- 妊活における最大のストレスである「パートナーとのコミュニケーション」をサポート
- 妊活において大きな負担である「各種記録やスケジュール管理」の機能が充実
- 妊活で最も大切な「カップルでの情報共有」と「妊活に必要な知識の習得」が可能
今回ご紹介する「コノトキ」は、カップルで共有できる妊活サポートアプリ。妊娠しやすい日をお知らせするほか、体調や不妊治療の記録サポート、妊活に関する知識を深めるコラムを提供してくれます。そんな同アプリは「BabyTech® Award Japan 2020妊活と妊娠部門」で優秀賞を受賞しました。そこでBabyTech.jp編集部はコノトキを開発したアマネファクトリー株式会社の谷本純さんと土屋さん(以下、敬称略)に取材を行い、同サービスの概要や開発の経緯、今後の展開について伺いました。
(お話を伺ったのは)
アマネファクトリー株式会社
谷本純(たにもと・じゅん)さん
アマネファクトリー株式会社
土屋勇人(つちや・はやと)さん
妊活でストレスになっているのは、「パートナーとのコミュニケーション」
編集部:本日はお忙しいところ、大変ありがとうございます。さっそくですが、コノトキの概要と特徴について伺えますか?
谷本:コノトキはカップルで共有できる「妊活サポートアプリ」です。現在、5.5組に1組のカップルは子どもができないことに悩んでいる、と言われています。そんなとき、まずは生理周期に合わせたタイミングで妊娠を目指すわけですが、排卵日を把握している女性からタイミングを取ろうとパートナーに伝えることが非常にストレスである、という声があります。逆に、男性の方も子どもが欲しいけれども、それに適したタイミングがいつなのか分からず、かと言って直接は聞きづらいということ、また女性から妊活で強く誘われることがプレッシャーになってしまう、という声があります。コノトキのサービスは、そんな男女双方の悩みの解決を目指したものです。
編集部:私も不妊治療を経験しましたので、非常に分かりますね……。
谷本:コノトキで可能なことは、主に次の3つです。まず、女性の登録した生理開始日と生理周期から排卵日を予測し、カップルに伝える「排卵日予測」です。また、不妊治療の段階が進んでいるカップルの場合は、細かく基礎体温や体調を記録したり、通院して注射や薬を飲む場合もありますから、そういった妊活スケジュールの管理や記録を行う機能があります。この体調記録や通院記録は男性側でも見ることができます。最後に、妊娠の仕組みや排卵日とはどう言ったものか、タイミングの取り方など、男女双方が妊活について学べるコンテンツをご用意しています。
編集部:「妊活に関するさまざまな情報を共有できる」というところがポイントですね。
妊活カップルを応援する「コウノトリ」
「こんなことまで無料で可能なの!?」という驚きをもたらす高機能なアプリ
体調を記録する機能についても、iPhone標準アプリの「ヘルスケア」に基礎体温、体重、血圧などの情報を取り込める計測機器であれば、そこから計測データをコノトキに自動転送することができます。アンドロイド標準アプリの「Googleフィット」については、基礎体温は連携できていませんが、体重と血圧は同様に取り込むことができます。そしてコノトキでは各生理周期における基礎体温の変化をグラフ化し、それを前の周期と重ね合わせてみることができます。この機能がコノトキで一番好評な機能かもしれません。
妊活で重要な「体調の記録」も簡単につけられる
編集部:基礎体温のグラフを重ね合わせると、何が分かるのでしょうか?
土屋:前回の生理の開始日から次の生理の開始日までを、一般的に「1周期」と言います。これを「前回の周期」、「前々回の周期」の基礎体温の変化を示すグラフを重ね合わせれば、まず自分の生理周期が安定しているかどうかが分かります。コノトキでは最大6周期分のグラフを重ねてみることができます。
谷本:さらに、この自分なりの基礎体温の変化のグラフを見ながら、たとえば二人目の妊娠を目指しているときには、前回の妊娠できた時のグラフに合わせてタイミングを狙う……と言ったことも可能になります。過去のグラフの動きを見ることで、どのタイミングで体温が上がったか、つまり排卵したかが分かりますから、今回の周期でもタイミングが取りやすくなるわけです。コノトキにはオギノ式による排卵日予測も表示されますから、この基礎体温のグラフと合わせて判断することで、より自分自身にあったタイミングを狙うことができます。
編集部:一般的に排卵日の1〜2日前が最も良いタイミングと言われていますから、たしかに過去と現在のグラフを重ね合わせてみれば分かりやすいですね。「過去のグラフからすると、明日か明後日に体温が上がるぞ。だから今日あたりがタイミングだ……」と判断できそうです。
最大6周期分の基礎体温グラフを重ね合わせて比較できる
谷本:また、不妊治療関連の記録機能についてですが、体調や飲んでいる薬を自由に登録でき、一度登録すると次回からはスタンプのようにワンタップで記録できます。さらに薬などの飲み忘れがないように、アプリが通知する機能もあります。
編集部:不妊治療中は妻がたくさん薬を飲まなければなりませんでしたから、これはありがたい機能ですね……。
谷本:コノトキを使えば、男性側でも「このあたりがタイミングだな……」ということは分かりますが、しっかりとパートナー間でメッセージを送り合い、タイミングを取る約束をすることもできます。自由な文面で送ることもできますが、基本的には言いづらいメッセージをワンタップで伝えられるよう、文言を6パターンに絞っています。たとえばLINEのスタンプのように女性が「待ってるよ」と送ったら、男性側が「帰るよ」と送るだけで約束が成り立つという仕組みにしています。
編集部:それはさりげなくて良いですね!
