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妊娠・出産・子育ての大切な記録を残すなら、これからは「アプリ」が最適!?「母子健康手帳アプリ」

本サービスのポイント
  • 「記録」「情報配信」などベーシック機能はとことん使いやすく、さらに独自機能まで!
  • 医師監修の正確な情報や、自治体からのお知らせがタイムリーに届けられる!
  • 健康や成長に関する記録を電子化することは、子どもの将来にもメリットが多数!
赤ちゃんができると必ずもらうことになる母子手帳。子育てをするパパ・ママにとってとても大切なものですが、紙であるがゆえの不便さもあります。今回ご紹介する「母子健康手帳アプリ」は、そんな紙の母子手帳の機能を大幅にパワーアップし、さらにアプリならではのサービスを提供するもの。今回、BabyTech.jp編集部は「母子健康手帳アプリ」を開発・運営する株式会社NTTドコモの湊展博さん、黄 珪廷さん(以下、敬称略)に取材を行い、サービスの概要や開発の経緯、今後の展開について伺いました。


向かって左が湊さん。右が黄さん

(お話を伺ったのは)
株式会社NTTドコモ
スマートライフ推進部
ヘルスケア事業 メディカルビジネス担当課長
湊 展博さん

株式会社NTTドコモ
スマートライフ推進部
ヘルスケア事業 メディカルビジネス担当
黄 珪廷さん

 

「アプリ」ならではの機能で、パパ・ママをサポートしてくれる

編集部:さっそくですが、「母子健康手帳アプリ」の概要を伺えますか?

湊:「母子健康手帳アプリ」は大きく2つの機能があります。健診記録や予防接種、日々の成長などを残せる「記録機能」と、妊娠・出産・子育てに役立つ情報や自治体からのお知らせをお伝えする「配信機能」です。

編集部:紙の母子手帳が果たしている「記録機能」にプラスして、各種の情報配信機能があるわけですね。

湊:その通りです。ちなみに「記録機能」では、紙の母子手帳の内容を忠実に再現しつつ、アプリならではの機能が加わっています。さて、記録機能におけるメリットの1つ目は、各種の記録がスマホ本体やクラウド上に保管されることです。水害などで紙の母子手帳が失われてしまった場合のバックアップとして、いざというときにも安心と言えるでしょう。


定期的に受ける検診の記録を確実に残すことができる

2つ目は、記録した身長・体重などが自動的にグラフで表示されることです。これにより、お子様の成長を視覚的に実感することができます。このグラフには紙の母子手帳に掲載されている標準的な発育曲線が表示されますが、予定よりも早く生まれるなど小さく生まれた赤ちゃんの体重や身長などの変化は、この標準的な発育曲線から外れてしまいます。そこで母子健康手帳アプリでは、小さく生まれた赤ちゃんの体重や身長の変化を医師の監修を受けた「修正月齢対応グラフ」に表示し、保護者の方の不安や悩みを軽減しています。


グラフ化されることで赤ちゃんの身長の変化がよく分かる

もちろん、健診や身長体重などの記録だけでなく、写真や日記などの思い出や、「赤ちゃんが初めてできたこと」を「できたマーク」を使って簡単に記録し、あとから成長を振り返ることもできます。

編集部: 紙で育児日記をつけているパパ・ママも多いですが、そのアプリ版ですね。

湊:はい。日々の思い出を残す機能は、アプリでのメニュー名も「成長日記」としています。そして健診結果などの記録を行うメニューは「健診の記録」としています。


子供の成長を実感できるよう、さまざまなテーマが用意されている

黄: 私も「母子健康手帳アプリ」を使っているのですが、節目節目に子どもが受けた健診の記録を残せるのはとても役立っています。紙やスマホのメモ帳などにも記録はできますが、必要なときにすぐ健診記録を見つけるには、やはり「母子健康手帳アプリ」が優れていると思います。


予防接種や定期検診の記録も探しやすい

編集部:そういえば先日、病院に娘を連れて行ったときに過去の定期健診の結果を聞かれ、答えられずに困ってしまったことがありました。御社のアプリを使っていれば、すぐに答えることができたわけですね……。

黄:おっしゃるとおり、家族で育児情報を共有できるのも「母子健康手帳アプリ」のメリットです。「○○の予防接種はしていますか?」と聞かれたときにママは把握していても、パパは知らないことがよくあります。そういうときにアプリを見ていただければ、「○○の予防接種は○○月にやっています」とすぐに答えられるでしょう。

 

子育て情報の入手は、「母子健康手帳アプリ」が安心・確実・便利!

