- つい放置してしまいがちな子どもの写真や動画を簡単に「保存・共有・整理」できるサービス
- スマホに不慣れな祖父母世代も一緒に楽しめるよう、さまざまな工夫がなされている
- 離れて暮らす家族の絆が強まった、距離が縮まったなど利用者の喜びの声が多数
新型コロナウィルスの感染拡大にともなう緊急事態宣言により、今年のゴールデンウィークは帰省できなかった方がほとんどだと思います。実家で暮らす祖父母の皆さんと触れ合う機会も減ってしまい、残念に思っている方は多いのではないでしょうか。そこでおすすめしたいのが、今回ご紹介する写真共有アプリ「みてね」です。スマホやパソコン、タブレットなどで写真を共有できるこのサービスは、パパ・ママ世代だけでなくスマホに不慣れな祖父母世代にも使いやすいようさまざまな工夫が盛り込まれており、写真をつかって家族が交流する場を提供してくれます。BabyTech.jp編集部はこの「みてね」を開発した株式会社ミクシィ みてね事業部マーケティングGの白岩優子さん(以下、敬称略)に遠隔取材を行い、同サービスの概要や開発の経緯、今後の展開について伺いました。
「みてね」の開発に携わる白岩さん
(お話を伺ったのは)
株式会社ミクシィ みてね事業部 マーケティングG
白岩優子さん
無料で容量無制限! 手間のかかる写真の「共有・整理・保存・フォトブック注文」が機能的に!
編集部:本日はお忙しいところ、ありがとうございます。さっそくですが、「みてね」の概要と特徴について伺えますか?
白岩:「みてね」は子どもの写真や動画を家族間で共有できるサービスです。無料かつ容量無制限で使える点や、アップロードするだけで写真や動画が月別に整理される機能も好評ですね。出産したあとのママはとても忙しく、写真を撮影してもなかなか整理できない方が多いので。
撮影した画像や動画を好きなだけアップロードし、共有できる
編集部:私ごとで恐縮ですが、うちの妻もたくさん写真を撮っていますがまったく整理できていないですね……。
白岩:それでしたら、過去に撮影した写真を後日アップしてもきちんとその写真を撮影した日時どおりに整理されますので、ぜひ「みてね」を試してみてください(笑)。ほかにも、アップロードした写真や動画から思い出を自動的にピックアップして、ひとつの動画にしてくれる「1秒動画」という機能も人気です。これは季節ごとの思い出を1秒ごとにつなげてムービーにしたもので、年に4回、無料で利用されている方に配信されます。
画像や動画は自動的に月ごとに整理される
編集部:せっかく撮った写真もなかなか見返す機会がないですから、そういう機能はとてもありがたいですね。
白岩:それから「みてね」では毎月、前月の写真を自動的にフォトブック形式で編集したデータを無料でお届けしています。それをそのままフォトブックとして注文することもできます。もちろん、自分で写真を入れ替えたり、コメントを加えるなどの微調整をしてから注文することもできます。こちらは「写真を形として残したい」という方に人気ですね。
編集部:それはすごいですね。アプリが写真を自動的に識別し、厳選してくれるわけですか?
毎月、自動的に選別された写真によるフォトブックを提案してくれる
白岩:撮影日時やコメントの有無などをみて、独自のルールで評価して自動作成しています。ほかには、「みてね」では写真にお気に入りマークをつけることができるのですが、「お気に入り」になっている写真が優先されたり、あとは画像認識技術で子どもの顔がきちんと写っている画像が選ばれるようにもなっています。パパ・ママ世代はもちろん、おじいちゃん・おばあちゃん世代で購入される方もいらっしゃいます。
編集部:シニア世代にとって、いちいちフォトブックの編集をしなくていいのはありがたいですね。
白岩:忙しいパパ・ママも、スマホに不慣れなシニア世代も簡単に使え、またひとつのアプリで画像・動画の「共有・整理・保存・フォトブック注文」まで可能なのは、「みてね」の特徴だと思います。毎日かわいい瞬間を撮影して、気軽に家族で共有するだけでなく、思い出がきちんと整理され、まとまったかたちで手軽に振り返って楽しめるというサイクルを大切にしています。
「祖父母世代」を含めた家族で楽しむためのさまざまな工夫
編集部:この「みてね」というサービスが開発されたきっかけについて伺えますか?
