— 下記はプレスリリースからの内容です —

2025(令和7)年 6月 19日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp
発表のポイント
- 子宮摘出を余儀なくされていた子宮頸がんの患者さんを対象に、子宮を摘出することなくがんを治癒させるための新たな治療法の開発を始めました。
- 手術前に抗がん剤を投与することで、再発のリスクを抑えながら安全に縮小手術を実施することが期待できます。
- 治療終了後、再発がないことが確認できれば妊娠を目指すことが可能になります。
概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の学術研究院医歯薬学域(医)周産期医療学講座の長尾昌二教授(特任)、同学術研究院医療開発領域(岡山大学病院・産科婦人科)の依田尚之助教、岡山大学病院産科婦人科の谷岡桃子医員の研究グループは、術前の抗がん剤投与で腫瘍を縮小させた後に子宮頸部円錐切除術、腹腔鏡下骨盤リンパ節郭清を行うことで、これまで子宮摘出が必要とされてきたIB2期、IB3期(転移がなく、2cm以上のサイズの腫瘍を有する)の子宮頸がんの患者さんの子宮を温存する新たな治療法の開発を始めました。
ヨーロッパでは散発的に同様の試みが行われていますが、きちんとした臨床研究として安全性を担保した上で実施するのは世界初です。この治療法が確立すれば、子宮頸がんに罹患した若年の患者さんが将来の妊娠の機会を失うことを防ぐことができるようになります。
2025年5月27日、学内の倫理審査委員会で承認され、6月1日より研究に参加する患者さんの募集を開始しました。
本情報は、2025年6月17日に開催された岡山大学定例記者会見で公開されました。


研究者らからひとこと
長尾昌二教授

10年以上前から取り組んできた研究がやっと患者さんに届けられる段階になりました。将来の妊娠を希望される子宮頸がんの患者さんに希望を届けられるよう頑張りたいと思います。
依田尚之助教

子宮頸がんを治療しつつ、妊娠の可能性を残す――そんな選択肢が現実のものとなることを目指しています。がんと診断されても『子どもを持ちたい』という若年の子宮頸がん患者さんが希望を諦めずにすむ未来を拓いていきたいと考えています。
谷岡桃子医員

長尾先生から最初に研究のお話をお聞きした時は、そんなことが可能なのだろうかと正直懐疑的でした。ですが、これまで行われたさまざまな研究を調べていくうちに、とても理にかなった治療なのだと考えるようになりました。妊娠を希望される患者様の選択肢の一つとなることを期待します。
論文情報
論 文 名:Phase II study of a new multidisciplinary therapy using once every 3 week carboplatin plus dose-dense weekly paclitaxel before and after radical hysterectomy for locally advanced cervical cancer
掲 載 紙:Int J Clin Oncol
著 者:Nagao S, Yamamoto K, Oishi T, Yamaguchi S, Takehara K, Shimada M, Kigawa J.
D O I:10.1007/s10147-020-01787-7.
研究資金
本研究は、岡山大学臨床研究支援制度の支援を受けて実施しています。
詳しい研究内容について
子宮を切除することなく子宮頸がんを治す取り組み~治療終了後の妊娠が可能に~
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r7/press20250617-4.pdf
参 考
- 岡山大学 学術研究院 医歯薬学域(医)周産期医療学講座
https://www.okayama-u-obgyn.jp/about/medical-staff/staff/ - 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
https://www.mdps.okayama-u.ac.jp/ - 岡山大学病院
https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/
参考情報
- 【岡山大学】抗がん剤腹腔内投与が進行卵巣がんの予後を改善
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001516.000072793.html



本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 医歯薬学域(医)周産期医療学講座 教授(特任) 長尾昌二
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1 岡山大学鹿田キャンパス
TEL:086-235-7320
https://www.okayama-u-obgyn.jp/about/medical-staff/staff/
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1397.html


国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
- 岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html
