BTA2024受賞商品発表

不安だらけの新米ママ・パパの「心の支え」を目指す!「パパっと育児(リニューアル版)」

本サービスのポイント
  • 今回のリニューアルは、本アプリを今後の新サービスのプラットフォームにするためのもの
  • 育児記録に基づく「パーソナルなアドバイス機能」や「外部センサーとの連携」を予定
  • 悩む保護者のために、「病院受診の目安チェック」や「自治体相談窓口検索」を搭載

初めての子育てで、最も苦しめられることのひとつが「赤ちゃんの泣き声」。新米ママ・パパでは、どうすれば泣きやむのかさっぱりわからず、途方に暮れることもたびたびあります。そんな「赤ちゃんの泣き声」を分析し、泣いている理由を推測してくれる……という画期的な機能で大きな話題を呼んだのが、今回ご紹介する「パパっと育児」というスマホアプリです。この「パパっと育児」が7年ぶりの大リニューアルを遂げたとのことで、BabyTech.jp編集部は同アプリを提供している株式会社ファーストアセントの服部伴之さんと千葉祐大さん(以下、敬称略)に取材を行い、リニューアルの概要やその狙い、リニューアル版を利用した人たちの感想や今後の展開について伺いました。

(お話を伺ったのは)

株式会社ファーストアセント
代表取締役CEO 服部伴之さん


株式会社ファーストアセント
執行役員CMO 千葉祐大さん

 

「将来を見据えたユーザーインターフェイス改善」がリニューアルのテーマ

編集部:早速ですが、「パパっと育児」をリニューアルされた目的と概要について伺えますか?

服部:当社では、子育て中のママ・パパの役に立つさまざまなサービスをこれから順次リリースしていく予定なのですが、そのためのプラットフォームとして旧「パパっと育児」のままではユーザーにとって使いにくい、と判断したのが今回のリニューアルの目的のひとつです。もうひとつ、旧「パパっと育児」をリリースした7年前はiPhoneを初めとしてスマホ画面はまだ小さく、片手でスマホを持っても画面全体に指が届きました。そのため育児記録をつけるときに使うアイコンを画面全体に配置した旧「パパっと育児」でも問題なかったのですが、その後スマホ画面はどんどん大型化していきました。そこで、たとえば子どもを抱っこしている状態でも片手でアプリを使えるよう、アイコンを画面下部に集約するなど操作性全般の改善をする、というのも今回のリニューアルの目的でした。


リニューアルされた「パパっと育児」のトップ画面

編集部:これから順次リリースしていくサービスのためのリニューアル、というお話がありましたが、具体的にはどのあたりがそれに当たるのでしょうか?

服部:今回のリニューアルで画面中央下部に作った「相談」というタブになります。今はまだ「緊急度をチェックする」「最寄りの自治体の子育て相談窓口を調べる」という2つのメニューしかありませんが、これからそこに、もっとママ・パパの悩みを解決するなどの育児をサポートするような機能を追加していく予定です。

編集部:ママ・パパが育児で悩んだときは「パパっと育児」の「相談」タブを押すと、解決できるメニューが出てくるということですね。


「パパっと育児」の相談タブを押したあとのメニュー画面

服部:現時点で相談タブにある機能は単体で使うものばかりですが、当社はアプリを通じて過去の育児記録を取得しているので、その内容を分析して、よりパーソナライズされたママ・パパが知りたいことを予測して回答するような機能の搭載を予定しています。実際、「パパっと育児」を使えばさまざまな相談に乗ることが可能であり、たとえば離乳食や栄養に関する相談への対応も検討しています。

さらに経済産業省の「ものづくりスタートアップ・エコシステム構築事業」に、赤ちゃんの泣き声から感情を分析する泣き声診断機能を搭載したハードウェア「新CryAnalyzer Autoの開発」が選ばれましたが、このようなセンサー機器とも「パパっと育児」が連携して、ママ・パパをさらにサポートする機能・サービスを準備しているところです。だいたい来年3月くらいまでに、提供を開始できると思います。


CryAnalyzer Autoのイメージ画像

編集部:ほかに、今回のリニューアルで大きく変わった点はどのようなところでしょうか?