白岩:そもそも「みてね」が始まったのは、弊社会長の笠原に子どもが生まれ、大量の写真や動画を撮るようになったとき、それを家族に共有したいのにちょうどよいサービスがなかったというのがきっかけでした。どのサービスも操作しにくい部分があり、特に祖父母世代には難しすぎたりしました。そこからパパ・ママだけでなく、おじいちゃん・おばあちゃんなど家族みんなが楽しめるような写真共有アプリとして、「みてね」の開発がスタートしました。
編集部:取材前に「みてね」をダウンロードして使ってみたのですが、とてもシンプルでわかりやすい操作方法でした。これはどのような工夫をされているのでしょうか?
白岩:開発がスタートした2014年当時は、まだまだおじいちゃん・おばあちゃん世代にスマホが普及していませんでしたし、アプリで写真を共有しようとする方もベンチマークになるアプリも少ない時代でした。ですから、開発チームは「みてね」をゼロから試行錯誤しつつ、作り上げていく必要がありました。さいわい開発チームには笠原をはじめとしてパパ・ママ世代が多く、現実に祖父母との写真共有に課題を抱えていたことから、その家族のなかでテストを繰り返すことができました。
スマホに慣れていない祖父母世代の使いやすさも追求
編集部:実際、どういうところがシニア世代にとって使いにくかったのでしょうか?
白岩:おじいちゃん・おばあちゃん世代の方は、孫の写真を見たくて初めてスマホを買うという方が多いようでした。そうすると「アプリをインストールする」という操作も大変ですし、そのうえアプリを利用する際に「利用者登録」があると、もうお手上げということになりかねません。そこで「みてね」では、パパ・ママ側から祖父母をサービスに招待する際、最初からこの人は「おじいちゃん」、この人は「おばあちゃん」と設定し、招待を送る仕組みになっています。アプリのインストールさえサポートしてあげられれば、祖父母は招待メッセージに書かれたリンクをタップするだけで、すぐにアルバムに参加することができます。
編集部:「みてね」にあった「家族を誘う」というメニューは、そういうものだったのですか! アプリを利用するためにメールアドレスを設定して、パスワードを設定して……といった手続きをしなくてもいいのは、本当にすばらしいと思います。
白岩:ほかにもアプリを開くだけで子どもの写真や動画が出てきますし、それをスワイプすれば写真が切り替わります。毎日忙しいパパ・ママへも配慮し、すでにアップ済みの写真や動画は追加画面に表示されないようにするなど、共有時の手間も軽くなるようさまざまな工夫をしています。このように徹底的に操作を簡単にしてきました。ちなみに、「みてね」はFacebookやInstagramなどのSNSと比較されることが多く、「どうして写真に『いいね』がつけられないの?」という意見もときおり寄せられます。しかし、「みてね」は「いいね」をもらって承認欲求を満たすツールではなく、家族で写真や動画を共有するためのアプリですから、使いやすさやシンプルさを貫くためにそれらの要素は意図的に省いています。
編集部:たしかに「いいね」がつけられると、「なんで『いいね』をつけてくれないの!?」と実家の両親とケンカになってしまうかもしれませんね(笑)。
写真や動画にはコメントをつけることができる
白岩:なお、現在「いいね」は付けられませんが、写真や動画にコメントをつけることができます。その写真にまつわる「家族の思い出」や「アルバムに参加されているご家族のそのときの気持ち」を残せるわけです。
編集部:昔の写真アルバムにはそういうメモがついていましたね。あれはあとから写真を見返す時にとても役立ちました……。
「みてね」は離れて暮らす家族のつながりをサポートしている
編集部:「みてね」の利用者はおよそ750万人とのことですが、利用状況や感想はいかがですか?
