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なにかと忙しい「共働き家庭の子ども」をしっかり見守る「goo of thingsいまここ」

本サービスのポイント
  • 「GPS端末」と「スマホアプリ」の組み合わせで子どもを見守るサービス
  • 必要な情報をわかりやすく伝えるUIと、使い勝手を向上させたバッテリー持続時間
  • 将来的にはAIを用いた、より高度な見守りサービスも期待される

小学校に入学すると、避けては通れないのが「子どもだけ」による学校の登下校。保育園とは違い、なかなか保護者が同行することは難しいでしょう。さらには塾などの習い事も、小学生になると子どもひとりで通わせているご家庭が多いかもしれません。そんな子どもたちの安全をGPS機能でサポートしてくれるのが、今回ご紹介する「goo of thingsいまここ」(以下、いまここ)です。BabyTech.jp編集部は同サービスを提供しているNTTレゾナント株式会社の君塚さん、山岸さん(以下、敬称略)にリモート取材を行い、サービスの概要や開発の経緯、今後の展開について伺いました。

 

(お話を伺ったのは)

NTTレゾナント株式会社 パーソナルサービス事業部 CA部門
君塚 有里さん


NTTレゾナント株式会社 パーソナルサービス事業部 CA部門
主査 山岸 貴道さん

 

「カスタマイズ可能な専用マップ」で子どもたちを見守る

編集部:さっそくですが、「いまここ」の概要と特徴について伺わせてください。

君塚:「いまここ」はGPS端末とスマートフォンを用いた「見守りサービス」です。子どもがGPS端末を持ち、保護者がスマートフォンの専用アプリを使うことで、子どもの居場所や行動を把握できます。このGPS端末の価格は8800円(税抜)、サービスの月額利用料が580円(税抜)です。


「いまここ」のGPS端末。縦横5cm、厚み1.5cm。重量39g

君塚:本サービスには、アプリのマップに子どもの現在位置が表示されるだけでなく、マップに「学校」や「塾」など特定の場所を指定し、子どもがそのエリアに入ったことや出たことをスマホに通知する機能があります。これにより、子どもが無事に目的地に到着したこと、帰宅し始めたことが分かるわけです。さらに子どもが移動したルートも記録できます。


「いまここ」専用アプリのマップに、子どもの現在位置が表示される

編集部:親がスマホのマップをずっと見ていなくても、ちゃんと子どもが学校や塾に到着したことが分かるわけですね。

君塚:ほかにも、「交通事故が多い場所」や「不審者情報があったエリア」をアプリのマップに「危険地域」として設定すると、そこに子どもが入ったときと、そこから出たタイミングで保護者に通知が飛ぶようになっています。これにより、なかなか子どもが危険地域から移動しない場合は親が駆けつけたり、持たせている携帯電話に電話するなどの対応ができるようになるわけです。また、GPS端末の中央部にある「いまここボタン」を押すと、保護者のスマホにすぐに通知を飛ばすことができます。これは子どもが助けを求めるための機能になります。

編集部:地域の「事故発生情報」や「不審者情報」は学校や自治体からお知らせが来ますから、そういうものを使えば良さそうですね。

君塚:また、「いまここ」は弊社が提供している総合防災アプリ「goo防災アプリ」と連携しており、その地域における「災害時の避難場所」「病院」「消防署」「自治体施設」などの位置を表示することができます。これは災害時、保護者が子どもの避難を誘導する場合に利用できると考えております。

 

使う人に優しい「シンプルさ」&「使い勝手」を追求したシステム

君塚:GPS端末の電池残量はスマホの専用アプリから確認できますし、残り20%と10%の段階で通知が送られます。これはうっかりミスでGPS端末の電池切れを防ぐための機能です。電池の持続時間は、GPSによる位置測定を90秒〜3分に1回行う設定では5〜7日間、3分〜5分に1回行う場合は10〜14日間です。

山岸:この電池の持続時間には、かなりこだわりました。共働きの家庭で忙しい週の半ばに、いちいち充電が必要になったらとても大変です。ですから最短の間隔(90秒)で位置測定を行なっても月曜日から金曜日までの5日間は持つよう、開発の段階でさまざまな工夫をしました。

君塚:GPS端末は「軽量化」や「防水性」が特徴です。子どもたちがランドセルや習い事のバッグなどにぶら下げて持ち歩くものですから、重くては大変ですし、雨に濡れることも想定されます。シリコンカバーが標準装備されているのは、落下した場合の破損を防ぐためです。


「いまここ」はランドセルなどに取り付けて使用する

編集部:他社からもいろいろなGPS端末を使った見守りサービスが提供されていますが、それらとの大きな違いはなんでしょうか?

