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親が付きっきりで教えるよりも、子どもが成長する!?「スマイルゼミ幼児コース」

本サービスのポイント
  • 全ての教材がタブレット1台で完結。保管場所も取らず、すぐに学習を始められる。
  • 「音声読み上げ」「自動採点」など、幼児が1人で学習を進められる工夫が多数。
  • 学習内容はクラウド上に蓄積され、それが教材強化に生かされている。
「小学校の英語必修化」や「幼稚園・小学校受験ブーム」から、ここ最近、非常に多くのパパ・ママの間で「幼児教育」に対する関心が高まっています。そして、さまざまな企業が「幼児教育プログラム」を提供しているなか、特に注目を集めているのが株式会社ジャストシステムの「スマイルゼミ 幼児コース」。もともと日本語ワープロソフト「一太郎」や日本語入力システム「ATOK」で有名な同社のサービスが、老舗有名企業がひしめく幼児教育の分野で躍進している秘訣はなんでしょうか? 今回、BabyTech.jp編集部は「スマイルゼミ 幼児コース」を開発・提供する株式会社ジャストシステムの寺尾房代さん、鎌田美代さん(以下、敬称略)に取材を行い、同サービスのこだわりや開発の経緯、今後の展開について伺いました。


向かって左が寺尾さん。右が鎌田さん

(お話を伺ったのは)
株式会社ジャストシステム
ラーニングイノベーション事業部
企画マーケティンググループ シニアエキスパート
寺尾 房代さん

株式会社ジャストシステム
ラーニングイノベーション事業部
企画教材グループ エキスパート
鎌田 美代さん

 

子どもたちの「自主的な学習」のために必要な教材を、タブレットに集約!

編集部:さっそくですが、「スマイルゼミ 幼児コース」の概要について伺えますか?

寺尾:まず特長ですが、「タブレットだけで学べる教材」ということです。すべての教材をタブレットに配信しており、そこが複数の冊子やプリントを使う他社の幼児向け教材との大きな違いになります。当社は幼児期に学ぶ内容として、10の分野(ひらがな・カタカナ・ことば・数・かたち・時計・英語・ちえ・生活・自然)を設定しており、これらを毎月満遍なく学習できるように教材を構成しています。


このタブレットで全てが完結する

鎌田:タブレットを起動すると、その日に取り組む教材が「きょうのミッション」として提示され、それに沿って進めることで、お子さんが10の分野を毎月偏りなく学べるようにしています。また、課題の採点(正解・不正解の確認)は自動的に行われ、間違えてもバツをつけずに「もう一回考えてみようね」と、再チャレンジするように誘導します。一日の課題を終えると、結果は「きょうのできた!」という1枚の画面にまとめられます。そこに保護者の方が花マルやスタンプを押せますので、親子で一緒に一日の成果を振り返ることができるわけです。「きょうのできた!」はお子さんの成長の記録にもなります。

その日の学習内容は1枚の画面にまとめられ、親子で確認できる

編集部:一般的な教材の場合、毎月送られてくる冊子やプリントに取り組み、それを保護者が採点することになりますね。

鎌田:保護者が全ての問題を見て、マルつけもして……というのはかなりの負担になりますから、採点が自動的に行われ、結果を集約して見られることは大きなメリットがあると考えています。さらに、「きょうのできた!」はスマートフォンで見ることができますから、たとえば仕事で帰宅が遅くなるパパやママとも、「今日はこんなことを勉強したんだな……」と結果を共有できます。

編集部:デジタル化された教材ならではの機能ですね!

鎌田:「スマイルゼミ 幼児コース」には録音・録画と再生メニューもありますから、お子さんの英語の発音を後からチェックすることもできます。また文字の書き取りの練習では、お子さんがどういう書き順で文字を書いたか、後から動画を再生して確認できる機能もあります。

編集部:それは非常に面白いです! 紙の教材では絶対にできないことですね。実際のところ、紙の教材のように子どもが散らかす心配がありませんし、次にやる教材を探す手間もありません。そして教材の保管場所に悩むこともない……素晴らしいと思いました。

 

「紙と同じような感覚で字の練習ができる」など、さまざまな工夫が満載

編集部:「スマイルゼミ 幼児コース」を利用できるのは何歳からですか?