白岩:現在は「イギリス英語・アメリカ英語・フランス語・ドイツ語・繁体字・韓国語」といった多言語展開もしており、利用者数は750万人を超えました。それから今回の新型コロナによって、アプリ内のコミュニケーション(投稿やコメント数)が2倍になったデータもあります。利用されている方からの感想として印象的なのは、家族の関係が暖かく親密になったことを喜ばれる声がとても多いことですね。たとえば、離れていても子育てを見守ってくれている気持ちになるとか、帰省したときはたいてい近況から説明しなければならなかったのに、「みてね」のおかげで最近の様子が伝わっているので垣根がなくなったというようなご感想もいただいています。ほかにうれしい感想としては、一般的にパパ・ママ双方の実家の交流は少ないと思うのですが、「みてね」のおかげで双方の実家の距離が縮まったという声もありました。
編集部:たしかに実家の親同士が会う機会は少ないですからね。孫を介して、「みてね」で自然にコミュニケーションが取れるわけでしょうか。
白岩:そうですね。また、私も実感しているのですが、大人になるにつれ、仕事も忙しくなり、自分の親との時間は少なくなっていきます。しかし、子どもが生まれると家族が再結集するというか、子どもを中心に家族がまた一致団結して関係が濃くなっていくように感じました。「みてね」がそのような家族のコミュニケーションの一助になっていれば、とても嬉しいです。
いつか親になる子どもに受け継がれ、「みてね」が一族のアルバムに?
編集部:今後の「みてね」の展開について教えてください。
白岩: まずはアプリの改善がメインになりますが、乳幼児の成長を家族共有するイメージが強い現在の「みてね」を、さらに成長した子どもの思い出を残していく場所・振り返ることができる場所として、今後もずっと使い続けていただけるようなサービスにしていきたいですね。
編集部:それはどのようにアプリが進化していくイメージでしょうか?
白岩:新たな機能やサービスを追加したり、バージョンアップしていくイメージですね。最近では、子ども自身が写真・動画をアップできるよう、子ども自身がアカウントを持てるような改善を行ったりもしました。また、直近では「年賀状」を作るサービスや、「父の日・母の日のギフト」を送るサービスなど、撮りためた写真を活用するサービスも追加しています。将来的には子どもたちがパパ・ママになっても使っていただくことで、世代を超えて、思い出を受け継ぐためのサービスにしていきたいですね。
取材を終えて
私も新型コロナの感染拡大により、4月に予定していた帰省ができなくなってしまいました。そのせいでLINEを使って実家の両親と写真を共有したりしていたのですが、当然のことながら、それらの写真をまた見たいと思っても探し出すのは困難ですし、改めて見返す機会もなかなかありません。そんな離れた家族が写真を共有するというなかなか困難なテーマを、「みてね」は鮮やかに解決してくれました。さらに紙のアルバムは災害や引っ越しなどで失われてしまうかもしれませんから、このネットで家族が画像や動画を共有するシステムは、これからの家族の記録のスタンダードになるのではないでしょうか?
さて、この「みてね」に関連して株式会社ミクシィは子どもやその家族を取り巻く社会課題の解決を目的とした「みてね基金」を設立しています。2020年6月3日に第1回の助成団体が発表され、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で深刻な課題を抱えた子どもや、その家族に対する支援活動を行う団体が採択されました。海外と今回の寄付金を合わせると寄付額は約2.5億円とのことです。大きな視野で家族の未来を考える同社が、今後「みてね」をどのように発展させていくのか、今後も注目したいと思います。
みてね公式ホームページ
https://mitene.us/
「みてね基金」について
https://media.mitene.us/archives/1583