産官学連携で病児保育事業ICT化の効果検証を実施
Connected Industries株式会社(東京都中央区、代表取締役:園田正樹)が、横須賀市(横須賀市役所 こども育成部 幼保児童施設課)、東京大学大学院医学系研究科 公衆衛生学教室と連携してBabyTech® Award Japan 2020 powered by DNP 大日本印刷大賞受賞の病児保育支援システム「あずかるこちゃん」の運用による病児保育のICT化の推進と効果検証を行うと発表しました。
横須賀市は病児保育の利用率と利便性向上を目的に「あずかるこちゃん」を全国で初めて自治体として導入し、2021年2月1日(月)より横須賀市立うわまち病院 病児・病後児保育センターで運用を開始します。また、本件病児保育事業のICT化による効果検証を東京大学大学院医学系研究科 公衆衛生学教室が実施、産官学連携で子育て世代の課題解決に臨みます。
病児保育を、手のひらに。病児保育支援システム「あずかるこちゃん」
「あずかるこちゃん」は保護者と病児保育施設をつなぐ、病児保育の検索・予約サービスです。保護者はいつでも簡単にLINEやWebから病児保育施設を検索、予約が可能。施設のスタッフにとっても、煩雑な事務作業から解放され、保育に集中できるというメリットがあります。導入自治体では、地域にあるすべての病児保育の情報を一元管理できるようになります。
「あずかるこちゃん」Webサイト子育て世代に住みよい横須賀市へ
待機児童問題が解決に向かう中、子育て世代が最も困ることは「子どもの急病時に仕事を調整しなければならないこと」です。神奈川県は5歳未満人口における病児保育施設数が全国的にも低く(※)、横須賀市も同様の傾向にあります。子育て世代にとって魅力ある街づくりを進めるため、保護者の利便性を考え、横須賀市立うわまち病院 病児・病後児保育センターに「あずかるこちゃん」を導入しました。
また、東京大学大学院医学系研究科 公衆衛生学教室の協力のもと、適切な評価を行うことで、病児保育を中心とした汎用性のある子育て支援の仕組み作りを目指します。
※ 園田正樹「市区町村の委託/補助による病児保育施設と企業主導型病児保育施設の都道府県分布」『病児保育研究第11号』 P.94~P.101(2020)
病児保育の利用率の現状/利用の不便さ
「あずかるこちゃん」の地図上には2種類のピンが表示されています。契約施設では空き状況が一目でわかるカラーピン、非契約施設はグレーのピン。カラーピンは、施設の空き状況が「◯」「△」「×」でリアルタイムに表示されます。また、カラーピン(契約施設)をクリックすると、そのまま予約を行えます。
働く保護者にとって「今日/明日利用できる病児保育はあるの?」という情報は、直後の行動を決める重要な判断材料になります。「あずかるこちゃん」は、保護者が少しでも早い段階で安心を得られるよう、導入施設の拡大に努めてまいります。
※ 病児保育利用率に関するデータ/内閣府「病児保育事業について」(平成25年12月11日発表)
病児保育をもっと安心に、もっと便利に
今回の取り組みによって、これまで使いづらいというイメージのあった病児保育を「必要な時にいつでもアクセスできる」事業として安心を届けてまいります。まずは、横須賀市立うわまち病院 病児・病後児保育センターの利用が昨年度の2倍になることを目指し、横須賀市が病児保育を活用した「子育て世代にとって暮らしやすい街づくり」のモデルケースとなり、全国に広げていけるよう尽力いたします。また、共同研究における効果検証の結果を持って、保護者の方々や病児保育室の職員の方々にとってより利用しやすいサービスになるよう拡充・改修を行ってまいります。引き続き、ご期待ください。
東京大学大学院医学系研究科 公衆衛生学教室との効果検証の実施内容
横須賀市立うわまち病院 病児・病後児保育センターにて弊社サービスを導入するにあたり、その効果検証を東京大学大学院医学系研究科 公衆衛生学教室と共同で行います。共同研究では、2021年2月1日〜2022年1月31日までに病児保育利用を申し込んだ幼児・児童およびその保護者を対象にアンケートを行い、病児保育のICT化によって、子育て世代である利用者の利便性向上について観察研究を行います。