寺尾:幼稚園や保育園の年少の冬の時期から年長までのコースになっています。基本的にパパ・ママが付きっきりではなく、お子さんが1人で学ぶことができ、最後に成果を親子で見ていただける構成になるよう工夫しました。

編集部:子どもが勉強をしている間、親は他のことをできるわけですね。

寺尾:たとえば食事の用意をする間、サッとタブレットを取り出せば始められます。

鎌田:「基本的に1人で勉強ができる」という点には、かなりこだわりました。たとえば、全ての教材について「音声の読み上げ機能」がついています。これは文字が読めないような年齢のお子さんでも、内容を理解できるようにするためです。また、図形の問題などを解説するときには文字や音声だけではなく、アニメーションで動きを見せてわかりやすくする工夫をしました。世の中の幼児用教育アプリは単純にタッチで進めるものが多いですが、「スマイルゼミ 幼児コース」はペンで書き込んだり、指で画面内のアイテムを動かしたりできるところも特長です。

寺尾:最近は、小学校に入るまでにひらがな・カタカナの読み書きをできるようにしたいという保護者の方のご要望がすごく強いのですが、 「スマイルゼミ 幼児コース」は専用のタブレットとペンを使うことで、紙に書くのと同じような感覚(手のひらをタブレット上に置いた状態)で文字の練習ができるようにしています。


タブレットに手の一部が触れた状態で、文字を書く練習ができる

編集部: 普通のスマホやタブレットでは、ペンを持っているときに手の一部が触れると勝手に認識して変な動作をしてしまいますね。

鎌田:はい。ペンも三角形で持ちやすいように専用設計していますし、初めて文字を書くお子さんのために、教材では「音声」と「アニメーション」で書き方を誘導します。


赤いマーカーが移動し、それを追うと、正しい書き順で文字が書ける

編集部:これは……親よりも上手に教えてくれそうです。

鎌田:また、書いた文字のどこが間違っているのか指摘する機能があります。たとえば「ひらがな」であれば、「この部分が飛び出ているので、飛び出さないように書いてみよう」というように伝え、自発的にもう一度取り組むように誘導します。親が間違いを指摘すると、どうしても子どもは必要以上に落ち込んでしまったり、反発することがありますが、第三者であるタブレットだと受け入れやすいというメリットもあります。

編集部:あんまり子どもが間違えると、ついつい親も感情的になってしまいそうですが、タブレットなら何度間違えても冷静に教えてくれますね(笑)。

 

20年以上に及ぶ、小学校・中学校教育への取り組み

編集部:御社に対して、やはり私などは「一太郎・ATOKの会社」というイメージがあるのですが、どういった経緯でこういった幼児教育に取り組まれたのでしょうか?

寺尾:当社は1999年から「ジャストスマイル」という、小学校で使っていただくソフトウェアを開発・販売しており、多くの先生方とコミュニケーションを取る機会がありました。そして2010年代初頭に「学習指導要領」が改訂され、学習項目が大幅に増加したのですが、授業時間はそれほど増えなかったために、学校教育だけでは全ての内容を教えきれない……というお話を先生方から伺うことが増えたのです。

編集部:いわゆる「ゆとり教育」の終わりですね。最近の小学校では、もう「ひらがな」や「数字」は丁寧に教えておらず、ほぼ最初から知っているものとして授業が進む、という話を聞いたことがあります。

寺尾:そうですね。このような経緯で当社は「これからは家庭学習で基礎的な学力をつけることが大切」という多くの先生方の声をいただき、小学生向けソフトウェア開発のノウハウを活用して、学習プログラムの開発をスタートしました。それが2012年12月に提供開始した「スマイルゼミ 小学生コース」になります。さらに2013年には「スマイルゼミ 中学生コース」の提供も開始しました。


スマイルゼミ小学生コース

スマイルゼミ中学生コース

 

寺尾:そしてスマイルゼミで勉強されるお子さんが増えていくなかで、その下のご兄弟が「自分たちもやりたい!」と言い出している、幼児向けのコースはないのか、といった保護者の方の声を多数いただき、「スマイルゼミ 幼児コース」を2018年12月に開講したしたという流れになります。

 

子どもたちの成長に合わせた、きめ細やかな教材作り

編集部:御社に幼児教育に繋がるバックボーンがあったことがよく理解できました。開発する際のご苦労などはありましたか?