千葉:育児記録で使えるアイコンが20から30に増えています。それから育児記録の「まとめ」部分で、より細かなデータを見ることができるようになりました。

服部:まだ実装されていませんが、もうすぐ記録タブのなかの日記メニューのデザイン性を向上させ、もっと日記を書いたり、画像を載せたくなるようにする予定です(編集部注:10/12の最新Verでアップデート済み)。全体として、今回のリニューアルは「ユーザー体験」を大きく見直したということですね。


リニューアルされた日記画面

 

リニューアルにより、ユーザー体験が明らかに向上した

編集部:リニューアルに対するユーザーの反応はいかがですか?

服部:「育児記録の入力頻度が向上した」という数値から見ても、ユーザーの皆さんはリニューアルを評価してくださっているようです。

千葉:旧バージョンから「パパっと育児」を利用されているユーザーの皆さんからアンケートをとっているのですが、多くのユーザーから良くなったという評価を頂いております。勿論、まだまだ改善点もありますので、リニューアル後もユーザーからの問い合わせを元にこまめにアップデートを繰り返しております。直近だとストアレビューの9割の方が星5つをつけてくれていることからも、評価の高さが伺えます。特に評価が高かったのは「育児記録」の部分でした。アンケートの自由記入欄をみると、

「週まとめだけではなく、1日限定(日まとめ)で振り返りができるようになった」
「過去の育児記録の記入が日付から簡単にできるようになった」
「母乳のタイマーカウントは便利、はじめての記録は助かる」
「全体的に記録したい箇所がみつけやすくなった」

など、使い込んでくだっているユーザーの声に基づく細かな入力体験の向上も、今回のリニューアルで評価されているようです。

服部:リニューアル版では「泣き声診断」のアイコンをトップ画像に表示するようにした結果、泣き声診断の利用率がさらにアップしました。


「パパっと育児」の代名詞ともいえる「泣き声診断」のアイコンはトップ画面に

 

新たなサービスは、すべて「子育てに悩むママ・パパ」のためのもの

編集部:相談タブに新たに加わった「緊急度をチェックする」と「最寄りの自治体の子育て相談窓口を調べる」というメニューについて、もう少し詳しく伺えますか?

服部:新型コロナ以前はささいなことでも気軽に小児科を受診する保護者が多かったのですが、新型コロナ以降は感染を恐れて小児科に行かないという保護者が増えてしまいました。ですから今回新たにリリースした「緊急度をチェックする」というメニューは、子どもの状態を判定して過度な受診控えをやめてもらい、適切に医療にリーチしてもらうことを目的としています。


質問に答えていくことで、病院に行くべきかどうか判定が出る

服部:また、「自治体の相談窓口を調べる」というメニューは、産後うつ病の問題への対応を想定し、子育てに悩む保護者の方たちがたらい回しにされないよう、ピンポイントに自治体の担当窓口に相談できるように作りました。

編集部:自治体の相談窓口のリストは、どうやって作られたのですか?

服部:これは当社で全国1700以上の自治体の窓口をすべて調べ、独自に作成しています。

編集部:それは大変な労力がかかっていますね……!


位置情報を使って、簡単に近くの相談窓口が調べられる

 

取材を終えて

メニュー画面がすっきりと可愛らしくリニューアルされた「パパっと育児」ですが、その背景には極めて高度なビッグデータ分析と膨大な実証試験の成果が隠されており、これから続々とその成果が実際のサービスとして登場しそうだ……そんな印象を持ちました。実際、「産後うつ」は深刻な社会問題となっており、その解決にはITの力が欠かせないでしょう。「新CryAnalyzer Auto」も来年1月にオンラインでの開催が予定されているCESに出品されるとのことであり、これからもベビーテックの最先端を走る同社の動きから目が離せません。

「パパっと育児」紹介ホームページ
https://papaikuji.info/

「ものづくりスタートアップ・エコシステム構築事業」に採択されたプロジェクト
https://startup-f.jp/ecosystemproject/