- 祖父母に知ってほしい情報が毎日スマホに届く
- 7割のママたちが妊娠、育児に関して実母との認識のズレを実感
- 世代間ギャップを解消し、家族が助け合いながら育児を行う環境をアシスト
(お話を伺ったのは)
株式会社エバーセンス
祖父母ninaru プロダクトオーナー 渡邊 渚さん
7割のママが実母の時代錯誤なアドバイスに悩んでいた
編集部:「祖父母ninaru」はどういった経緯で開発されたのでしょうか。
渡邊:わたしたちは妊娠中や育児中の方へ情報をお届けする子育て支援アプリ「ninaru(ニナル)」シリーズを展開しています。「祖父母ninaru」はその「ninaru」の祖父母版として昨年11月にandroid版、今年1月にiOS版をリリースしました。子育て支援アプリを手掛ける中で、ママ世代とおばあちゃんとなる実母との間に妊娠や育児に関する認識のギャップが生じ、そのギャップに苦しんでいるママたちがたくさんいることがわかってきました。このギャップを解消するには祖父母の方々に現在の妊娠・出産・育児の情報を正しくお伝えして、知識をアップデートしていただくことが不可欠だと考え、アプリの開発に至りました。
編集部:世代間のギャップとは具体的にどんなことだったのでしょうか。
渡邊:たとえば妊娠中、おなかの赤ちゃんのために無理をしてでも食べなさいという考えが、かつてはありました。しかし現在は、つわりがひどい時などは無理に食べなくてもいいという見解になっています。虫歯菌の悩みもよく聞かれます。昔は、大人が食べ物を口に含み柔らかくしてから赤ちゃんに口移しで食べさせていましたが、こうした行為は赤ちゃんに虫歯菌をうつすことになってしまいます。それと、3歳ぐらいまでは母親が近くにいて世話をするべきという考え方が祖父母世代には依然として残っていて、保育園に預けて働きに出ることにおばあちゃんが難色を示すといった、子育てに関する世代間ギャップにお悩みのママも少なくないようです。
編集部:おばあちゃんたちはママたちがこうした認識のズレを感じていることに気づいているのでしょうか。
渡邊:「妊娠・出産・育児に関して祖父母と世代間ギャップを感じたことがありますか」というアンケートを行った結果、7割近くのママたちが「ある」と答えました。その一方で同じ質問(娘とギャップを感じるか)をおばあちゃんに行った結果、「ある」と答えたおばあちゃんはわずか4割にとどまりました。おばあちゃんは自分たちのノウハウが少々古くなっていることも、娘がギャップを感じていることにも気づいていない。こうしたお互いの認識のズレをすみやかに改善する必要があると思いました。
編集部:一番の理解者であるはずのおばあちゃんの思いやりが、かえってストレスになっていたとしたら残念ですよね。
渡邊:はい。おばあちゃんは一番近くで見守ってくれる先輩ママのはずなのに、こうしたギャップによってお互いがハッピーになれていない状況を、なんとかしたいと思っていました。
妊娠中、育児中に役立つ情報を毎日おじいちゃん、おばあちゃんの手のひらへ。
編集部:シニア向けのアプリということで配慮した点などはありますか?
渡邊:育児のトレンドをお伝えすることは当然ですが、妊娠・出産・育児を経験された方々に向けたサービスですから、当時のことを否定するのではなく、同じ目線で一緒に知識をアップデートしていきたいという姿勢を大事にしています。また、他の「ninaru」シリーズよりも文字やアイコンなども大きくし、シニアの方でも読みやすいデザインと操作性を心がけました。
シニアにも見やすくデザインされた画面
編集部:メッセージや情報はどのくらいの頻度で届けられるのですか。
渡邊:妊娠中から1歳の誕生日までは毎日メッセージが届くようになっています。 それ以降は週に1回のペースでメッセージが届きます。
編集部:記事はどなたが作成しているのですか。
渡邊:記事はすべて社内で作成しています。配信している記事は「ninaru」シリーズの蓄積も含めて数千にのぼります。育児にかかわる分野はほぼ網羅しています。今後は娘さん、お孫さんとの付き合い方といったコンテンツなどにも力を注いでいきたいですね。
妊娠中のママやお腹の赤ちゃんの成長についてのメッセージを毎日配信
妊娠、出産、育児について医師・助産師の監修の下、作成された充実のコンテンツ
編集部:実際にアプリを利用しているユーザーの男女比はどのくらいでしょうか。
渡邊:女性7割、男性3割ぐらいですね。当初は9割方がおばあちゃんだと思っていたので、想定していたよりもおじいちゃんが多くて驚きました。今はおじいちゃん・おばあちゃんでメッセージ内容が共通ですが、今後はよりパーソナライズして、男女で別の内容のメッセージを配信していければと思います。
編集部:反響はいかがですか。
渡邊:ママたちが「こんなアプリがあったなんて」と、ツイッターに書き込んでくださるなど好意的な声がたくさん寄せられています。祖父母世代の方からは「知らなかったことばかりでした」と毎日届く情報に自分たちが妊娠、出産した頃との違いに驚かれている方も多いですね。
育児に関する記事の執筆も数多く手掛ける渡邊さん
編集部:これからの展望などをお聞かせください。
渡邊:まだまだ「祖父母ninaru」の認知度を高める必要があると考えています。妊娠を機にママたちが「ninaru」を、おじいちゃんやおばあちゃんが「祖父母ninaru」をダウンロードしていただく流れが自然と出来上がるようになるのが理想ですね。そのためにもダウンロード手順などを紹介し、ひとりでも多くの方に気軽にアプリを利用していいただけるよう日々取り組んでいます。コンテンツに関しても現在は4歳までの情報となっていますが、今後は小学校入学くらいまでのお子さんの情報もお届けできるよう、記事の充実を図っていきたいですね。
取材を終えて
今まで信じて疑わなかった常識が時代の移り変わりとともに非常識になってしまうことが私たちの身の回りではたくさん起こります。特に妊娠や育児の分野では、その傾向が顕著のようです。「祖父母ninaru」は実母、義母といった先輩ママにとっても、新米ママたちにとってもお互いの気持ちにそっと寄り添ってくれる心強いアプリだと感じました。シニア層もスマートフォンを当たり前に持つようになったことで、今後「祖父母ninaru」はおじいちゃん、おばあちゃん必携のアプリとなることでしょう。
祖父母ninaru 公式ホームページ
https://eversense.co.jp/product/sofuboninaru