jp/btaj2020home/