君塚:特に弊社が比較対象としている製品との違いでご説明しますと、まず「GPS端末側からスマホに連絡できる機能」の有無です。「いまここ」には「いまここボタン」という「子どもから保護者に通知を送る機能」がありますが、比較対象としている他社製品には「いまここボタン」のような機能が付いておりません。もうひとつは防災情報との連携です。「いまここ」は専用アプリのマップ上に「goo防災アプリ」と連携した防災情報が表示されますが、これは他社製品との大きな差別化ポイントだと考えています。

山岸:もうひとつ、弊社のサービスの特徴は「必要な情報を分かりやすくしたシンプルさ&使い勝手の良さ」になります。他社製品でもさまざまな情報を地図上に表示したり、行動履歴の記録や各種の通知を送ることができるものもあるのですが、逆に使うまでの設定が非常に複雑だったり、情報量が多すぎて見にくい・使いにくいという面がありました。一方、「いまここ」は「GPS端末とスマホの連携方法」を簡素化したり、表示内容を「子どもの位置情報・行動履歴」という保護者にとって本当に必要な情報に絞るなどの工夫により、「簡単な設定ですぐに使える&見やすくシンプルな表示」という点にこだわっています。さらに利用料金の面でも、他社製品と比較してリーズナブルな価格に設定しました。


「いまここ」は子どもを見守る保護者をサポートしてくれる

 

スマートフォンを持たせるのは怖い……というニーズにあった「GPS端末」

編集部:「いまここ」が開発された経緯について伺わせてください。

君塚: まず、「共働き世帯」や「習い事をする子ども」が増えているという社会的背景から、子どもを見守るサービスのニーズが高まっていることは弊社の調査でも明らかになっており、それを受けてどのようなサービスを提供できるか検討し始めたのが直接のきっかけでした。その結果、小学生の子どもたちにスマートフォンを持たせるという方法だと、逆にネット上の犯罪に巻き込まれるリスクを高めてしまうので、必要最小限の機能に絞った「GPS端末」が最適という結論に至ったのです。

編集部:開発の過程で苦労された点はありますか?

君塚: GPSによる位置測定を最短90秒に1回行い、かつ5〜7日間充電不要とするのはかなり難しかったです。しかし、忙しい共働き世帯の保護者の皆さまのため、時間にゆとりのある週末に充電を行えば平日はずっと使えるようにしたいと考え、いろいろな苦労はありましたがなんとか実現させました。

山岸:ちなみにこの最短90秒に1回の位置測定は、テスト段階で保護者の方たちからいただいた要望です。3分に1回の位置測定であれば、1回の充電で7日以上バッテリーを持たせるのは簡単だったのですが、この頻度での位置測定では子どもたちの正確な位置を把握できない(=3分あればかなり移動できてしまう)ということで、最短90秒に1回の位置測定ができるようにした経緯があります。

編集部:バッテリーの持続時間に関して、他にも何か工夫はあるのでしょうか?

山岸:一例を挙げると、加速度センサーを使用して、子どもが動いていない場合はGPS端末をスリープさせるといったことです。

 

これまでの「GPS端末による見守りサービス」の欠点を克服した「いまここ」

編集部:「いまここ」を利用されている方の感想は、どのようなものがありますか?

君塚:まず、「危険エリアを設定できること」を評価していただいています。危険な場所に子どもが立ち入ることは、やはり保護者の方にとっては非常に心配なことだからでしょう。次に「いまここボタン」も評価されています。単にGPS端末で位置がわかるだけでなく、何かあったときに子どもから保護者に知らせる手段があるのは心強いという声をいただきました。それからアプリ起動時の子どもの位置表示がリアルタイムであることも評価されていまして、これは他社製品のなかには前回アプリが終了した時点(=たとえば前日の夜)の子どもの位置を表示するものがあるためのようです。「いまここ」では、アプリを立ち上げた時点におけるGPS端末の現在位置をマップに表示するようになっています。

編集部:ちなみに6月のリリース前のテスト段階では、どれくらいのモニターがいらっしゃったのですか?

山岸:数百名の方にご協力いただきました。

 

AIを活用し、より高度な見守りサービスへ

編集部:最後に、「いまここ」の今後の展開について伺わせてください。

君塚: まず、「双方向機能の搭載」を検討しております。具体的には「ボイスメッセージ」や「チャット」などで、保護者と子どもの間で連絡が取れる仕組みを目指しています。もうひとつは「AI」の活用です。弊社のAIに関する知見を使い、子どもに迫る危険を事前に察知することを目指す予定です。

編集部:AIの活用について、もう少し詳しく伺えますか?

山岸:たとえば、いつも使っている移動エリアから子どもが出ているときに自動的に通知を送ったり、あるエリアにいつもよりも長く止まっているなど、過去のデータと異なる動きを察知するところから、検討を始めようと考えております。いわば、AIを使って「一歩踏み込んだアラート」を出そう、という構想です。

 

取材を終えて

子供の周囲にさまざまな危険がある昨今、このような見守りサービスを広め、同時に社会の認知度を高めることが事故や犯罪の抑止にもつながるのではないでしょうか。私も子どもが小学校に上がったら、必ず持たせたいと思いました。そのころにはさらに高度な機能が搭載されていることが期待できそうです。

「goo of thingsいまここ」紹介ホームページ
https://product.goo.ne.jp/got/imakoko/