鎌田:リリース前に何度もユーザーテストを行い、ユーザーインターフェース設計について、幼児ならではの配慮が必要ということがわかりました。たとえば、「次の画面に行くためのボタンに気づかない」といったことです。そのために誘導のマークを大きく出すなど、学習における「動線」を見直しました。誘導のマークも同時に複数出すのではなく、1つの操作が終わったら、次の誘導のマークを表示するといったような工夫もしています。誘導のマークを同時に複数出してしまうと、両手で同時に操作しようとするお子さんもいらっしゃったので、実際に試してもらい、どのように操作しようとされるのか丁寧に確認することが非常に大切だと痛感しました。

編集部:小さな子どもは、見たままを操作するんですね(笑)。

鎌田:「ひらがな」の練習では文字を大きく書けた方が書きやすいかと思い、マス目を大きくしていたのですが、幼児の場合は手が小さいので、逆に書くのがつらいということがわかり、その大きさを調整したこともあります。

寺尾:幼児の場合、幼稚園の年長組さんにできることでも、年少組さんには難しいということがありますし、「生まれ月」によっても差が大きいので、リリース前のテストは、年齢はもちろん、生まれ月が異なるお子さんたちにも集まっていただき、お願いしました。

編集部:ユーザーテストの際、保護者からのリクエストは何かありましたか?

鎌田:問題を解いて「正解したときの演出」は、どんどん入れて欲しいということで、いろいろなパターンを追加しました。「勉強は楽しい!」という気持ちに繋がるように褒める、ということですね。花丸やキラキラと光る演出、楽しいアニメーションが見られ、お子さんにも好評です。

 

「自主学習を促す」という高い評価と、デジタルならではの迅速な強化

編集部:利用者からの感想は、どういったものがありますか?

鎌田:定期的に利用者アンケートをとっているのですが、一番多いのは「1人で学習できるのが良い」というコメントです。それから「自動採点機能」も保護者の皆様には好評です。教材がタブレットだけなので、片付けが簡単という声も多いです。お子さまにとっておそらく自分の声を録音して聞くのは初めての経験なので、「自分の声を録音して学ぶといった教材もあり、自主的に楽しんで取り組めるのが良い」、また「『自然』や『生活』について学べるのがいい」というご意見もありますね。

編集部:「自然」や「生活」とは、どういう学習内容なのでしょうか?

鎌田:「生活』は年中行事やマナーに関する内容です。「自然』は動植物や自然現象について、写真や動画を交えて解説するものです。

編集部:ありがとうございました。最後に、今後の展開やアップデートについて教えてください。

鎌田:ご意見をいただいて、随時、強化のためのアップデートを配信しています。たとえば、「ひらがな」の練習で正解・不正解の判定が厳しすぎる、というご意見があったときには、実際の学習データを解析してさまざまな強化を行いました。具体的には、まず「スマイルゼミ 幼児コース」を利用されているお子さま全体の学習履歴やストロークデータ(筆跡)を調べたのです。正解・不正解の判定が厳しすぎたところは、文字ごとに再調整を施しました。このような調整は他の講座についても行なっています。

編集部:子どもたちの学習内容をそこまで詳細に分析できるのは、デジタル教材だからこそですね!

鎌田:定量的なデータは全て分析し、定性的な内容は定期的にアンケートを実施して、どんどんスマイルゼミに反映するようにしています。

寺尾:紙の場合は1年間を通して学習したあとに、翌年から教材が改訂されるかどうか……というサイクルですが、デジタル教材は随時アップデートできるのが強みだと思います。また、より長期の視点での展開は、「小学校での英語必修化」への対応を強化することです。現段階では小学校の先生方も手探りだと思いますが、学習指導要領などを踏まえて幼児教育に必要な内容を取り込んでいきたいですね。

「スマイルゼミ幼児コース」の将来像について語る寺尾さんと鎌田さん

 

<取材を終えて>

日々忙しいなか、うちでも幼児教育を何かやってみたい……と考えている共働き家庭には、大変ぴったりのサービスだと感じました。子育て中の部屋は散らかりがちであることからも、タブレット1つで学習環境が整うのは魅力的です。そして何より感心したのは、さまざまな工夫が織り込まれたタブレット教材の方が、親が教えるよりもわかりやすく教えてくれそうな点でした。「音声」や「動画」、「記録機能」など従来の幼児学習教材にはない特長を持つ「スマイルゼミ 幼児コース」、今後ますます人気が出そうです。

「スマイルゼミ 幼児コース」公式ホームページ
https://smile-zemi.jp/youji/