タイミングの約束をするとコウノトリの周りにハートマークが!
土屋:また、最近追加した機能ですが、「排卵検査薬」を撮影した画像をアプリ上で並べ、比較できる機能も好評です。
編集部:排卵検査薬を比較すると言いますと?
土屋:排卵検査薬を使うと、いつ排卵したかどうかを調べることができます。排卵した可能性が高いほど、検査薬に表示される線の色が濃くなるため、複数の検査薬を並べて比較することで、その変化が分かりやすくなります。これも先ほどのオギノ式、基礎体温のグラフと同様に、生理周期を調べる一手段であり、3つの方法を使ってより高い精度でタイミングを把握しようとする方もいらっしゃるわけです。
谷本:この機能は2021年6月にリリースしたばかりですが、SNSで「こんなこともできるのって、すごい!」という感想を拝見しております。妊活は女性にとって非常に多数の細かな作業があるので、その小さな内容を一つ一つ拾って、アプリでお手伝いすることを常に考えています。
「多くの人の切実な声」から生まれたアプリ
編集部:私たちが妊活をしていたときにも、こんなアプリがあればなあ……と思いました。コノトキがリリースされたのはいつですか?
土屋:コノトキの前身となる「コウノトリ」というアプリは、リリースして7年ほどになります。一方、コノトキは2020年3月にリリースしました。
編集部:二つのアプリの違いはなんですか?
谷本:基本的にコウノトリは、オギノ式による生理情報の予測機能と、それをカップルで見られる共有機能、タイミングを取るための約束をワンタップで送れるメッセージ機能という、3つの機能だけを持つシンプルなアプリでした。もちろん基礎体温などの記録もできましたが、そのグラフを周期ごとに重ねて比較する……と言った機能はありませんでした。そのコウノトリを妊活の専門家である胚培養士の先生に監修していただき、より妊活に特化したのがコノトキです。
妊活に必要な情報・記録は「カレンダー」で一覧できる
この進化はユーザーの皆さんからの、もっと妊活をサポートして欲しいというご要望から行いました。しかし、コウノトリに「妊活治療管理」などの機能まで盛り込んでしまうと、子どもがなかなかできないから、生理周期をちょっと見てみようか……というくらいの妊活初心者さんはびっくりしてしまう、プレッシャーになってしまうだろうということで、アプリを分けることにしたのです。そのため、現在もコウノトリは運用しています。
「妊活に関するデータを共有すること」で、男性側を動かすことができる
編集部:コノトキの利用者数はどれくらいですか? また、どんな感想がありますか?
土屋:ユーザー数は、現在13万ダウンロードです。稼働率も高く、およそ6割以上の方に継続して使っていただいています。
谷本:感想としては、「パートナーが協力的になってくれたのがうれしい」とか、「パートナーの側から『そろそろタイミングかな?』と言ってくれるようになった」といった声があります。
編集部:たしかにグラフを見ていれば、そういう流れになりそうですね!
谷本:男性はデータを見るのが好きなようで、面白がって見てくれているようです。それがすごく助かっている、というご意見もありますし、グラフの重ね合わせが無料でできるのはありがたいとか、かゆいところに届くアプリだといった評価をいただいています。
地道な努力がモノを言う妊活のように、アプリもコツコツと成長させていく
編集部:今後の展開はどうなりますでしょうか?
谷本:大きなチェンジはありませんが、小さなところでブラッシュアップできるところは数多くあると考えています。ユーザーの皆様がこうして欲しいというところを拾って、細かく機能を追加していきたいと考えています。
編集部:インストール時にいろいろな言語が選べますが、海外進出はお考えなのでしょうか?
谷本:あれは海外ユーザー向けのものではなく、日本にお住まいの国際カップルのためのものです。意外と国際カップルの方もユーザーにはいらっしゃいますから、それぞれのパートナーが見やすい言語にしようということで、アプリ内のコラムやアドバイスもすべて翻訳しています。
編集部:それは大変ですね!?
谷本:妊活はそういう細かい努力の積み重ねが結果につながるので、地道にやるしかないと考えています。命の誕生につながることですから。
アプリ内では妊活に役立つさまざまなアドバイスを読める
取材を終えて
記者の妊活時の妻とのコミュニケーションを振り返ってみて、とても反省させられることが多い取材でした。タイミングがいつなのかが男性側には分からないため、仕事の予定を入れてしまい、うまくいかないことも多かった気がします。また、妊活についての知識不足から、女性に大きな負担がかかっていることについても、あまり分かっていませんでした。やはり妊活に取り組む上で、「円滑なコミュニケーション」と「必要な知識を身につけること」は欠かせないものでしょう。ぜひ多くの妊活カップルに、このアプリを活用していただきたいと思いました。
「コノトキ」 公式ホームページ
https://www.konotoki-apps.com/index.html.ja