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オンライン健康医療相談による「産後うつ病の高リスク者減少への有効性」が、学術論文として国際医学誌に掲載

『産婦人科・小児科オンライン』を提供した横浜市・東京大学との共同研究の国際医学誌掲載につきまして

— 下記はプレスリリースからの内容です —

この度、株式会社Kids Public(東京都千代田区 代表:橋本直也)が参画し、『産婦人科・小児科オンライン』を提供した、横浜市「令和2・3年度オンライン健康医療相談モデル事業における成果連動型業務委託」(以下、本事業)における成果が、2023年6月26日に学術論文として掲載されました。今回掲載されたのは、国際医学誌であるBMC Medicineです。

【掲載論文】 
Arakawa Y, et al. Effectiveness of mHealth consultation services for preventing postpartum depressive symptoms: a randomized clinical trial. BMC Med. 2023 Jun 26;21(1):221.

【ポイント】本プレスリリースでお伝えしたいこと

○『産婦人科・小児科オンライン』を提供し、横浜市と実施した事業の成果が、国際医学誌に学術論文として掲載されました

○妊娠期からのオンライン医療相談の提供によって、産後3ヶ月時点での産後うつ病高リスク者が減るという有効性が評価されました

研究の概要 ー産後うつリスクを相対的に約33%低下ー

主たる成果指標(メインアウトカム)

産後3ヶ月時点での産後うつ病高リスク者の低減

評価方法

国立大学法人東京大学の研究者により、「ランダム化比較試験」の形式で客観的な学術的評価を実施

産後うつ病高リスクの判定に用いた評価

国内外で最も頻用されている「エジンバラ産後うつ病自己評価票 (Edinburgh Postnatal Depression Scale: EPDS) 」を使用

*EPDSでは、合計点数9点以上であった場合に「産後うつ病高リスク者」とされています。

本事業の参加者について

横浜市内に在住の妊婦を対象に、本事業への参加者を募集し、ランダムに介入群(『産婦人科・小児科オンライン』サービス提供あり)と対照群(同サービス提供なし)へ振り分けました。

介入群には参加時~産後4ヶ月まで、オンライン医療相談サービスや医療・健康情報を提供しました。

本事業で提供したオンライン医療相談サービス

・夜間相談(平日18:00~22:00、予約制、10分間/回、ビデオ通話・音声通話・チャットを選択可能)

・日中助産師チャット相談(毎週月曜日、水曜日、金曜日(祝日除く)の13:00~17:00、予約不要、チャットのみ)

本事業で得られた結果、知見

・産後うつ病高リスクの発生割合は介入群(サービス提供あり)15.2%、対照群(サービス提供なし)22.8%であり、相対リスク(発生率の比)は 0.67(95%信頼区間[0.48, 0.93]で統計学的有意差あり)となりました。

・つまり、妊娠中からオンライン医療相談を提供されていたグループでは、【産後うつリスクが相対的に約33%低かった】ことが示されました。

・世帯年収の高低に関わらず、産後うつリスク低減に効果が認められました。

▼本研究の結果

Arakawa Y, et al. Effectiveness of mHealth consultation services for preventing postpartum depressive symptoms: a randomized clinical trial. BMC Med. 2023 Jun 26;21(1):221.

本研究の背景

本研究では、スマートフォン等を用いて自宅からオンラインで専門職へ相談できる環境を提供することで、産後うつ病ハイリスク者を低減できるのではないかという仮説のもと、株式会社Kids Publicの「産婦人科オンライン・小児科オンライン」を妊娠期から産後まで提供することで、産後うつ病リスクを減らすことができるかどうかを検証しました。

産後うつ病は、出産を迎えた女性に生じるうつ病であり、一般的に出産をした女性100人のうち10~15人に起こります[1]。日本でも産後1~3ヶ月の時期に約8人に1人の母親が産後うつ病を経験することがわかっています[2]。

また、産後うつ病は自殺につながる大きなリスクであり、その他にも児への愛着障害や虐待とも関連することが報告されています。産後うつ病の発症予防は、産後女性の命や家族の幸せを守るだけでなく、社会的コストの削減にもつながることが期待されます[3]。

▼本事業の詳細は、事業終了時点で公開したプレスリリースをご覧ください。

「産後うつ病の高リスク者を33.5%減」:遠隔健康医療相談サービス(産婦人科・小児科オンライン)の効果として実証(2022年5月9日)

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000141.000019477.html

産婦人科オンライン代表 本事業副責任者 産婦人科医 重見大介 コメント

令和2年~令和4年にかけて横浜市と実施した事業の成果が、正式に学術論文として国際誌に掲載されたことを心から嬉しく思っております。

妊娠期からのオンライン医療相談の提供によって産後3ヶ月時点での産後うつ病高リスク者が減るという有効性は、現在、そしてこれからの日本の妊産婦支援において大きな意義があると考えています。2023年7月現在、全国107の市区町村に弊社のオンライン相談サービスを導入していただいておりますが、医療機関や行政機関ではどうしても手の届きにくい不安や孤立に対し、既存の支援に加えた補完的なアプローチができる手段として、全国に広げられるよう精進して参ります。

重ねまして、論文の形にしていただいた東京大学の荒川先生をはじめとする研究者の皆さん、本事業にご参画いただいた全ての関係者、ご参加いただいた全ての妊産婦さんへ、心より感謝申し上げます。

引用文献

[1] Royal College of Psychiatrists. Postnatal Depression.

[2] Tokumitsu, K, et al. Ann Gen Psychiatry. 2020;19:41.

[3] Centre for Mental Health and London School of Economics, The costs of perinatal mental health problems. 2014.

報道に関するお問い合わせ先

京都大学 渉外部広報課国際広報室

※担当研究者の現在の所属先です

■TEL:075-753-5729

■FAX:075-753-2094

■E-mail:comms@mail2.adm.kyoto-u.ac.jp

株式会社Kids Public 広報室(担当:春山)

https://kids-public.co.jp/

■所在地:東京都千代田区神田小川町1-8-14 神田新宮嶋ビル4階

■TEL:03-6206-8803

■E-Mail:marketing@kids-public.co.jp

■設立日:2015年12月28日

■代表者:代表取締役 橋本 直也(小児科医)

■事業内容:「子育てにおいて誰も孤立しない社会の実現」を理念とし、インターネットを通じて子どもの健康や子育てに寄り添う。

■提供サービス:

 ・遠隔健康医療相談サービス

   -  小児科オンライン https://syounika.jp/

   -  産婦人科オンライン https://obstetrics.jp/

 ・医療メディア

   -  小児科オンラインジャーナル https://journal.syounika.jp/

   -  産婦人科オンラインジャーナル https://journal.obstetrics.jp/

 ・問題解決bot

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