湊:「母子健康手帳アプリ」のもう一つの機能の柱である「情報配信」についてですが、大きく分けて「アプリ運営者からの配信」と「自治体からの配信」、「病院からの配信」の3つがあります。アプリ運営者である私たちから配信している情報で人気が高いのは、「Today’s Baby & Child」という記事です。お腹の中にいる赤ちゃんの週数に合わせた一般的な発育状況、オススメの食事のレシピや、子どもの月齢に合わせた役立つ情報をお伝えするもので、内容はすべて医師・専門家による監修を受けています。


母子健康手帳アプリで配信される情報の一例


人気が高いという「Today’s Baby & Child」

編集部:他社の事例ですが、大量にネット上にアップされた不正確な医療情報記事の問題が過去にありました……。医師による監修を受けていることは、とても大切なポイントですね。

湊:それ以外にも、自治体からパパ・ママに情報を配信するサービスがあります。アプリの中で「お住まいの地域」を登録すると、利用者の方の状態に合わせて、自治体からの情報が送られる仕組みになっています。本サービスは、当社と契約いただいている自治体に限定されますが、プレパパ・プレママ向けの沐浴教室や、0歳児のベビーマッサージ教室などの情報を配信している自治体もあります。

編集部:妊娠中や子育て中のパパ・ママは、紙や郵便で情報を配信されたり、ホームページで見てくださいと言われても、忙しくて見逃してしまいがちです。スマホ世代にとっては本当にありがたい仕組みですね。

自治体からの情報配信の一例

湊:ご契約されている自治体では、紙の母子手帳を配布する際に、「母子健康手帳アプリ」のパンフレットを渡していただいています。さらに自治体から情報を送ると、どれくらいの人が見たか、自治体側で確認できるシステムになっています。また、天候不良などによる急なイベント情報の変更も即座に送ることができます。

 

「母子健康手帳アプリ」ならではの「エコー画像参照」と「うんち検診」

編集部:「母子健康手帳アプリ」の特徴的な機能として、どんなものがありますか?

湊:先ほどお伝えした「記録機能」と「配信機能」、それから予防接種スケジュールの自動生成といった機能は類似のアプリにもあると思いますが、最近追加した次の2つの機能は他のアプリには無いものだと思います。まず1つ目は2019年3月にスタートした、「妊娠中の胎児のエコー画像」を妊婦健診後、すぐに参照できる機能です。通常のエコー画像は感熱紙でプリントされるので、時間の経過とともに画像がどんどん薄くなってしまいますし、大量にあれば非常にかさばります。この機能をご利用いただければ、どれだけ時間が経っても画像が劣化することはありませんし、保存場所も不要で紛失することもなく、整理も簡単になります。ご実家に帰ったときに、簡単にご家族に画像を見てもらうこともでき、好評です。

編集部:私の妻も大量に妊娠中のエコー画像を保管しています(笑)。この機能はとてもいいですね!

妊婦健診の際のエコー画像も鮮明に保存できる

湊:このサービスは産婦人科病院に導入いただくことでアプリ利用者が画像参照できるようになるもので、サービスを共同開発した富士通株式会社様と少しずつ普及を進めているところです。

もう1つは、2019年7月にスタートした「胆道閉鎖症」の赤ちゃんの早期発見につながる「うんち検診」という機能です。この「胆道閉鎖症」という病気は日本では毎年100~150人の子供が発症し、早期に手術すれば生存率が高いのですが、早期に発見できずに亡くなってしまうケースもあります。この早期発見のカギは「赤ちゃんの便の色」で、紙の母子手帳にも「赤ちゃんの便を添付の『便色シート』と見比べて、薄い色に近いときは診察を受けてください」と書いてあるのですが……ご存知ですか?