また、利用人数の増加、自治体における子育て世帯へのサービス提供の効率化についても分析します。
※ 今回の研究で得た情報は適切な形で匿名化を行い、個人が特定されることはありません。また、「ヘルシンキ宣言」および「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」を遵守して行われます。
※ 園田正樹「市区町村の委託/補助による病児保育施設と企業主導型病児保育施設の都道府県分布」『病児保育研究第11号』 P.94~P.101(2020)
ヘルシンキ宣言(日本医師会訳)
人を対象とする医学系研究に関する倫理指針/文部科学省、厚生労働省
本連携に関するコメント
横須賀市市長 上地 克明
病児・病後児保育は、子どもが急病の際、家庭で保育ができず一人思い悩む時、大変頼りになる存在です。予約システムの導入によって、スマートフォンなどから、24時間いつでもどこでも利用予約ができるようになり、利用する方の利便性が飛躍的に向上します。
また、このたび、予約システムの運用開始と同時に、産学官が連携して、システム導入によるICT化について共同研究を行います。
この研究で得られた知見を、横須賀市における病児・病後児保育の利便性をさらに高める仕組みづくりに役立てるだけではなく、全国の自治体で共有し、利用する方の思いに寄り添った病児・病後児保育環境の構築に貢献することができれば幸いです。
所在地:神奈川県横須賀市小川町11
「横須賀市」Webサイト
東京大学大学院医学系研究科 公衆衛生学教室 教授 小林 廉毅
大学では、公衆衛生学および健康医療政策学を担当しています。医学生・大学院生への教育に加えて、様々な健康・医療問題の研究に取り組んでいます。
最近の研究成果としては、入院ビッグデータ解析により、2020年3月以降、喘息による入院の減少傾向を報告しました。これは、手洗い、マスク、人混みを避けるなどの新型コロナへの予防行動が喘息予防にも効果のあることを示唆しており、今後の喘息対策につながる成果です。また、日本・韓国・欧州8カ国の労働者を対象とした国際共同研究では、10カ国のほぼ全ての職種で死亡率が減少するなか、日本では1990年代後半以降の経済不況に一致して、管理職の死亡率上昇があったことを報告しました。この報告は多くのメディアで取り上げられ、日本人の労働のあり方に一石を投じました。
さて、情報技術を活用し、子育てと仕事の両立に腐心している親御さんたちを支援することは、少子化社会における喫緊の社会的課題です。行政のみならず、企業、学術機関など衆知を集めて、よりよい仕組みを構築していく必要があります。今回の、CI社、横須賀市、私どもの研究室による産官学共同研究プロジェクトもその一翼を担うものになればと願っています。
「東京大学大学院医学系研究科 公衆衛生学教室 公共健康医学専攻 健康医療政策学分野」Webサイト
Connected Industries株式会社 代表取締役 園田 正樹
弊社は、安心して産み育てられる社会の実現に向けて取り組んでいます。子どもの急病時の対応に困る保護者への解決策として病児保育事業がありますが、残念ながら利用のハードルが高い状況となっています。病児保育は行政の子育て支援事業です。横須賀市様と一緒に取り組むことで、保護者、施設スタッフ、自治体担当者すべての方に利益をもたらす仕組みとなるよう取り組んでいきたいと思っております。また、ICT化することで本当に効果が得られるのか、東京大学との共同研究によって検証できることを大変嬉しく思っております。横須賀市民の皆様にとって、より良い子育て支援が得られる環境を実現するべく、尽力していきたいと思っております。
3者のコメント全文は「横須賀市公式Youtubeチャンネル」にて、1月19日に公開となりました。
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