編集部:たしかにそんなシートを見たような気がしますが、使っていませんね。

湊:現在、厚生労働省の後援で、「胆道閉鎖症」の早期発見につながる「うんち検診」が、産婦人科・小児科病院を通じて呼びかけられています。そこで「母子健康手帳アプリ」は、「赤ちゃんの便」と紙の母子手帳の「便色シート」を並べてスマホのカメラで撮影し、その画像を医師に見せることで「胆道閉鎖症」の疑いがあるかどうか診断できるようにしました。これにより、従来の「便色シートで○番の色に近かったです」という保護者の方の自己申告に頼らざるを得なかった問題と、もし保護者の方が便の写真を撮影していても、カメラやスマホ画面の性能によって実際の色と異なるため、確実な判断が難しいという問題を解決できます。便と便色シートを並べて撮影すれば、どのサンプルの色に近いのか、画面の中で医師が判断できるからです。


「うんち検診」機能の画面イメージ

湊:もともと「母子健康手帳アプリ」は、当社とマタニティマークを発行しているNPO法人「ひまわりの会」と、自治体向けITサービスに強い株式会社ミラボとの共同サービスです。このうち「ひまわりの会」は厚生労働省の後援を受けていることから、特に胆道閉鎖症対策への問題意識が強く、それがアプリに「うんち検診」の機能が搭載されるきっかけになりました。この機能を搭載することで、まずはアプリを利用される保護者の方たちに「胆道閉鎖症」という病気の存在を知ってもらい、その早期発見・早期治療につながる「うんち検診」が普及することを目指しています。

 

使ってみればすぐにわかる、母子手帳が「アプリ」になることの凄さ

編集部:利用者の感想は、どのようなものが寄せられていますか?

湊:アプリで簡単につけられる成長記録はとても良い記念になります、という利用者の方からの声は多いですね。「母子健康手帳アプリの存在が、つらかった妊娠中の心の支えになりました」というコメントもあり、これには「母子健康手帳アプリ」の開発運営に長く携わっていた担当者が感激して涙を流していました。それから防災時のバックアップになるという点も、利用者の方たちの間では関心が高いです。また、当社と契約してこのアプリを情報発信に利用いただいている自治体の方からは、「使いやすい」「思ったよりも簡単に情報発信ができた」「イベントの日程変更時の連絡の手間が軽減された」といった声をいただいています。医療機関からも、妊娠・出産後のタイムリーなタイミングで必要な情報が配信されているので、保護者の役に立っていると評価されています。


「母子健康手帳アプリ」の評価と将来像について語る湊さん

編集部:最後に、今後の「母子健康手帳アプリ」の展開について伺えますか?

湊:これまで母子手帳は主に就学前までの記録という位置付けで、小学校以降から就職するまでは、学校に個人の健康や成長の記録が保管されてきました。つまり、就学期間中の私たちの健康や成長に関する記録は、自分たちの手元には残されていないわけです。そんな健康情報の空白期間を作らず、継続的に自分たちの健康に関するデータを把握できるよう、「母子健康手帳アプリ」も20歳まで入力が可能になっています。将来的には健康記録を一生つけられる「生涯健康手帳アプリ」になる、という展開もありうるかもしれませんね。

 

<取材を終えて>

記事の中に「母子手帳系アプリ」のさまざまなメリットが挙げられましたが、やはり大切なデータを長期間、紛失せずに保存できるというメリットは見逃せません。海外出張や最近では大学入学手続きの際など、大人になってから幼少期に受けた予防接種の情報が必要とされる場面は意外と多いものです。アプリで記録していれば、10年後、20年後も簡単にデータを検索できますから、将来の子どもたちにとって非常に助かることでしょう。とはいえ、すでに紙の母子手帳や妊娠・育児日記を使っているから……というご家庭にも、NTTドコモは最高のサービスを提供しています。そのサービスは同社の「おまかせ入力」というアプリを使って過去の手書きの記録をカメラで撮影し、それを送信すれば、「母子健康手帳アプリ」にデータを入力・反映してくれるというもの。このサービスは「無料」で利用できるそうなので、今まで「母子手帳系アプリ」に乗り換えをためらっていた方も、ぜひ試されてみてはいかがでしょうか?

「母子健康手帳アプリ」公式ホームページ
https://www.boshi-techo.com/service/